ドンキホーテホールディングスは8月16日に開催した2017年6月期の決算説明会で、リテールテクノロジー事業への参入を示唆した。

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リテールテクノロジー事業参入のプランを明かした大原孝治社長兼CEO

「日本は危機意識が薄い」

 「米国ではAmazonが小売り大手のホールフーズ・マーケットを買収し、流通業界で危機意識が高まっている。一方で日本は危機意識が薄いのではないか」――大原孝治社長兼CEOは、7月にスタートした新年度の注力事業に掲げるデジタル戦略を語るにあたり、現在の国内の流通業界に警鐘を鳴らした。

 17年2月にサービスを開始した「majica Premium Now」が顕著な例だが、ドンキはAmazonに対して、以前から徹底対抗する姿勢を示している。事業基盤を脅かす黒船を排除すべき存在と捉えているかと思いきや、大原社長は「15年前からWebとリアルの垣根はなくなると考えていたが、スマートフォンとECの普及によって現実のものになりつつある。きっかけを与えてくれたAmazonの参入は大歓迎」とポジティブに捉える。

 しかし、その姿勢も「顧客の利便性を考えれば」という前置きがあってこそだ。ビジネスとしては「IT企業のリテールテックが店舗を支配するようになるのがワーストシナリオ。流通業は壊滅する」と、危機感を募らせているのが本音だ。

 この最悪のケースを防ぐためには、自らリテールテックを開発し、運用していく必要がある。今回の会見で大原社長は「IT業界にも価格破壊を起こす」と、異業種への参入を高らかに宣言。イメージとして映し出された映像では、ドンキ独自の電子マネー「majica」の会員情報をもとに、駐車場利用のスマート化や商品のレコメンド、会計の簡略化、別アプリ内でのポイント利用などの具体例が紹介された。
 
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自社開発のリテールテック活用事例のイメージ映像

 視野に入れているのは、流通業界全体だ。「この映像は自社サービスに限定したものだが、同志的連携が可能な場合は同業他社にもさまざまなソリューションを提供していく」と、将来的なビジョンを提示。「2020年までの目標である売上高1兆円はみえてきた。そうなると次は2兆円。2兆円の売り上げがあれば、リーディングカンパニーとして業界を牽引していく立場になってくる」。

 今回の発表は構想の3分の1程度で、後日改めて事業の全容を説明する場を設けるとのことだったが、すでに実験店舗の計画も進んでいるようだ。IT業界の攻勢に防戦一方だった流通業界の反撃の狼煙となるか。ドンキの業界全体を巻き込んだ逆襲が始まる。(BCN・大蔵 大輔)