【家電コンサルのリテールマーケティング Vol.14】 実演販売は、実際の商品を使いながら、商品のメリットをダイレクトに伝える販売方法である。代表的な例として、調理器具を使った「試食会の開催」が挙げられる。調理器具を使った料理を顧客に食べてもらい、普段の接客では伝えにくい「おいしさ」や「調理の簡単さ」を伝えながら、商品の良さを実感してもらう。今回は、試食会を例に「成功する実演販売」を紹介していこう。


 試食会をカメラ系量販店が実施しているのをよく見かけるが、郊外店では人手不足や保険の絡みもあって、店舗単独で実施しにくく、メーカーの協力を得て実施するのが一般的である。

 ただ、メーカーに協力を仰ぐからには、目標販売台数の計画や実施後の検証が必要になるはずだが、現状ではメーカーに任せっきりになっている店舗も少なくない。実際に食べるという体験を提供できるのは、ネット通販で絶対に真似できないリアル店舗ならではの強みが生かせるのだから、実演販売を店舗側で計画的に準備することが大切である。

 実演販売の準備項目の中でも、特に重要なのが「事前告知」だ。試食会は、来店客数のアップを狙える数少ないイベントの1つなので、顧客に「来週は試食会をやるのか」「そういえば炊飯器もそろそろ買い替えどきだな」という認識を持ってもらうために、店内のポスターはもちろんのこと、ツイッターなどのSNSやメルマガで事前に情報発信することが大切だ。

 間違っても、顧客が炊飯器を購入しようと思って来店したときに「たまたま試食会をやっていて、買い得だったから購入した」というのでは、来店客数の増加など期待できないことを肝に銘じてほしい。

 試食会をするなら、まずは、すべての販売員が実際に食べてほしい。自分自身が体験することでトークに説得力が増すし、自信を持って商品を勧められるなど、接客に対する姿勢が変わるからだ。

 さらに、店内での事前告知が充実していれば、イベントの認知度が高まり、他の商品を購入しにきた顧客にも、試食会の開催をアピールできるので、より多くの見込み客が取りやすくなる。

 この一声掛けを、消耗品など小口の購入をはじめとするすべての顧客に実施しよう。必ず販売台数が増加するはずだ。経費も時間も掛からない一声掛け活動は、試食会当日まで実施することが望まれる。

 やろうと思えば、すぐにできる準備活動を徹底することが、実演販売を成功させるためのポイントである。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。