電子情報技術産業協会(JEITA)は2016年末に、「2020年のテレビ国内需要を1050万台」と予測した。アナログ停波とエコポイントによる特需で10年には出荷台数が2500万台を超えたが、ここ数年は500万台前後と低調に推移。徐々に回復傾向にあるとはいえ、業界の期待値にはほど遠い。買い替え需要がある程度は見込めるとしても、1000万台超えは容易ではないと各社は慎重な姿勢だ。

■【4Kテレビメーカー座談会2017】
テーマ1:市場動向・ユーザー意識の変化
2020年までに出荷台数1000万台は可能?
テレビ離れを食い止める術を各社模索中

台数・金額で前年比超えも 先行きを懸念する声多数

 足元の動きだけなら、テレビ市場は好調といえるだろう。実売データを集計するBCNランキングによると、販売台数・販売金額はともに16年10月から8か月連続で前年比超えを記録。全体に占める4Kテレビの比率は台数で約3割、金額で約6割まで伸長し、先行きは明るいかに思える。しかし、「本来なら20年に向けてもっと伸びていいはずだ」と、座談会参加者からは現状を不安視する声が相次いだ。
 

LG Electronics Japanの金東建部長

 テレビの寿命は6~8年で、ピーク時の年間出荷台数を考えると、そろそろ700万台、800万台とアップトレンドになってもおかしくない。しかし、アナログ停波需要が終息した12年以降、500万台~ 650万台で推移。16年は前年比超えしているとはいえ、微増にとどまる。買い替え時期の出足で躓いていては、20年に1000万台という目標は青写真で終わりかねない。

進まない買い替え促進 若年層の“テレビ離れ”も深刻

 原因として挙がったのは2点。まずは、テレビの買い替えに対するユーザー意識の変化だ。かつては使用しているテレビが故障していなくても、魅力的な製品が発売されれば購入につながったが、現在は故障しない限りは買い替えないというスタンスのユーザーが増えた。もちろんテレビが長寿命化・高画質化し、高い満足度を維持していることもある。しかし、買い替え促進が進まないのは業界にとって深刻だ。
 

シャープの指出実部長

 次に若年層を中心とする“テレビ離れ”がある。モバイル端末で視聴できる映像コンテンツが拡大したことで、テレビのプレゼンスが弱まってしまっているとの見方だ。通信費が増大し、テレビにかけるコストが抑制されているのではないか、という意見も挙がった。

新しい価値の創造が急務 生活スタイルを変える提案を

 もちろんテレビメーカー各社は手をこまねいているわけではない。地上波放送を視聴するだけのデバイスから脱するため、さまざまに進化の方向性を探る。

 4Kはその最先鋒で、大画面ならではの価値をダイレクトに消費者に提案し、順調にすそ野は広がっている。テレビ向けにチューニングしたOSを搭載し、ネットワーク経由で多彩な4Kコンテンツにアクセスできるようになった点も大きい。当初は懐疑的な意見が多かったが、確実にユーザー間で浸透し始めているという。
 

 操作インターフェースの刷新もユーザーに評価されているポイントだ。例えば、音声インターフェースは操作ではなく、検索という方向に活路を見出しつつある。「リモコンでも十分な操作に音声を用いることに抵抗感があっても、コンテンツを探したり、番組を録画するときには圧倒的に便利」とのことだ。

 また、従来のチャンネル選択ボタンを廃して、直感的インターフェースを採用したリモコンは意外にもシニア層から支持を得ているそうだ。困難な挑戦ではあるが、テレビが次世代を迎えるために常識を打破しなければならない局面が今後ますます増えていきそうだ。(BCN・大蔵 大輔)
 
開催日:2017年5月24日
場所:BCNアカデミールーム
参加メーカー:LG Electronics Japan、シャープ、ソニーマーケティング、東芝映像ソリューション、パナソニック(50音順)
▼4Kテレビメーカー5社が議論
https://www.bcnretail.com/market/detail/20170628_43044.html


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。


※『BCN RETAIL REVIEW』2017年7月号から転載