ヤーマンが営業益で過去最高、主戦場の外にも種まき

販売戦略

2018/03/09 12:45

 美容家電メーカーのパイオニアであるヤーマンの2017年5月~18年1月期の連結営業利益が前年同期比45%増の40億円強で過去最高を記録したと、3月9日付の日本経済新聞が報じた。インバウンド事業や中国のECサイト「天猫(Tモール)」の好調が数字を大きく上振れさせた同社だが、国内でも主戦場である家電量販店以外で、次の成長に向けた種まきが進んでいる。

 ヤーマンは2月16日、大阪のなんばオリエンタルホテルと女性向けのレディース宿泊プランで協業。リラックスアイテムとして人気の美顔器を貸し出すサービスを開始した。ヤーマンのブランド戦略本部 プロモーション企画室の町居千都課長は「美顔器は化粧を落とした状態で試してほしいが、売り場での実現は難しい。ホテルの一室であれば、人目を気にせずに本来の使い方で製品を試していただける」と取り組みの狙いを語る。
 

なんばオリエンタルホテルと協業して女性宿泊客に製品の体験機会を提供

 他業種との連携も加速している。2月7日には国内最大手の美容脱毛専門サロンを展開するミュゼプラチナムとピーリング美容器を共同開発。ミュゼプラチナムの店舗や同社の会員限定ECサイト、ミュゼコスメ公式サイトで販売を開始した。
 

ミュゼプラチナムと共同開発した「MCダブルピーリングプロ リフトケアPLUS」

 16年8月から展開している直営店戦略も好調だ。17年11月には東京・銀座に続いて、上野の「上野フロンティアタワー」に2号店をオープン。体験・販売だけでなく美容家電コンシェルジュによるカウンセリングやアドバイスを取り入れたコト軸のアプローチを広げている。
 

国内初の直営店「ヤーマン銀座店」

 もともと家電量販店は女性へのリーチが弱い。売り場が拡大し、注目度が高まっているとはいえ、家電量販以外にも多くの潜在顧客が眠っている。数字のインパクトが大きい外需に目が向けられがちだが、国内でも次の成長曲線を描くための準備を着々と進めているヤーマンの取り組みに注目したい。(BCN・大蔵 大輔)