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業界最高水準の国内サポートを提供 飛躍的な改善を遂げたデル

販売戦略

2017/05/31 11:30

 「外資系メーカーなので対応に不安がある」「電話口のオペレータに話がうまく伝わらない」デルのサポート窓口に、このような印象を抱いている人は少なくないかもしれない。しかし、現在のデルに関して言えば、それはまったくの誤解だ。近年、家電量販店の店頭でも販売を伸ばす同社は、PC初心者も安心して使える充実したサポート体制を整えている。デルが「業界最高レベル」と自負するサポートの現場を取材した。


デルが今年発売した「XPS 13 2-in-1」

量販店モデルは全製品
24時間365日 国内でサポート

「日本語が通じない」は過去の話

 「デルのサポートに電話すると中国につながり、日本語が通じにくい」。昔からPCに詳しいユーザーであれば、一度は聞いたことのある“定説”だろう。確かに、デルは中国でもサポート業務を行っており、かつてサポート品質への不満を招いていたのは事実だ。

 しかし今では、この“定説”は誤りだ。まず、中国のセンターにおいても日本語スキルや文化、商習慣などの徹底的なトレーニングを行っており、対応の満足度は大きく改善している。そしてもう一つ重要なのが、現在、家電量販店の店頭で販売されているデルのPCには、国内のカスタマーセンターによる24時間365日のサポートが受けられる「デル プレミアムサポート」が標準で付帯しているということだ(1年間。有償で延長可能)。つまり、量販店モデルを購入したユーザーが、保証期間内にプレミアムサポート窓口へ問い合わせた場合、その電話は100%国内につながる。

 しかも、このプレミアムサポートでは、PC本体の不具合だけでなく、プリンタのセットアップやMicrosoft Officeの操作方法など、周辺機器やソフトウェアに関する質問にも対応してくれる。初心者が初めての1台としてデルのPCを選んでも、安心して使えるようにサポート範囲を充実させているのだ。量販店の売り場に並ぶPCの中から、サポートへの不安でデルが選ばれないのだとしたら、それは過去のイメージに引きずられた誤解ということがわかるだろう。
 
■「デル プレミアムサポート」とは?

 ユーザーからの問い合わせに宮崎カスタマーセンターのエンジニアが24時間365日無料で対応。初心者から上級者までユーザーのニーズにあわせたきめ細かな対応で、PCのトラブルを最速で解決する。

・24時間365日対応の電話サポートおよびメール・チャットでのサポート
・ハードウェア、ソフトウェア両方の問題に対応
・ニーズにあわせた修理対応(出張修理/引き取り修理/パーツ配送)

量販店の店頭販売ではサポートの質が特に重要

 デルといえば、ダイレクト販売のイメージが強いが、2015年ごろから量販店での販売台数を大きく伸ばしている。プレミアムサポートは、ダイレクト販売ではユーザーが選択可能なオプションとなっているが、店頭販売では前述の通り標準付帯だ。コストをかけて量販店モデルのサポートを充実させるのはなぜか。
 

コンシューマー事業部
リテール営業本部

杉江秀基 本部長

 デルのコンシューマー事業部で、量販店向けのセールスを統括する杉江秀基リテール営業本部長は「ダイレクト販売のお客様はデルのことをよく理解されているのに対し、量販店では店頭に来られるまでどのメーカーのPCにするか決めていないお客様も多い」と、販売チャネルによる違いを説明する。

 ダイレクト販売のユーザーは、製品のスペックやオプションを自ら決められるリテラシーを有するのに対し、店頭には老若男女さまざまな層が足を運ぶ。そこでデル製品を購入したユーザーが、何か困ったことが発生したとき「デルを選ぶんじゃなかった」と思うことがあってはいけない。杉江本部長は「特に初めてデルを使う方には、最高の体験をしていただきたい。万が一トラブルがあっても、サポート対応の質が高ければ、お客様はむしろデルのファンになって、次もデルを選んでいただけると考えている」と、店頭販売におけるサポート品質の重要性を強調する。

