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<Top Vision>ネイト ロボティクス 代表取締役社長 竹田芳浩 社長就任からまもなく1年 認知度向上が課題に

インタビュー

2016/08/26 17:00

 ロボット掃除機の専業メーカー、ネイト ロボティクスの竹田芳浩代表取締役社長にインタビューした。

取材/道越一郎 BCNエグゼクティブアナリスト
文/山下彰子
写真/瀬之口寿一
 

ネイト ロボティクス竹田芳浩代表取締役社長
 

年間約100億円の市場でブランドイメージの確立に注力

道越 話題のロボット掃除機市場ですが、どのぐらいの規模に成長していますか。

竹田 年間約100億円の市場と言われています。台数では月間3万台くらいですが、このなかにはおもちゃのような安いモデルも含まれます。しっかり掃除ができる3万5000円以上のモデルで絞ると、月1万5000台前後になると思います。弊社の販売台数は公開していませんが、私が入社する前と今では5~10倍に伸びています。

 今後はブランドイメージの確立に力を注いでいきます。家電量販店では弊社の製品が並んでいますが、目立っていない。そのため、店舗を巡回する営業マンを雇い、売り場でのコーナー取りや製品特徴が分かるPOPなど、当たり前ですが製品の良さが伝わるよう取り組んでいます。
 

道越 他社は店頭で実演を行っていますが、御社にその予定はありますか。

竹田 日本で販売を開始したばかりの2014年には行っていましたが、現在は人手不足のため実施していません。9月には再開したいと考えています。また、ある家電量販店ではロボット掃除機の無料貸出サービスを実施しており、2~3割が購入に結びついているといいます。弊社でもここに貸出用の製品を納品しました。性能に自信がありますので、ぜひ実環境で使っていただきたいですね。
 

目標販売台数は月2000台 ネット販売の強化も課題

道越 2015年10月の社長就任からまもなく1年になりますね。手応えはいかがですか。

竹田 数字では500~1000%と伸びているので、まずは合格点かな、と思っています。それでもまだやりきれていないことも多い。まずは販売チャネルの拡大です。さらに、既存のチャネルはより深く、つながっていきたいと考えています。また、ネット販売の強化も課題の一つです。本国ではネットの割合は6割ですが、日本では45%ほどです。まだまだ伸ばす余地があると考えています。目標とする販売台数は月2000台です。時間はかかると思いますが、認知度を高めることで達成できると考えています。

・後半<日本市場に対する思い入れとは?>に続く
■プロフィール
竹田芳浩
1991年に立命館大学法学部を卒業(2009年に東京理科大学大学院 技術経営修士取得)、総合商社トーメン(現豊田通商)で世界各国の海外営業を担当した後、セイコーエプソンに入社。エプソン・インディア設立にともない社長に就任、約4年間のインド駐在を経験。日本ヒューレット・パッカード・コンシューマ&ウエブソリューション統括本部長などを歴任。2010年4月、ロジクール代表取締役社長、韓国ロジテック社長の経験を経て、2015年9月にネイト ロボティクスへ入社、同10月に代表取締役社長に就任(現任)

動画インタビュー
トップに聞く『今後の施策』

■Neato Robotics Inc.の沿革
2005年 シリコンバレーで創業
2010年 ロボット掃除機販売開始
2014年5月29日 日本法人ネイト ロボティクス設立
2015年10月 ネイト ロボティクス社長に竹田氏が就任

■年内にラインアップを強化 フラッグシップモデルが上陸

 2015年10月に発売した「ネイトボットバック D8500」は、レーザーフロアプランマッピングとコースナビゲーションで、念入りで無駄のない掃除を短時間に行う。カメラセンサで部屋の形状や家具のレイアウトを認識する他社モデルとは異なり、レーザーセンサで対応するので、暗い部屋でもしっかりとスキャンできる。今冬までには、D8500の上位モデルが発売予定だ。
 

ネイト
ボットバック D8500
 
◇取材を終えて
 生活家電とはいえ、ロボット掃除機となると中身はコンピュータの塊だ。ネイト ロボティクスはロボット掃除機を極めるために2005年にシリコンバレーで生まれたベンチャー。性能の高さは定評がある。日本市場の課題は認知だ。セイコーエプソン、HP、ロジクールとクロモノ畑を歩いてきた竹田社長にとって、デジタル製品は自家薬籠中の物。この経験を活かし、少数精鋭のメンバーと取り組む地道な努力が実を結ぼうとしている。(柳)
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年9月号から転載