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<Special Interview>日本マイクロソフトの三野達也氏に聞く「Surface Book」の魅力

特集

2017/01/04 12:04

 日本マイクロソフト コンシューマー& パートナーグループ マイクロソフトデバイス戦略本部業務執行役員 本部長の三野達也氏に、2016年2月に発売した「Surface Book」の魅力と、販売促進のための取り組みについて聞いた。

取材・文/細田 立圭志
写真/瀬之口 寿一

ビジネスにも、クリエイティブにも
究極の一台「Surface Book」

 

日本マイクロソフト
コンシューマー& パートナーグループ
マイクロソフトデバイス戦略本部
業務執行役員 本部長
三野達也

約4年半で「2 in 1」市場を創造 「Surface Book」の使命は?

―― Surfaceが登場してから約4年半が経ちました。

三野 2012年6月に日本で発売してから約4年半。当時は、タブレットにもPCにもなる新しい「2 in 1」のカテゴリを提案しました。Proシリーズにより、ノートPCの中で「2 in 1」の構成比が約2割になる市場をつくることができたと考えています。われわれとしては、ノートPCやタブレットという分類ではなく、「Surface」というカテゴリをつくり、そこで新しい提案や市場をつくっていく思いで取り組んでいます。

 その中でSurface Bookのポジションは、Windows PCによるビジネスユースだけではない、クリエイティブな層にも満足いただけるハイエンドモデルです。この領域はまだまだ活性化すべき余地があります。「2 in 1」が普及するまでに4年半かかったように、Surface Bookはこれから注力していかなくてはいけません。

―― Surface Bookを売り慣れていない販売員も多いと思います。魅力について教えてください。

三野 まずは、モノとしての所有欲をくすぐるデザインの美しさです。ビジネスで使う書類フォルダのフォルムから着想して生まれたデザインは、取り出しても美しく、手にしっくりと馴染みます。また、モビリティーを重視するだけではなく、クリエイターが机で作業する際もラップトップとしての安定感を兼ね備えているのも魅力です。

 13.5インチの大型ディスプレイを、ベースを浮かせずに動かすには、さまざまな工夫が必要です。例えば、電気的なロック機構によりワンタッチでディスプレイを脱着できる「マッスル ワイヤーロック」や、ディスプレイをなめらかに動かし、かつ堅牢な「ダイナミック フルクラムヒンジ」などのこだわりもそうです。片手で簡単にディスプレイを開くことができます。

―― 主なターゲットはクリエイターなどプロユースの方々ですか。

三野 もちろん、Surface Bookは外で移動しながらアウトプットを出さなくてはならないプロの写真家のニーズに応えることができます。クリエイターのワークフローを変えてくれるのです。

 しかし、プロの方たちだけではなく、趣味にこだわっている一般の方にもメリットはあります。こうした方々は、専用機だけに投資できないので、Surface Bookがあれば二重投資をしなくて済むからです。ビジネスユースとクリエイティブユースの両方を兼ね備えているので、せっかく今、PCを購入するタイミングにあるならば、いいマシンを購入しましょう、といった薦め方は有効です。
 

「Surface Bookは究極の1台」と語る三野本部長

―― 一般ユーザー向けには、どのように魅力を伝えますか。

三野 Surfaceはディスプレイとタッチペンが特徴です。とくにペンに関しては、「書く」という、人々が最も慣れ親しんでいる入力手段に必要なデバイスです。だからこそ、紙やペンを使って実際に書くようなフィーリングに近い筆圧を実装しています。

 また、水彩画などがシニア層に人気ですが、描いた作品をその場で共有するなど、紙にはできないことができてしまうのが、デジタルのすばらしさです。トレースや色づけなど、クオリティの高い水彩画の作品がつくれます。クリエイティブな作業をハイパフォーマンスでカバーするWindowsマシンがSurface Bookなのです。

―― 家電量販店などリアル店舗での接客が必要な製品ですね。

三野 Surface Bookは説明製品なので、オンラインでの販売は難しく、店頭での接客が欠かせません。ある特定の目的をもって使っていただけるお客様に、きちっとメッセージを伝えていきたい製品です。そのためには、プロダクトアウトの発想でスペックを全面に押し出した販売ではなく、そのお客様がどのような使い方をするのかを聞き出さないと、最終的な提案にはつながりません。

 しかも、プロの写真家や写真が趣味の方、最近、一眼レフを買ったばかりの方、スマホでSNSなどに写真をアップする方など、「写真」一つをテーマにしただけでも、お客様ごとに何がしたいのかは異なります。個別のお客様ごとのストーリーに沿った提案が重要になるのです。

 ある人にとっては、カメラで写真を撮った後に使うPCでもあるわけです。どのように編集するのか、ストレージにどう保存するのか、どのSNSやサイトに載せるのか、どのように共有するのかなど。また、3:2のディスプレイは、カメラのファインダーの絵とPC、プリンタでのアウトプットの絵が同じサイズで、しかも解像度が極めて高いのです。

 お客様のライフスタイルにおけるワークフローを想像しながら、シナリオに沿って語りきることが重要です。むしろ、そうしないとお客様に価値をご理解いただくのは難しいでしょう。

 Surface Bookは今年2月に発売しましたが、ようやく販売員の方々も自信を持ってお薦めできるデバイスに育ってきたと感じます。最初は写真、イラスト、CAD、ビジネスの四つのシーンからの販売フローしかつくっていませんでしたが、今では現場の方々からアイデアをいただきながら、提案手法は次々に増えて、成功事例も出ています。

 マイクロソフトとしては、高価なデバイスが売れるようになってきたことは、PCカテゴリ全体の底上げにもつながると信じています。
 
■プロフィール
日本マイクロソフト
コンシューマー& パートナーグループ
マイクロソフトデバイス戦略本部
業務執行役員 本部長
三野達也

1973年生まれ。NTTコミュニケーションズ(株)を経て、2003年に日本マイクロソフト入社。Microsoft Offi ce、情報系サーバー製品、クラウドサービスの製品マーケティングを担当したのち、14年より現職。
 
 
<Pickup>Windows 10の機能を存分に取り入れた
「Surface Book」


 「Surface Book」はSurfaceが誇る究極のパフォーマンスを発揮する最上位モデル。クリエイターの高度な作業も軽くこなす高性能ノートPC。高精細な13.5インチのPixelSenseディスプレイや微妙な筆圧の違いを表現するSurfaceペン、12時間の長時間バッテリなど、クリエイターの期待に十分に応える一台だ。

手前からSurface Book、Surface Pro4

タブレットにして直感操作

 キーボードを取り外すとタブレットになる。タッチパネルによる直感的なピンチイン/アウトで画像を縮小、拡大できる。高速GPUを搭載したキーボードとつなげれば高速・高性能のノートPCになる。
 

キーボードを取り外した状態のSurface Book