国内無線LAN機器最大手のバッファローが今月、メッシュネットワーク製品のための新ブランド「AirStation connect」を発表した。メッシュネットワークとは、複数のWi-Fiアクセスポイントを設置して、その間を「網の目」のように接続することで、より広い範囲に最適なWi-Fi環境を提供するための技術だ。

バッファローが発表した「AirStation connect」

 国内の民生市場では、ネットギアジャパンがメッシュ対応の「Orbi」を2016年12月に発売。その後、ティーピーリンクジャパンが17年6月に「Deco M5」、グーグルが今年4月に「Google Wifi」、ASUS JAPANが今年5月に「Lyra mini」を発売していた。こうしてみるとバッファローは後発にあたるが、先行するグローバルベンダー各社も、海外での製品発表から日本市場での販売開始まではかなり時間が空いていた。米国などに比べて住宅が小さい日本において、メッシュ対応製品のニーズがあるかを慎重に見極めていたようにみえる。

 日本市場においてもWi-Fi中継器の販売は伸びており、1台のアクセスポイントではカバーできない部屋でもWi-Fiを快適に使いたいというニーズは強い。ただ、メッシュネットワークは、端末からインターネットへの出入り口(ホームゲートウェイなど)までの経路が複数存在する際に、ネットワーク機器側で自動的に最適な経路を選択してくれる点が最大のメリットとなっている。親機+中継器1台で完結する規模の家庭では、もともと経路が複雑なわけではないので、メッシュ対応製品×2台に取り換えても、必ずしも劇的なパフォーマンスアップにつながるわけではない。

中継器にないメリットは?

 メッシュ対応製品の現時点でのユーザーメリットは、設定のしやすさなど使い勝手の部分が大きいようにみえる。メッシュ対応のアクセスポイントでは、最初に設置する1台で暗号化キーなどの設定を行えば、2台目以降はごく簡単な操作を行うだけで設定が自動的に反映され、カバーエリアを拡大することができる。
 
スマートファンアプリで設定が行える製品も増えている(「Deco M5」のアプリ)

 また、親機+中継器の場合、それぞれ別のSSID(ネットワーク名)としなければならない製品があるほか、例えば中継器側に接続していたデバイスを親機の近くへ移動した場合も、ユーザーが明示的に接続先を変えるまでは、親機に比べ距離が遠い中継器側につながったままになる。一方メッシュ対応製品では、複数のアクセスポイントのSSIDが共通で、接続先を自動的に切り替える機能もサポートされている。このためユーザーはいまどのアクセスポイントにつながっているかを意識することなく、最適な通信環境を利用することができる。

 宅内の通信環境の改善は中継器でも可能だが、理想的なネットワーク環境を構築するには、ある程度の知識が必要となる。これに対して、複数のメッシュ対応製品を設置するのであれば、難しいことを考えなくても、宅内どこでも快適にWi-Fiを使える環境を実現できる。Wi-Fi環境を必要とする機器はPC、スマートフォン、ゲーム機だけでなく、白物家電やIoT機器などにも広がっており、家中で安定的にWi-Fiが使えるようにしたいというニーズは高まると考えられる。住宅が小さい日本市場でも各社がメッシュ対応製品を投入するのは、このような背景があるようだ。