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パートナーシップで広がる高音質の世界、ドルビージャパンに聞く拡大戦略

インタビュー

2010/12/07 11:03

 Dolby Japan(ドルビージャパン)が、事業領域の拡大に乗り出している。オーディオや映画音響の世界で名を馳せたドルビーは、最近ではテレビやPC、携帯電話、ウェブサービスなど、デジタル関連の端末やコンテンツにまで進出、その幅を広げている。ドルビー本社とドルビージャパンでマーケティングを担当するロビン・セルデン・シニアヴァイスプレジデントに、描く未来を聞いた。

 1965年に設立したDolby Laboratoriesは、今年で45周年を迎えている。テープ録音の時に生じていた「サーッ」という背景ノイズを抑えるノイズリダクション技術から始まり、これまで多くの技術を開発。セルデン・シニアヴァイスプレジデントによれば、「850種類の技術を保有している」という。

ロビン・セルデン・シニアヴァイスプレジデント

 今、力を入れているのは、「さまざまなデバイスで高音質を追求していくこと」だという。ブロードバンド化が進み、インターネットを通じて音楽を気軽に収集できるようになった。こうした環境下では、「音楽コンテンツの質を融合していかなければならない」のだ。

 まずは、テレビやPCなど、家庭で使うハードウェアに同社の技術を搭載するよう関連メーカーと交渉。現段階で、国内のハードメーカーとしてシャープやソニー、東芝などが採用しているほか、とくにPCでマイクロソフトが「Windows 7」に「ドルビーデジタルプラス」を搭載。これによって、多くのPCで劇場並みのサラウンド音声を体感できるようになっている。

 さらにワールドワイドでは、エイサーがノートPCでドルビーの技術を搭載。セルデン・シニアヴァイスプレジデントは、「テレビやPCは、さまざまなデバイスをつなげるハブの役割を果たすので、非常に重要」と位置付ける。

 また、「日本では、人々が常に持ち歩く携帯電話で、迫力のある音楽を追求していかなければならない」とかみ締める。現在、シャープや富士通、NECカシオモバイルコミュニケーションズなどがドルビーの技術を採用している。加えて、NTTドコモなど「通信事業者と協業していく」という。スレートPCについても対応を計画し、Andoroid OS向けの開発を進めている。

 コンテンツについても、開発メーカーや製作会社、配信事業者などと話を進めているほか、家電量販店やレンタル会社などとのパートナーシップも模索。直近では、「TUTAYA」とのコラボで、東京・六本木に話題の映画や音楽などを体験できるエンタテインメント・コミュニティスペース「DOLBY × TSUTAYA TOKYO ROPPONGI Entertainment Space」を設置した。

12月3日にオープンした「DOLBY × TSUTAYA TOKYO ROPPONGI Entertainment Space」

 さまざまなパートナーシップによって事業領域を広げようとしているドルビージャパン。「日本は売上比率がワールドワイド全体の20%。しかも、デジタルの世界が広がりつつある重要な市場」(セルデン・シニアヴァイスプレジデント)と位置付けて、事業拡大を加速する。