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ブランド力の向上がカギ、台湾本社副社長が語るトランセンドのグローバル戦略

インタビュー

2011/08/19 19:01

 メモリ製品大手の台湾トランセンド・インフォメーション。同社がコンシューマ向け事業で力を入れているのは、ブランド力の向上だ。消費者へのブランド浸透こそが、グローバルでの事業拡大のカギと判断している。台湾本社のスティーブ・チャン副社長に、ブランド力向上の戦略を聞いた。

スティーブ・チャン副社長

 トランセンドは、メモリカードの年間出荷量が8000万枚というメモリモジュール・フラッシュ製品のグローバル企業。2007年には、USBメモリのグローバルマーケットシェアで3位に入る実績をもつ。主要地域の売上比率は、欧州が35%、アジア(日本・台湾を除く)が25%、台湾が13%、北米が10%、日本が10%、残りが中東やアフリカなど新興国という。「グローバルでバランスよく売り上げを確保して、事業は順調に推移している」と、チャン副社長はアピールする。

台湾本社のロビーには幅広いカテゴリの製品が並ぶ

 ストレージ関連製品やメモリモジュールだけでなく、デジタルオーディオプレイヤーやデジタルフォトフレームなど、製品カテゴリを広げ、コンシューマ向け事業を拡大してきたトランセンド。ここにきてブランド力の向上を視野に入れているのは、「消費者に当社の製品が浸透しているとはいい切れない」(チャン副社長)と認識しているからだ。

 さらに、「世の中はクラウド時代に入っているが、すべてのデータをクラウド・サービスに預けることはないだろう。さまざまなメーカーとの協業によって、当社の製品とクラウドを組み合わせた製品・サービスを提供していかなければならない」と、ブランド認知を今後の展開へのステップにする狙いもある。クラウド時代に入れば、既存のデバイスは絞られる可能性があり、そのなかで生き残るには、ブランド力の向上がポイントと判断しているのだ。

 2009年には、メモリカードの普及に向けて、トレンドマイクロとの提携でウイルス対策ソフトをインストールしたUSBメモリを発売。チャン副社長は、「このようなメーカーとの協業を今後も模索していく」という。現段階では具体的な取り組みが進んでいるわけではないが、クラウドサービスとの連携を見据え、ソフトメーカーと積極的に協業していく考えだ。

 同社がこれまで重視してきたのは、総合的な「製品力」。すなわち、高品質な製品を他社よりリーズナブルな価格で提供することだ。実際、台湾の工場では、製品の検査を徹底的に実施している。コンピュータによる検査に加えて、社内資格を取得しなければ業務に携わることができない専任の検査スタッフを配置することで、品質の維持に取り組んでいる。

台湾工場には専任の検査スタッフを配置

コンピュータによる検査も徹底

 この「製品力」を高めることで、メモリモジュールでPCメーカーとのパートナーシップを深めることができた。「パートナーシップは長く続いており、メーカーの信頼を得ている。さらに『ブランド力』を高めていけば、このビジネスも拡大する」と、チャン副社長は自信をみせる。

 日本法人のトランセンドジャパンについては、「1996年の設立で歴史があり、PCメーカーへのメモリモジュール提供は他国より規模が大きい。世界に通用する大手メーカーとパートナーシップを組んでいる強みを生かして、ブランド力の向上につなげていきたい」との考えを示した。