アマゾンより楽天市場に不満多数、公取委調査

経営戦略

2019/04/18 19:00

 マーケットプレイスを運営するプラットフォーマーに対する出品業者の不満は、アマゾンよりも楽天市場の方が多かった――。公正取引委員会が4月17日に発表した調査から、そんな実態が明らかになった。アマゾンが消費者のポイント還元の原資を出品業者に負わせようと一方的に通達していた問題で、公取委は4月11日に「独禁法上の優越的地位の濫用の懸念があった」と公表し、アマゾンが撤回したことで調査が打ち切られるなど、アマゾンに注目が集まっていたが、楽天市場でも同じ問題が横たわっていた。


 公取委が2019年1月に実施したITプラットフォーマーの実態調査では、規約の変更を「一方的に変更された」と回答した出品業者は、楽天市場が93.2%で最も多く、アマゾンは72.8%、ヤフーショッピングは49.9%といずれも高い水準にあった。
 

 変更された規約の中に自社に「不利益な内容があった」と回答したのは、楽天市場が93.5%、アマゾンが69.3%、ヤフーショッピングが37.7%となり、多くの出品業者が不満を抱える衝撃的な内容だった。
 

 一方で、「規約の変更を経験したことがない」と答えた業者に対して、規約変更の説明の有無について聞いた結果、「説明があった」と回答したのは、楽天市場が61.5%、ヤフーショッピングが50.9%、アマゾンが48.0%だった。規約の変更について、何かしらの説明があった比率は、いずれも5割前後に達した。

 ただし、その説明内容に納得できたかどうかについて聞いたところ、「納得できなかった」が楽天市場では94.6%、アマゾンは65.5%、ヤフーショッピングは32.9%となり、やはり楽天市場が突出する結果になっているのだ。
 

 同じく、規約の変更を経験したことがない業者に事業活動への影響を聞くと、「深刻な影響を受けた」は楽天市場が50.1%、アマゾンが21.3%、ヤフーショッピングが9.0%となった。
 

 今回、アマゾンで問題になったポイント還元の原資負担に関するストレートな質問もあった。「不必要・不合理だと感じるサービスや機能に対する利用料」や「根拠がないと感じる金銭の支払い(ポイント還元や販売セールでの合理的な範囲を超えた原資負担金)」の要求があったかどうかという質問項目だ。
 

 「要求されたことがあった」と回答したのは楽天市場が84.2%、アマゾンが38.7%、ヤフーショッピングが16.8%となっており、ここでも楽天市場が突出した。

 報道などではGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)への風当たりが強いが、公取委の調査からは「国産」の楽天市場への不満の高さが目立つ結果となった。

 オンラインモール事業者は、あくまでも「市場」というプラットフォームを提供する会社であり、そのプラットフォームの主役は個々の出品業者のはず。その出品業者からの不満の高さが明らかになった調査結果に、一番驚いているのは楽天かもしれない。(BCN・細田 立圭志)