「素質」が開花した先に顕在化する四つのリーダーシップ

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2024/01/28 18:00

【30歳からの後悔しない転職の思考法・3】 前回は、素質に基づいた転職を行うために、まずは素質を見つける重要性について紹介した。真本音度合いを高める行動や生き方が重要と説明したが、今回は素質が開花した先に、顕在化する四つのリーダーシップについて紹介する。

非連続的なキャリア形成へ

 真本音度の高まりは、素質の開花をもたらしてくれる。経験や知識により積み上げられたものではなく、先天的に持ち合わせている「本当の個性」を掘り起こしてくれる。それにより本来の輝きと魅力を増し、人生そのものへのエネルギーが高まる。素質(本当の個性)に基づいて力をつけること(素質の素養化)で、非連続的なキャリア形成を成していく。

 それでは、具体的な素質の四つの種類について紹介したい。
 

目的に向かい道を開拓するフロントランナー(先導者)


 この素養を持つ人は、道なきところに道を創る個性を持つ。いわゆる典型的なリーダータイプともいえる。自ら先頭を走ったり、自分の想いで自由に振る舞ったりなどが得意であり、それ自体を喜びとし、その進む姿に周りの皆が感銘する。また、未開拓の地を開拓するパワーを持つので、創造性も豊かで、0から1を生み出す力があるのが特徴だ。

 おすすめのリーダーシップの取り方は、「自ら目指すものを発信する」「意図的に先頭に立って進む」「一人ひとりの声を聴き、受け入れるべきを受け入れる」などだ。
 

物事の本質を探究し進化させるデベロッパー(開発者)


 この素養を持つ人は、物事の本質を大切にしながら進歩(進化)を追求する個性を持つ。あるがままの現実を捉え、自分の解釈に捕われず、真理を探究・実践しようとする。本当は何が大切か、本当に必要なことは何か、本当は何が足りないか、本当は何を手放すべきかなど、最も重要な部分を特定しようとする。また、本質から様々なカタチを展開しようとするため、組織においては1から100を展開する力があるのが特徴だ。

 おすすめのリーダーシップの取り方は、「何を探究するチームかを決める」「探究し合う場を創る」「一つ決め、一つを実行することを重ねる」などだ。
 

場が明るく楽しく元気になるムードメイカー(調和者)


 この素養を持つ人は、場全体を活性化し、調和をもたらす個性を持つ。調和とは単なる仲良し小好しではなく、各々が本来の個性を出し合い、生かし合い、相乗作用を起こし、その結果、進化・進歩・創造につながる。調和=進化であり、そういった意味での「調和した場」を創り出す。その場は根底に安心感があり、それがあるが故に皆がオープンマインドになれ、オープンコミュニケーションが取れる。それぞれの個性が際立ち、各々が自由になり、チームワークが圧倒的に高まるのが特徴だ。

 おすすめのリーダーシップの取り方は、「自由発想できる場を創る」「全体を俯瞰し、後押しをする」「索引役を決めて、実行をサポートする」などだ。
 

人の可能性を引き出し後押しするサポーター(尊重者)


 この素養を持つ人は、人の心そのものを活性化し、本来の生き方・進み方を後押しする個性を持つ。自分の価値観や解釈にとらわれることなく、自然と目の前にのみ意識を集中することができるので、他者の先天的に持っている魅力や能力も掘り起こすことができる。人との距離の取り方(距離感)にも長けており、それぞれ個別に最も調和する距離感で関わり合える。人の心の支えとなり、勇気・挑戦心・成長意欲などを喚起するのが特徴だ。

 おすすめのリーダーシップの取り方は、「個別サポートしながら進む」「想いを紡ぎ、目的を定める」「それぞれの想いを聴く」などだ。

 真本音度を高めた先に開花する素質の種類となる。厳密には紹介した四つの素質の組み合わせがあるケースが多いのだが、自分がどのリーダーシップを目指してみたいか、そのリーダーシップを開花した先にどのようなキャリアを創っていきたいか、発想すると良い。
 

四つの対応を見極める三つのステップ

 ここでは、四つのタイプをセルフチェックで簡単に見極められる三つのステップを紹介したい。
 

「先導者・開発者」か「調和者・尊重者」の二つに大別する


 「自分を主にするタイプ」か「他者を主にするタイプ」かをまずは見極める。先導者・開発者は、自分を主にする発想の方がパフォーマンスを発揮する。調和者・尊重者は、他者を主にする発想の方がパフォーマンスを発揮する。

 二つに分けるための具体的なやり方は、日々の計画立案の際や行動の原点となる価値観の発想を振り返った際に、「自分を主にしているか」「相手の立場に立っているか」を判断する。前者が多いのであれば先導者・開発者、後者が多いのであれば調和者・尊重者となる。
 

自分を主にするタイプであれば「先導者」か「開発者」かを見分ける


 普段の発想や行動が、「未来に向かうもの」「目標達成に向かうもの」「こうなりたいという想いに向かうもの」などの傾向が高ければ、先導者の可能性が非常に高い。

 一方、普段の行動が「自分の興味あることに熱中する」「実験とかを好む」「研究熱心」などの傾向が高ければ、開発者の可能性が非常に高い。
 

他者を主にするタイプであれば「調和者」か「尊重者」かを見分ける


 普段の行動を観察し、「複数人集まっている場の方が穏やかな雰囲気を出すか」「1on1で向き合っている時の方が穏やかな雰囲気を出すか」で区別し、前者であれば調和者、後者であれば尊重者の可能性が高い。
 

 より真に自分らしい人生やキャリアを創るために、自身の真本音度が高まりやすい組織環境にはどんな観点があるのか。次回以降、紹介していきたい。(ITSUDATSU・黒澤伶)