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コンビニの無人営業や省力化で、ローソンとファミリーマートが実証実験

 人手不足の課題解決に向けて、コンビニエンスストア各社で店舗オペレーションの無人化や効率化の取り組みが活発になっている。ローソンはこのほど、今年7月から数カ月間をかけて2店舗で深夜時間帯の無人営業の実験を開始すると発表。ファミリーマートは4月2日、横浜市都筑区の佐江戸店を、IoTを活用した次世代型コンビニエンスストアの実証実験店舗に位置付けて、パナソニックの100%子会社とフランチャイズ契約を結び、検証していくと発表した。

ローソンとファミマで進む無人営業に向けた実証実験

ローソンスマホレジは全国103店舗に導入済み

 ローソンは、深夜0時~朝5時にかけて、店員がレジにいない無人営業を試みる。顧客は専用アプリをダウンロードし、アプリ上に表示されたQRコードを店舗入口で読み取ると、ドアが開錠して入店できる。実証実験の途中からは、顔認証システムによる入店管理の導入も検討する。

 店内では通常の商品販売に絞り、店員による接客が必要とするたばこ・酒類の免許品やカウンターファストフーズ、切手類、収納代行、チケット発券などの販売は行わない。

 決済方法はスマートフォン決済による「ローソンスマホレジ」と、現金で支払ったり自動で釣銭が出てくる「完全セルフレジ」の2種類を用意する。完全セルフレジは、通常のPOSレジのほか、電子マネー、クレジットカード、バーコード決済などのキャッシュレス決済に対応する。

 また、実験の開始当初は、商品の片づけやシステムトラブルに備えて1人をバックヤードに置くが、時期を見て完全無人化への移行を目指すという。

 ローソンでは過去にも個別システムで実証実験を行っており、2015年のセミオート発注では発注業務に要する時間を44分削減したり、17年の自動釣銭機能付きPOSレジでは、点検・清算業務を94分削減したりする効果が得られた。また、18年のローソンスマホレジでは会計にかかる時間を通常のレジよりも約4分の1に短縮し、現在では全国103店に導入している。

ファミマは顔認証決済を導入か

 ファミリーマートパナソニックの取り組みでも、人手不足の問題解決や店舗オペレーションの抜本的な見直し、セルフレジ導入による省力化の促進など、従業員の負荷を軽減するほか、IoTを活用した顧客満足度の向上に取り組んでいく。

 パナソニックは4月1日付で100%子会社のストアビジネスソリューションズを設立し、ファミマとFC契約を結んで店舗運営を統括する。
 

 具体的に導入するソリューションは、画像処理による商品読み込みと、ディープラーニングを応用した顔認証技術で、顔の向きや経年変化、メガネにも影響されずに決済できるようにして、従業員の業務省力化や店舗価値の拡大につなげる。

 また、店舗内は各種カメラやIoTセンサーを設定してセンシングすることで、リアル店舗のデジタル化を行う。ウェアラブル端末を装着した従業員が、IoTセンサーから得られたデータなどから店内状況を把握して的確に業務を遂行する。

 ほかにも電子棚札を導入して、価格表示やPOPの作成・入れ替えを電子化して業務の効率化につなげたり、店内のカメラやセンサーから滞留ヒートマップを作成するなどして、店舗レイアウトや棚割り、品揃えの変更などに反映させたりする。

 ネットとリアル店舗を融合するオムニチャネル的な施策では、顧客がスマホアプリで注文・決済した商品を、従業員が店舗でピッキングや配達したりして、売り上げや配送サービスの向上につなげる。

 コンビニ各社は現在、さまざまなスマホ決済サービスに対応するなどキャッシュレス化に注力している。今後は無人営業やロボットなど、人手不足の解消に向けた取り組みが加速することになりそうだ。(BCN・細田 立圭志)