 デルはこの2年あまりシェアを伸ばし続けており、今、最も勢いのあるPCメーカーだ。しかし、杉江本部長は「過去のイメージを払拭するには時間がかかると思う」と述べ、「サポートの良さ」で選ばれるメーカーになるのは容易ではないことを認める。それだけに、サポートの充実は決して一時的な施策ではなく、店頭販売の拡大に向けた最重要テーマのひとつとして、今後も取り組んでいく方針であるという。

“期待以上”の信頼と安心を届ける
宮崎カスタマーセンター

専門性をもつ正社員のエンジニアが対応

 プレミアムサポートの実務を担う「宮崎カスタマーセンター」(宮崎県宮崎市)は、約500人が勤務するデル日本法人の一大拠点で、このうち約350人がテクニカルサポートを担当するエンジニアだ。
 

「デル プレミアムサポート」ユーザーの問い合わせを受け付ける宮崎カスタマーセンター。
宮崎市街の中心部にあるビルの3フロア分に入居している
 

金子知生
テクニカルサポート本部長

 宮崎カスタマーセンターのセンター長を務める金子知生テクニカルサポート本部長は、「この地には『困っている人のために役立ちたい』という、サポート業務に最も必要とされるマインドをもつ人が多く、優れた人材を雇用しやすい」と話す。金子本部長自身、首都圏から宮崎へ家族を連れての赴任となったが、地域の人々に温かく迎えられ、暮らしやすさを実感しているという。

 サポート拠点というと、一般的にはユーザーの不満が集中し離職率の高い職場というイメージで語られることが多いが、ここでは明るい表情で生き生きと仕事をしているオペレータばかりなのに驚かされる。このような環境を実現できている理由を、金子本部長は「当社のオペレータは全員が正社員として雇用され、専門性をもつエンジニアだから」と説明する。新人が一人で電話を受けられるようになるまでの研修期間は平均で約半年、長い場合は1年近くに及ぶ。さらに、能力が認められればマネージャー職へのキャリアアップや、デル社内の他職種への異動も奨励されているという。自分らしい働き方や、経験を重ねることでより大きな仕事ができることから、定着率が高く、サポート品質の継続的な向上が可能なのだという。

コンシューマー専用の対応チームを結成

 エンジニアの評価項目は20以上にわたる。その中には、時間あたりの対応件数といった効率性も含まれるが、それよりも重視されているのは、すべてのエンジニアが、ユーザーの最終的な問題解決に至るまでの責任をもつことだ。例えば、トラブルの解決策を伝えたユーザーが「じゃあそれを試してみます」と言って電話を切り、その後連絡がなかった場合、一般的な感覚では、問題が解消されたと考えられる。しかし、宮崎カスタマーセンターでは、後日エンジニア側から再度連絡をとり、本当に解決したか、その後、困ったことは発生していないかを確認するという。金子本部長は、「『ここまでやるか』と思っていただけるようなサービスを提供できるかが、デルのファンになっていただけるかを左右する」と述べ、ユーザーの期待を上回るサポートを提供していきたいと力を込める。
 
 

 また、量販店でデル製品の販売が拡大していることから、カスタマーセンターに求められる役割も少しずつ変化している。製品の品質向上にともなって販売台数あたりのサポート件数は減少傾向にあるが、IT機器に不慣れなユーザーの比率は拡大している。そこで昨年、センター内にコンシューマー対応チームを作り、一部のエンジニアをコンシューマー専任とした。従来は一人のエンジニアが個人と法人の両方のユーザーに対応していたが、「法人のお客様の多くは問題解決のスピードを重視されるのに対し、新たにデルユーザーになったコンシューマーのお客様からは、説明のわかりやすさ、丁寧さが求められている」(金子本部長)ため、よりそれぞれのユーザーの要求に沿える体制を整えた。

 業界でも宮崎カスタマーセンターの取り組みが次第に知られるようになり、今では販売店やビジネスパートナーからの視察希望も絶えないという。サポート業務はコストと見なされることも多いが、金子本部長は「将来の収益を拡大するための仕事だと考えている」と話し、店頭でデルを選ぶユーザーが一人でも増えるよう、地道にサポート品質を高めていく考えを強調した。