【年頭所感】リテール企業トップが占う2017年(2)

オピニオン

2017/01/24 11:41

 少子高齢化による国内家電マーケットの縮小、白物家電を中心とした買い替え需要による高付加価値商品の販売、オムニチャネルによるインターネットとリアル店舗の融合、インバウンドの風向きの変化など、リテール企業を取り巻く環境が大きく変化した2016年。リテール企業のトップが2017年の抱負を語る。

■リテール企業トップが占う2017年(2)
ストリーム・ドスパラ・ナニワ商会・ベスト電器

 

ストリーム

劉海涛
代表取締役社長

◇オンラインゲーム事業も好調

 新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。当社では、家電を中心とした「インターネット通販」事業において独自に開発した販売から物流までワンストップで管理できるローコスト・オペレーション・システムを構築し、徹底した効率化により最高の顧客満足を実現して参りました。

 その結果、当社が運営する通販サイト『ECカレント』は、米グーグル社から世界の優良ネットショップとして日本で初めて選ばれた5社に入るなど、日本におけるリーディング・カンパニーとしての位置づけを獲得しております。

 以降、売れ筋商材の確保とアイテム数の充実による在庫の適正化を推進し、昨年に新規出店を行ったアマゾンなどモール型ECサイトでの販売促進イベントの積極的な参加も行い、販売は好調に推移しております。

 これまで蓄積した通販事業のノウハウを駆使し、子会社であるエックスワン社の幹細胞コスメをはじめとする商品のネット通販や国内免税店販売への展開を行い、また、オンラインゲーム事業も当社が開発と運営を手掛けたタイトルが昨年配信され、売上は好調を維持しております。

 2017年におきましても「インターネット通販」をメインに、「各種販売支援」「オンラインゲーム」「化粧品・健康食品等の販売」の4つの事業を柱に事業効率を高めて企業価値の向上を図って参ります。

ドスパラ

西尾伸雄
代表取締役社長

◇来る価値のある「専門店」になる

 皆様におかれましては、輝かしい年をお迎えのことと存じます。来る価値のある『専門店』となる。ドスパラの“ありたい”姿です。

 お客様やお取引先様、関係者様、弊社従業員と話を交わす中で、私が思ったことは「体験できる・試せる」が、いかに重要であるかという点です。

 当社では、パソコン・パソコンパーツ・デジタル機器、その関連製品を取り扱っておりますが、お客様は買わなければ、これらの商品を試すことはできません。然しながら、一つ一つの製品は決して安くはありません。最近では、VR、ARの新技術を応用した製品が次々に登場しています。当社でも関連商品を発売致しましたが、体験する前と体験した後では、その製品に対する価値感はまったく異なります。

 新しいデジタルデバイスを活用したライフスタイルが広がっていく中、私はパソコン専門店として、パワーユーザー・プロクリエイターの方々に、新しい機器を手軽に気軽に「体験できる・試せる」環境を創りたいと考えています。

 2017年、更に、お客様にとって、社会にとって、価値のある『専門店』となることを目指して参ります。

ナニワ商会

塩山知之
代表取締役社長

◇写真を楽しむ新たなサービスを開発

 我々の主戦場の写真の市場においては入力、出力双方において市場規模が大きく縮小しました。我々がお客様のニーズに十分にお応え出来なかった結果だと感じています。

 そんな中、デジタルマーケティングの技術がどんどん進化し、経営におけるマーケティングの重要度がますます増していると思われます。ターゲットを再度明確にし、常にお客様の問題を解決するという視点をもち、コンテンツの質と量の向上、お客様のデータの蓄積、MAツールを活用したより効率的なクロージング、リアルの営業とECを上手く組み合わせるオムニチャネルの促進等を進めていきたいと考えております。

 また商品・サービス自体においてもデジタル技術の進展の影響がより大きくなってきております。写真はデジタル技術との親和性が高く、入力機であるカメラはスマホが主流となり、出力においてはペーパーレスが加速し、写真の楽しみ方が大きく変わっています。

 今年はお客様の顕在・潜在ニーズを深く考え、画像認識などの新たな技術も活用し、新たな写真の楽しむためのサービス開発にも挑戦したいと思っています。他にも、昨年、確立したベトナムでの画像処理機能を活用したサービス開発や、小売り、卸のお客様のネットワークを活かした機材のシェアリングのサービスにも取り組んで行きたいと考えております。

ベスト電器

小野浩司
代表取締役社長

◇真の「くらしのベストパートナー」に

 今年の干支は「酉」年です。酉の本来の読み方は「ゆう」と読み、収穫した作物から酒を抽出するという意味や、「実る」ということも表します。また、トリは「取り込む」にもつながると言われ、今年は商売の年として、業界全体でお客様を取り込み、実りの多い成果の出る1年となるよう期待しております。

 2016年におけるわが国経済は緩やかな景気回復基調にあるとは言うものの、英国のEU離脱等による海外経済の不安定化、停滞が続く国内消費等でなかなか明るい兆しは見えません。

 このような状況の中、当社におきましては、海外売上の為替の影響や、インドネシアの合弁をFCに切り替えたことが主な要因となり減収となりましたが、構造改革の成果があらわれはじめており、増益基調で推移しております。

 2017年度は、かねてより取り組んできた、既存店の活性化、リフォーム・リノベーション事業、法人事業の強化に加え、海外事業においてこれまで未進出であった国への展開も視野にいれ、さらに営業力を高めていきたい。そして、家電を通してお客様に寄り添う真の『くらしのベストパートナー』を目指していきます。

※『BCNRETAILREVIEW』2017年2月号から転載