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変わるタブレットのニーズ、SIMフリーが伸びる、格安SIMを追い風に

時事ネタ

2016/12/28 17:00

 タブレット端末は、インターネットや電子書籍の閲覧など、自宅で使う2台目の端末として一時、脚光を浴びた。しかし、需要が一巡すると同時にスマートフォンの大画面化も進み、あまり話題にならなくなってしまった。注目度と比例するかのように、売れ行きは低迷。家電量販店ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、2014年12月以降、販売台数はずっと前年を下回っている。


 特に、Wi-Fiのみに対応するWi-Fiタブレットの落ち込みが大きい。割合としては、依然としてタブレット全体の販売台数の6~8割を占めるものの、前年同月比はこの1年間63.3~83.8%と一貫して低調だった。

 対して、端末単体でデータ通信できる通信機能付きモデルは、前年を大幅に上回る月もあり、Wi-Fiモデルに比べると売れ行きは順調だ。タブレット全体の販売台数に占める割合も3割未満から4割弱へと拡大。特に今年7月以降、好きなキャリアのSIMカードを挿入して使えるSIMフリータブレットが伸びている。7月~11月の前年同月比は159.0~270.6%。以前の販売数が少ないとはいえ、前年実績に比べ、最大3倍弱という驚異的な伸び率を記録した。

 SIMフリータブレットのOSはほぼAndroidで、わずかにWindows 10搭載機種も販売されている。メーカーは、SIMフリースマホでもライバル関係にあるASUSとファーウェイの2社が競い合い、この2社だけで8割以上のシェアを占める。
 

 ドコモなどの大手キャリアが販売するSIMロックありの通信機能付きタブレットは、購入時に必ず回線を契約する必要があり、通常より安いセット割り引きやシェアプランを適用しても、通信料金はそれなりにかかる。

 一方、SIMフリータブレットの場合、「格安SIM」と呼ばれるMVNOのデータ通信専用SIMを選べば、通信料金は、月間3GBの場合でおおむね月額1000円程度。大手キャリアのデータ通信サービスの追加チャージは、1GBにつき税別1000円なので、スマホ1台で動画をたくさん見て、足らなくなった場合に追加チャージするより、動画試聴専用のタブレットを用意して、別途、MVNOを契約したほうが利用できるデータ容量が多くなる上、通信料金も安く済む計算だ。
 

 データ通信専用SIMは、最低契約期間が設定されていないことがほとんどなので、不要になったら解約でき、試しに使うには最適だ。また、SIMフリータブレットの一部機種は音声通話にも対応しており、カメラ機能を重視しないなら、スマホ代わりにもなる。
 

回線契約が必須ではないSIMフリーなら、Wi-Fiモデル同様、ランニングコストを気にせず買える
(左から、ファーウェイの「HUAWEI MediaPad M3」、ASUSの「ASUS ZenPad 3 8.0 (Z581KL)」)

 ここ数年、自宅では常に2台以上の端末を使っているが、iOSではバックグラウンド再生できないYouTubeや他の動画サービスを片方の端末で再生しながら、別の端末でTwitterやブラウザなど他のアプリを利用したり、洗面所やキッチンなどに壊れても支障のない古い端末を置いて使ったりと、なかなか便利だ。iOSとAndroidの組み合わせで使ってみても、OSの違いが新鮮に感じ、それぞれの最新機能も試せて楽しい。

 何でもスマホ1台で済ませているので壊れると不安、使い慣れた今の端末に不満はないけれど、新しい端末も試しに使ってみたい――。「2台持ち」は、そうした悩みを解消する。スマホに続き、タブレットにも、自由度を広げる「SIMフリー」の波がやってきている。(BCN・嵯峨野 芙美)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。