【年頭所感】リテール企業トップが占う2017年(3)

オピニオン

2017/01/25 10:03

 少子高齢化による国内家電マーケットの縮小、白物家電を中心とした買い替え需要による高付加価値商品の販売、オムニチャネルによるインターネットとリアル店舗の融合、インバウンドの風向きの変化など、リテール企業を取り巻く環境が大きく変化した2016年。リテール企業のトップが2017年の抱負を語る。

■リテール企業トップが占う2017年(3)
ムラウチドットコムヤマダ電機ユニットコムラオックス

 

ムラウチドットコム

村内 伸弘
代表取締役社長兼CEO

◇根をはらせるだけ樹は伸びる

 明けましておめでとうございます。今年の家電流通は…、というよりもお客様に家電製品を購入していただき喜んでいただくための手助けをすることが、常に変わらぬ業界の使命だと私は信じています。

 特色(売り方)、価格、品揃え、納期、使いやすさなどを日々継続的にブラッシュアップすることが大切だと思います。

 その使命を遂行するため、お取引先様との強固なパートナーシップの構築が重要だと思っています。また、その使命を成し遂げていくためには社員さんたちの働きがいや、働きやすさも大事だと最近強く感じています。

 根をはらせるだけ樹は伸びる。
 会社の根は顧客であり、取引先であり、社員である。
(永長左京)

 今年もムラウチドットコムは、ただひたすらお客様のために、お取引先様のために、社員さんやそのご家族のために一丸となって働きます。

 平成29年も私たちはお客様やユーザー様の代理として、目の前の仕事に夢中で取り組みます。会社はお客様やユーザー様の喜びのためにあります、私たちはただひたすら努力します。皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

ヤマダ電機

桑野 光正
代表取締役社長兼代表執行役員COO

◇中期経営計画の達成に向け邁進

 家電流通業界の市場環境は少子高齢化や人口減、ネット社会等による社会ニーズの変化を背景に、変貌しつつあります。

 こうした中でヤマダ電機は、2020年度を最終年度とする中期経営計画の目標達成に向けて、新規ビジネスの開拓と構造改革、既存ビジネスにおける小売業としての基本の徹底をしていきます。

 山田昇代表取締役会長 兼 取締役会議長がスマートハウスやリフォームに加え、会員サービスや全国の店舗網、グループ力を生かしながら、これからの時代に必要とされる新たなソリューションビジネスなど、新規ビジネスを創出していきます。

 また、一宮忠男代表取締役副会長 兼 代表執行役員CEO は、既存ビジネス領域でのSPA(製造小売り事業)など独自商品の開発や、お客様目線・川下発想での革新的な事業、構造改革を実践します。

 さらに私は、代表取締役社長 兼 代表執行役員COOとして既存ビジネスにおける店舗効率を向上させるための改革や、イノベーションを発揮する人材を育てる人事制度や人材教育の改革を推進していきます。

 家電量販店にとって人は財産であり、経営の課題を解決するためのカギを握るのは、人材や組織マネジメントの強化です。代表権を持つ3人が役割分担を明確にして、各々の事業領域を推進しながら経営のさらなる一層の強化を図っていきます。
 

ユニットコム

髙島 勇二
代表取締役

◇27年の専門技術で安心を提供

1. 2017年頭にあたってのご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。2017年の年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。当社はPC パーツ・周辺機器の専門店として創業以来27年間、その専門技術を活かして日本全国の「パソコン工房」「グッドウィル」のサービス拠点を通じて、より地域のお客様ニーズを追求し、ご愛顧いただける製品・サービスをご提供して参りました。27年にわたるお客さまのご愛顧とご支援に感謝するとともに、引き続き、さらなる成長に向けて前進することを実現し、誓い合う1年としたいと考えております。

2.2016年のトピック

 e-Sports、VR元年、IoT製品、ドローン格安SIMの台頭と業界内でも様々な分野で目まぐるしく最新の製品やサービス、モメンタムが立ち上がる一年でした。同時に、市場の変化に合わせてお客様の求めるニーズも想像以上のスピードで変遷を迎えていることが、肌で感じ取れる1年であったと考えます。

3.2017年の抱負

 我々が知りうる中でも2017年より新しい製品やサービスが数多く登場します。一方で、その製品を身近に体感できる場所、使い方やサポート拠点が、世の中に十分いきわたっていない状況です。2017年は弊社が持つ専門性や技術、リアル店舗等でのタッチポイントを通じて、様々な最新の製品・サービスをより多くのお客様へ、安心してご利用いただけるよう展開を進めて参ります。

ラオックス

羅 怡文
代表取締役社長

◇真価の問われる年に

 ラオックスは2009年より「家電量販店」から「総合免税店」へと変革し、訪日旅行客に対し、他社に先駆けて免税販売を行ってきた。その後、着実に成長し、15年には「爆買い」の年とされ世間から注目を浴びたが、15年後半から市況が急速に変化してきた。17年はインバウンドの先駆者として真価の問われる1年になる。

 市況の変化として「円高」「中国の関税強化」などが挙げられる。これらにより高級品需要の縮小が起こり、旅行の目的が「買い物」から「体験や体感」などに変化しており、17年も進んでいくと思われる。私たちは変化に対応すべく、従来の買い物だけではなく、飲食やエンターテインメントまで幅広く取り込んで、総合サービスの向上を行う。

 私たちは、世界に誇る高品質で信頼できる日本製品をメーカ様やベンダー様と共に発掘・開発し、日本のおもてなしをもって、当社の理念である「ジャパンプレミアム」を世界に届けていく。そして、物販のみならず、あらゆる高品質なサービスを提供する事で、顧客満足度を向上・最大化し、「Japan Quality Life」の体現に力を入れていく。

 インバウンド市場はまだまだ成長していく。政府発表によると、16年は訪日旅行客が約2400万人、20年には4000万人を目標としており、急速に発展してきている。これを大きなビジネスチャンスと捉え、常に変化していく需要に対応し、企業の発展を目指すと共に、日本国が掲げる「観光立国推進」に対し、これからも貢献していきたい。
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2017年2月号から転載