デザインの革新で売れる日本HPの2in1デバイス「Spectre x360」

特集

2017/05/18 12:00

 日本HPが2月に発売した2in1デバイス「Spectre x360」の魅力や、目指す方針などについて、日本HP広報部の川邑和代マネージャーと、プロダクトマネージャーを務めるパーソナルシステムズ事業本部の岡﨑和行氏に、お話をうかがった。


川邑和代マネージャーと、プロダクトマネージャーを務めるパーソナルシステムズ事業本部の岡﨑和行氏

13.3インチでわずか1.3kgの「Spectre x360」の魅力

 「新しくタブレット端末がほしいけど、従来のノートPCも手放せない。そんな人におすすめなのが、これ1台でノートPCにもタブレットにもなる“2in1”――数年前、2in1デバイスが登場した際の売り文句はこのようなものだったが、当初からこのような説明が素直に受け入れられていたわけではなかった。初期の2in1デバイスは、従来のノートPCに比べ明らかに重く、サイズも若干分厚かった。しかも、2in1の機種は同スペックのノートPCに比べ割高感があった。

 しかし、家電量販店の売り場を見ればわかるように、今ではモバイルPC市場の中で2in1デバイスが確固とした地位を築いている。PCメーカー各社が2in1製品の設計・製造ノウハウを蓄積し、2in1対応でありながら従来のモバイルノートPCと遜色ない重量・サイズの製品を作れるようになってきた。加えて、マイクロソフトの「Surface」シリーズがマーケットリーダーとなって2in1の認知を拡大したことも追い風となった。

 「Spectre x360」は、13.3型ディスプレイを搭載し、重さ約1.31kg、厚さ13.9~14.9mmと、モバイルPCとして十分な可搬性をもつ2in1製品だ。上位モデルにはCore i7-7500Uと16GBのメモリを搭載し、最上位構成の「パフォーマンスモデル」では4K解像度(3840×2160ドット)の液晶ディスプレイと1TBのSSDを備えている。
 

HP Spectre x360

 HPのPCといえば、日本国内でも多くの企業に採用されており、オフィスに設置されているイメージが強い。しかし、このSpectre x360は、スリムで質感の高いきょう体、ロゴやヒンジ部に配したゴールドのパーツなどが、高級ステーショナリーのような雰囲気をただよわせている。天板に描かれた4本のラインで「hp」を表現する「プレミアムマーク」は、HP製品の中でも特に美しいデザインをもつ限られた機種だけに付与されるロゴ。前述のようなカタログスペック以上に、“モノ”としての所有欲をかき立てられる製品になっている。
 

天面にあしらった「プレミアムマーク」

潮流の変化が2in1デバイスの普及を後押し

 日本HP パーソナルシステムズ事業本部の岡﨑和行・プロダクトマネージャーは「ハードウェアとソフトウェアがともに進化したことに加え、クラウドサービスの普及など、お客様の利用スタイルが変化してきたことで、2in1デバイスが受け入れられやすくなった」と話し、製品の質が向上したことはもちろん、OSやアプリケーションソフトのタッチ操作やペン操作への最適化が進んだこと、ダウンロード販売やクラウドの普及で内蔵DVDドライブが必須でなくなったことなど、潮流の変化も2in1の拡大を後押ししていると説明する。

 また、同社がウェブサイトや一部量販店の店頭を通じて提供している、Spectre x360のダイレクト販売モデルでは、最上位のパフォーマンスモデルに人気が集中しているという。税別17万9800円と、昨今のPC市場の平均価格を大きく上回る高級機だが、ハイスペックなものを求める日本の消費者は「4Kディスプレイや1TBの高速SSDを積んでこの価格ならむしろお買い得」と判断しているようだ。

 岡﨑プロダクトマネージャーは「プラスチック製のきょう体であれば同じスペックでももっと安くできるが、市場が成熟した先進国では、PCに単なる道具として以上の魅力が求められる」と話し、価格とスペックの比だけでない上質さを追求したことを強調する。

 HPは2015年、サーバーなどのエンタープライズ事業を営む「Hewlett Packard Enterprise」(日本法人は日本ヒューレット・パッカード)と、PC・プリンタ事業を担う「HP Inc.」(同、日本HP)に分社化した。それまでPCは情報システムを構成する要素のひとつだったが、分社化によって、PCという製品そのものの魅力をより高めていく方針が明確になった。

 広報部の川邑和代マネージャーは、「これまで積み上げてきたテクノロジーや知見がベースにあることは変わらないが、もっと暮らしが変わるような、所有することで個人としても嬉しくなる、自信が持てるような製品にしていきたい」と、現体制で日本HPが向かう方向性を説明する。