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上野フロンティアタワー、内覧会レポート、百貨店の次の形

 J.フロント リテイリング・大丸松坂屋百貨店・パルコは11月4日、東京・上野の松坂屋上野店南館跡地に「上野フロンティアタワー」をオープンする。開店に先駆けて10月31日に報道関係者向けの内覧会を開催し、店舗の特徴を説明した。


内覧会の様子。パルコヤの入り口には大きな提灯が下がっている

 当日の説明会では、パルコの牧山浩三 代表執行役社長が「映画館や地域の特色を取り入れたり、地元にゆかりのある店舗に協力していただいたりすることで、脱百貨店を目指す」とコメント。「出店している店舗は、パルコヤ上野を一緒につくっていくためにしつらえた、最新型が入っている」と、店舗を紹介した。
 

パルコの牧山浩三 代表執行役社長

 地下1階は松坂屋上野店、1階~6階はパルコヤ上野、7階~10階はTOHOシネマズ、それ以上の階はオフィスとなっている。パルコヤの各階はそれぞれ、1階がコスメやファッション雑貨、食品。2階と3階がファッション。4階がコスメ、雑貨、美容室。5階がファッション、雑貨、トラベルカウンター。6階はレストランフロア「口福回廊」。4階と6階以外には休憩スペースとしてカフェや甘味処を設けている。
 

カフェや甘味処を各所に

 地元に縁の深い企業のなかでも、新たな取り組みに挑戦したのはパルコヤの6階に店舗を構える「うえの やぶそば」だ。本店は「上野 藪そば」で、初のビルイン出店になる。新メニューにそば粉ガレットを加え、ティータイムやブランチの需要に応える。また、1階の和カフェ・バー「廚 otona くろぎ」は、日本で最も予約を取るのが困難といわれる日本料理店の一つ「くろぎ」の新業態。2017年3月に芝公園へ移転する以前は、湯島で10年間営業していた。今回の出店は、黒木純オーナーシェフの「礎を築いた上野に『くろぎ』を残したい」という想いが込められている。
 

上野にゆかりのある名店が出店している

 5階の「URBAN RESEARCH Store(アーバンリサーチストア)」には、バーチャルで服を試着できる「WEARABLE CLOTHING BY URBAN RESEARCH(ウェアラブルクロージング バイ アーバンリサーチ)」を設置。画面に映った自身の体にフィットするように選んだ服を画面に表示するため、試着室に入れない場合でも着替える手間を省ける。
 

着替えることなく服を試着できる

 地下1階の松坂屋上野店では、靴や鞄を扱うほか、上野の名物を扱う「上野案内所」ではパンダグッズや各階の特徴的な商品を展開する。さらに、抹茶やほうじ茶のアイスクリームやパフェを提供する「上野 茶寮 伊藤園」が出店している。
 

上野案内所
 

上野 茶寮 伊藤園

 牧山社長は「この土地でしかできないことをやる」と意気込みを語る。近くの商店街とも「衝突はない。むしろ連携していく」という。

 家電量販店も配送や出張サービスなどで地域密着を訴求するが、照明や店内の雰囲気でどうしても目立ってしまい、一部を除いて地域に溶け込めきれていない店舗も見受けられる。次の戦略として、地域の特色を取り込んだ店舗づくりも選択肢に加わるかもしれない。