日本の魔法瓶メーカー、本社はなぜ大阪に?

特集

2016/12/13 12:58

 寒い冬には特に重宝する魔法瓶。主なメーカーを思い浮かべると、本社は大阪に集中している。なにか理由があるのか。象印マホービン広報部の西野尚至部長に取材すると、納得の答えが見つかった。


象印マホービン広報部の西野尚至部長

 西野部長によると、魔法瓶はヨーロッパで始まり、その後、日本に伝わった歴史がある。輸出先は、生水が飲めない東南アジアが多かった。いったん沸かした水を保存する容器として、魔法瓶に高い需要があったことが理由だ。
 

取材に応じる西野部長

 黎明期の日本では、ガラス製の内瓶メーカーと金属製の外瓶メーカー、組み立てメーカーの3業種で一つの魔法瓶を作っていた。象印マホービンは内瓶メーカーだったが、後に組み立ても手掛けるようになった。
 

手吹きで内瓶を作る大正時代の大阪のガラス職人(象印マホービン提供)

 多くのメーカーが大阪を本拠地とするのは、大阪が「日本のガラス発祥の地」(西野部長)だから。象印が本社を置く大阪市の天満界隈を中心に、腕利きのガラス職人がたくさんいたことで、魔法瓶の生産が産業として定着したのだ。

 大きく発展したのは、第一次世界大戦開始後。西野部長は「戦場となったヨーロッパから東南アジアへの供給が難しくなった。これが特需となり、日本の魔法瓶産業が大きく発展した」と解説した。