各企業とも、IoTを新たなビジネスに結び付けようと試みている。家電メーカーや通信事業者はもちろん、ハウスメーカー、建材・住宅設備メーカーもIoTに着目。話題性・収益性だけではなく、LIXILはIoT宅配ポスト「スマート宅配ポスト」で配送問題、凸版印刷は新開発のIoT建材「ロケーションフロア」で見守りや健康管理といった高齢社会の課題解消を図っていくと、社会貢献の側面を強調する。

床材と圧力センサーを一体化し、人が歩くだけで位置情報を発信する
「ロケーションフロア」

 しかし、そうしたIoT家電やIoT住宅と連携するスマートフォン用OSを開発するプラットフォーマーのGoogleは、さらに一歩先に進んでいる。最新の「Android 9.0 Pie」を搭載した「Google Pixel(ピクセル)」シリーズで、いち早く利用できるようになったカメラ検索機能「Google レンズ」を試してみて、位置情報こそ、全ての要だと感じた。
 
カメラで撮った画像から、さまざまな情報を検索できる
「Google レンズ」
 
判別できない場合は候補を表示。位置情報から、口コミや経路も調べられる

 Googleの企業理念は、「オンライン、リアルの区別なく情報を収集し、情報を統合して誰でもアクセスできる世界を創ること」と耳にしたことがある。AI(人工知能)とAR(拡張現実)を活用した「Google レンズ」は、まさにその理想を実用化したもの。リアルで写真を撮り、調べたい対象をタップするだけでオンラインにつながり、その内容を簡単にSNSでシェアできるとなれば、どんどん個人の体験が「有益な情報コンテンツ」として重みを増していく。

住宅・家電の各種センサーと5Gで暮らしが変わる

 床材と圧力センサーを一体化した凸版印刷のIoT建材「ロケーションフロア」は、人が歩くだけで位置情報を発信する仕組み。見守りサービスが必要な高齢者向け住宅や自治体などでの利用を想定しているようだ。

 ネットワークカメラの映像や給湯ポット、コーヒーメーカー、トイレの使用状況など、既存の方法に比べ、とてもシンプルだが、常に検知した情報を発信し、クラウド上のサーバーに蓄積しているとなると、万が一、ID・パスワードが漏れると悪用される懸念もありそうだ。

 次世代通信規格の5Gでは、現行よりも位置情報の精度が高くなり、現行の4Gでは特定できない、集合住宅の部屋番号まで分かるようになるという。5Gが暮らしを大きく変えるといわれる所以だ。

 こうなると、位置情報は常にオープンにして、必要に応じて他人や企業ともシェアし、「おすすめレシピ」「おすすめの音楽」「目的地に到着するために乗り換え・徒歩時間の少ないルート」などのリコメンドサービスなどを受けつつ、悪用を防ぐため、自宅の防犯対策、スマートフォンやノートPCなど貴重品のセキュリティー対策をしっかり行ったほうが、5Gならではの利便性を享受できるのではないだろうか。
 
利用にあたって、同意を求められる「利用規約」や「プライバシーの扱い」は、読み飛ばさずに、
しっかり目を通したい

 なお、特定の個人を識別できる位置情報は個人情報に当たるが、個人を特定できないものは個人情報に当たらないという。ただ、現行の規定には問題点があるとし、国内外で議論が高まっているようだ。今回は、位置情報サービスによって受けられる恩恵の最大化を念頭に、専門家の見解は参考にせずにまとめた。

 「Google レンズ」を試し、便利に、時間や買い物の無駄なく過ごせるなら、企業・団体などに、日常の行動パターン、趣味・嗜好から、健康状態、年収・貯蓄残高まで全部筒抜けでもいいんじゃない、と思った。例えば、年収水準と貯蓄額からAIが「分不相応」と判断した高額商品や、すでに所有している商品の広告が表示されなくなったら、オンライン広告に対する不満が減るはずだ。とはいえ、在宅状況など、防犯上、秘匿するべき情報はいくつか残り、新しい時代にあった規定について、議論する必要があると思われる。(BCN・嵯峨野 芙美)