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<インフル・花粉対策の新常識>専門家に聞く 空気清浄家電から最大効果を引き出す豆知識

 インフルエンザや花粉の対策で真っ先に思いつくのは、空気清浄機で室内の空気を清潔に保つことだ。しかし、家庭でも販売現場でも使用方法に関して誤解されていることがしばしばある。今回は空間をキレイにする家電メーカーの専門家に最大のパフォーマンスを上げるための正しい知識を聞いた。

室内の空気は外気より汚い 24時間の使用を推奨

 花粉対策の最重要アイテムに挙げられる空気清浄機。導入しやすい一方で、使い方、メンテナンスなどに対する勘違いは多い。

 スウェーデンの空気清浄機ブランド「ブルーエア」を販売するセールス・オンデマンドの事業本部ブランドマネージメント部 片柳七英アシスタントマネージャーは、「空気清浄機は、24時間使用しなくては最大限の効果を発揮できない」と語る。

ブルーエア販売代理店 セールス・オンデマンド 事業本部ブランドマネージメント部
片柳七英アシスタントマネージャー

 「外から室内に入ってきたときや、換気で花粉が入ってきたタイミングだけ稼働させればいいと考えているユーザーは多い。しかし、本当は室内の動きがなく舞っているホコリや花粉をキャッチしやすい、留守のときや就寝時が最も効果的」。

 空気清浄機の稼働時間に関する勘違いの根幹にあるのは「室内の空気は外気よりキレイ」というイメージだ。米環境保護庁(EPA)の調査によると、室内の空気は外気より5倍汚れているという。

 理屈はシンプルで、空気が常に循環している外とは異なり、室内は空気が同じ場所に留まりやすい。滞留すれば、それだけ汚れも蓄積されやすくなる。東京大学生産技術研究所の村上周三氏によると、人間が摂取する物量の約6割は室内の空気が占めているそうだ。健康のことを考慮するなら、飲料水以上に室内空気をキレイに保つ必要があるのだ。
 

 また、インフルエンザの予防を目的とするならフィルターの性能もしっかりとチェックしておきたい。スギ花粉が30μmなのに対して、インフルエンザウイルスのサイズは0.1μmととても小さい。一般的なHEPAフィルターの定義はJIS規格で「0.3μmの粒子の除去率が99.97%以上」なので、スペック次第ではフィルターをすり抜けてしまうので注意が必要だ。
 

0.1μm以上の微粒子を99.97%まで除去する「Blueair Classic 280i」

空気清浄機とセット提案 掃除機が必要不可欠な理由

 室内の空気をキレイにする中心となるのは空気清浄機だが、より効果を高めたいならクリーナーも併用したい。宙を舞う花粉は床に落ちてしまうと、空気清浄機の適用範囲外になるためだ。そこでクリーナーでしっかりと回収する必要がある。

 三菱電機ホーム機器の営業部家電営業課 福富智之グループリーダーは「床だけでなく、壁にも花粉は付着する」と掃除の盲点を指摘する。三菱電機のサイクロン式掃除機「風神」は、その点に注目して“はたき”を搭載するノズルを付属アタッチメントに採用。床だけでなく壁や天井まで全方位をカバーする立体掃除を提案している。
 

三菱電機「風神」シリーズの最新モデル(TC-ZXG30P)には「ブローはたきノズル」が付属する

エアコンと空気清浄機の合わせ技 得意分野で棲み分け

 エアコンの付加価値として空清機能を搭載するモデルも増えている。代表格として挙げられる東芝の「大清快」は電気集じん方式を採用し、フィルター交換不要なのが売りの一つだ。

 注目したいのは2018年モデルに空清機能を搭載したパナソニックの「エオリア」だ。室内の空気の汚れを感知して自動でON/OFFが切り替わる独自フィルターは可動式で、役割を果たすとエアコンの吸気を妨げない位置に収納される仕組み。
 

独自フィルター採用の空清機能を搭載したパナソニック「エオリア」の2018年モデル

 空気清浄機が部屋の下の重い粒子を得意とするのに対して、エアコンは部屋の上の軽い粒子に効果的とのことで、エアコンと空清の併用を推奨している。(BCN・大蔵 大輔)

※『BCN RETAIL REVIEW』2018年1月号から転載