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<Top Vision>フィリップス 代表取締役社長 ダニー・リスバーグ ヘルスケア事業に舵取り IoTで目指す未来の医療環境とは?

インタビュー

2016/07/22 18:00

 ヘルスケア事業に注力する、フィリップス エレクトロニクス ジャパンのダニー・リスバーグ代表取締役社長にインタビューした
(取材/道越一郎 BCNエグゼクティブアナリスト、文/大蔵大輔、写真/瀬之口寿一)。
 


フィリップス エレクトロニクス ジャパン
代表取締役社長
ダニー・リスバーグ

■プロフィール
1999年にレスピロニクス(現Philips Respironics)に入社。アジア太平洋部門セールス兼マーケティング副社長、アジア太平洋部門副社長兼中国ゼネラルマネージャー、国際部門副社長兼CEOを歴任。フィリップスエレクトロニクス ジャパン ヘルスケア事業部執行役員 兼 COOを経て、2010年1月に代表取締役社長に就任(現任)。

・動画インタビュー トップに聞く『会社の夢』

ライティング事業を本体から分離 事業ごとの収益最大化が狙い

道越 創業のビジネスでもあるライティング事業を本体から切り離す動きが、世界規模で加速していますね。この狙いは何ですか?

リスバーグ 照明はフィリップスが世界市場でトップシェアを誇る分野です。ライティング事業の切離しはネガティブな理由からではありません。ライティングとヘルスケアでは事業の進め方が大きく異なります。例えば、ビジネスのスピード。LED化もあり、ライティングはビジネスのスピードが早いですが、ヘルスケアは薬事などの規制が厳しく製品を市場に投入するまでに時間がかかります。各事業で収益を最大化するための独立と考えてください。
 

「100歳が楽しい」社会を目指す IoTで在宅患者のケアをイノベ―ト

道越 ヘルスケア事業に注力するのはなぜですか?

リスバーグ 日本のみならず先進国の多くで高齢化が進んでいます。平均寿命は延びていますが、100歳になっても楽しく生活できていなければ意味がない。フィリップスは、長生きしても健康を維持できる医療環境を実現することが、使命だと考えています。とくに予防医療の需要は今後増すと考えています。

道越 現在はヘルスケア分野だと医療機関向けが中心ですが、予防医療になると個人向けの需要も増えてきますか?

リスバーグ そうなると思います。軸になるのはIoTです。現在の医療システムだと、医師は高血圧の患者に対して薬を処方することはできても、自宅での生活までは管理できない。病気の主な原因は、食を含めた生活習慣です。家庭で使用する医療機器からインターネット経由で、例えば日々の血圧(数値情報)を医療機関に送る環境が整えば、より効率的な健康管理ができるようになります。

道越 今後、どのようなジャンルがIoT化するのでしょうか?

リスバーグ 現在販売しているジャンルを含めて、あらゆる製品がIoT化していくでしょう。家の中で使用している機器から医療機関に送られるデータが多いほど、正確な分析ができるようになるからです。例えば、電動歯ブラシ。歯の状態が悪化すると、うまく食事ができないという事態が発生する。そして、身体の別の部分にも影響を及ぼします。ヘルスケアという分野に限定すれば、法人・個人向けを問わず、すべてがIoTでつながる時代は必ず来るのではないでしょうか。
 
 

医療システムにメス IoTで法人・個人の垣根を越える

 用途提案の不足が目立ちがちなIoT製品。ヘルスケアを目的とするウェアラブルデバイスも数こそ増えたが、ユーザーは一部にとどまる。そこで、フィリップスが注目したのは現在の医療システムだ。個人向けのデバイスを通じて、医療機関が患者それぞれの詳細な情報を蓄積する体制を構築することで、「治療から予防へ」の転換を訴える。法人との連携が個人向けIoT製品普及の突破口になるかもしれない。
 

4月の「IFA 2016 GPC(Global Press Conference)」で発表したIoTヘルスケア製品群。日本では未発売
 
◇取材を終えて  ダニー・リスバーグ社長は気さくな雰囲気と柔らかな物腰で、我々のインタビューに答えてくれた。いまフィリップスが注力しているのはヘルスケア領域だ。日本でも医療機関向けのビジネスを軸に、IoTを活用して医療の効率化を進めていきたいと熱を込める。時代は「治療から予防へ」。健康な状態を保つことができれば、結果的に医療費が削減でき、国家予算も節約できると説く。最近注目を集める健康志向の調理家電も、そうした健康の維持が発想の根底にある。
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年8月号から転載


・さらに読む→<「ノンフライヤー」の着想はヘルスケアから?>

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