2年縛りが終わる今こそ見直しのチャンス! 4割が格安スマホに乗り換え検討中

 BCNが実施したアンケート調査によると、「格安スマホ」に興味があると回答したドコモ・auソフトバンクの大手3キャリアのスマートフォン利用者のうち、次にスマホを買い替える際、41.6%が「格安スマホを検討している」と回答。キャリアごとにみると、ドコモユーザーは35.5%とやや低かったものの、au・ソフトバンクユーザーに限ると4割を超え、「検討していない」と回答したのは、いずれも1割程度にとどまった。


 背景には、「格安スマホ」の認知度アップ、取り扱い店舗の拡大に加え、いま契約しているキャリアへの不満がある。特に「月額料金」に対する不満は高く、「不満」と「やや不満」をあわせ、6割が「不満」と回答した。
 

 いま使っている端末に対しても、「特にない」と回答した人を除いて、7割近くが何らかの不満を感じているとわかった。また、次にスマホを買い替える際、重視したい点を聞くと、半数以上が「価格」と「バッテリの持ち」を挙げ、「画面の大きさ」や「操作性」も上位に入った。
 

 アンケート結果から、現状に満足しているわけではなく、契約期間や端末代の分割払いの縛りなどがあるため、やむを得ず、そのまま使い続けている人が多いといえそうだ。

誤解の多い「格安スマホ」 端末は最先端のトレンドをキャッチアップ

 「格安スマホ」は、MVNO(仮想移動体通信事業者)の音声通話SIMと、最安1万円台から手に入るSIMフリースマートフォン(SIMフリースマホ)を組み合わせた利用形態を指す。MVNOは「格安SIM」とも呼ばれ、SIMフリースマホだけを指して、格安スマホと呼ぶこともある。
 

 当初は「格安」の名の通り、ロースペックな製品が主流だったが、最近は、カメラ機能やバッテリの持ちに優れたミドルクラス~ハイエンドモデルが人気を集めている。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、販売台数の多い価格帯は2~3万円台。ハイエンドモデルでも5~7万円台で、キャリアが販売するスマホと同等かそれ以上のスペックにも関わらず、負担は半分程度で済む。

 日本では、ファーウェイ、ASUSなどの海外メーカーが市場拡大をけん引し、シャープ富士通など、国内メーカーを含め、参入メーカーは30社以上にのぼる。機種数は少ないどころか、非常に多彩だ。

 「BCNランキング」によると、SIMフリースマホのうち、最も販売台数の多い人気No.1機種は、ファーウェイの「HUAWEI P9 lite」。常に10%以上のシェアを占め、発売直後の16年7月から11か月連続で1位を獲得。その人気は6月発売の後継機種「HUAWEI P10 lite」にそのままスライドし、またもやシェア10%超で1位を獲得した。こうした立て続けのヒットのおかげもあり、ファーウェイは、メーカー別でも16年11月から今年8月まで、10か月連続で月間シェアトップを獲得し続けている。
 

主要メーカーのSIMフリースマホ
(左から、ファーウェイの「HUAWEI P10 lite」、ASUSの「ZenFone 3 Laser」、富士通の「arrows m04」)

 今やSIMフリースマホこそ、モバイル業界のトレンドをリードする存在。高感度の指紋認証センサや、多彩な撮影モードを備えた高性能カメラ、数十分の急速充電で1日以上バッテリがもつ省電力技術など、最先端の技術や機能が詰まった、コストパフォーマンスに優れた端末だ。

 たとえば、画面操作やプレイ中のゲームを記録できる「動画スクリーンキャプチャ」、2つのカメラを搭載した「ダブルレンズカメラ」は、SIMフリースマホメーカーのファーウェイがいち早く取り入れ、他社も追従したもの。中でも、ダブルレンズカメラの特徴の一つ、撮った後に背景のボケ味を調整できる機能は、ファーウェイが業界で初めて実装した機能だ。コネクタの裏表を気にせず差し込めるUSB Type-Cも、最初にSIMフリーのAndroid搭載スマホが取り入れ、その後、キャリアが販売するスマホへと広がった。

 またSIMフリースマホでは、ハイエンドモデルを中心に、「ダブルレンズカメラ」と、2枚のSIMカードを挿入して4G(LTE)/3Gの同時待受が可能な「DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)」に対応する機種が増えている。しかし、アンケート結果から、機種選びのポイントとなる、こうした最先端の技術・機能に関する認知度・理解度は軒並み低いとわかった。
 

 特にDSDSは、キャリアモデルにはない、SIMフリースマホならではの機能。DSDS対応機種を選べば、いま使っている携帯電話の番号は変えずに、追加でデータ通信SIMを契約して1台の端末で併用したり、海外旅行時に、普段は使っていない空きスロットに現地のSIMカードを挿入してそのまま使ったりできるので、ぜひ覚えておこう。

「安い」というイメージは浸透 実に93.4%が認知

 「格安スマホ」のイメージを聞くと、「料金」に関しては93.4%が「安い」と回答する一方、半数以上が「サポート体制が悪い」「サービス内容がわかりにくい」「魅力的な端末がなさそう」「端末を選べる幅が少なそう」など、マイナスの印象を持っていた。
 

 「格安スマホ」に興味を持ちつつも、まだ乗り換えていない理由としては、「サポートが不安」(33.4%)、「サービスがよくわからない」(31.4%)、「どのキャリアを選んでよいかわからない」(30.0%)などが多く、ドコモユーザーは、「サポートが不安」「設定がよくわからない」と、設定に対する不安度が高かった。
 

 大手キャリアの最新iPhoneに買い替える場合、最低利用料金は月額5000円程度(2017年8月31日現在、固定回線とのセット割引なし時)。対して、「格安スマホ」は、特定のアプリの利用がデータ量にカウントされず、使い放題できるプランなら月額1200円、大手キャリアに準じた一般的なプランでも月額1600円程度からと、条件が異なるとはいえ、実に大手キャリアの2分の1以下だ。あまり音声通話やデータ通信を利用しない人ほど、「格安スマホ」に乗り換えるメリットは大きい。

「ラインアップが少ない」は誤解 多彩なSIMフリースマホから選べる!

 格安スマホに対して、「魅力的な端末がなさそう」という不安は、従来の固定観念にとらわれた錯覚によるもの。格安スマホのキャリアが取り扱う端末は、あくまで「セット販売」のラインアップだからだ。店頭に並ぶ多彩なSIMフリースマホの中から、気に入った端末を購入すればいい。

ダブルレンズカメラを搭載した「HUAWEI P10 Plus/P10」は、インカメラも含め、
世界で初めて3枚のLeicaレンズを採用。本格的にデジカメ代わりに使える1台だ。たった30分で1日分の充電ができ、
独自開発のOSとチップセットによってバッテリも長持ちする(写真はHUAWEI P10のダズリングブルー)

 スマホ初心者にはやや難しいと思われる、回線の利用開始のための初期設定は、オンラインショップではなく、その場で開通手続きが可能なリアル店舗で購入すれば回避できる。不安が軽減されたら、いよいよ本格的に格安スマホへの買い替えを検討してはみてはどうだろうか。

 今回のアンケート調査は、2017年8月にドコモ・auソフトバンクの大手3キャリアのスマートフォンの利用者で「格安スマホ」に興味があると回答した500人を対象にインターネット上で実施した。回答者の男女比は、男性61.6%、女性38.4%。年代は20代10.8%、30代22.2%、40代28.0%、50代21.6%、60代17.4%。契約しているキャリアはドコモが44.0%、auが26.2%、ソフトバンクが29.8%。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。