2018年9月、モバイルバッテリーの需要が大きな躍進をみせた。前回、モバイルバッテリー市場が拡大したのは16年7月で、この時は、モバイル端末の位置情報を利用した「ポケモンGO」のサービス開始が大きな要因だった。今回は別の要因であることが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計するBCNランキングから明らかになった。


 15年9月の販売数量を「1.00」として、モバイルバッテリーの3年(36か月)の動向を指数化した(図1)。16年6月までは、基点となる15年9月の販売数量を上回ることはなく、市場規模に大きな変化はみられなかったが、この3年の間に二度大きな伸びを示していることが分かった。まず、一つめの波はいまから2年前で、16年7月下旬に「ポケモンGO」のサービスが始まると、7月の指数は基点のほぼ2倍の「1.92」、翌8月は「2.07」に達し、需要は一気に拡大した。それ以降は、流通在庫の不足などの影響や、「ポケモンGO」のブーム沈静化に伴い、特需前の水準に落ち着くかたちとなった。そして、二つめの波となる18年9月の指数は「1.71」と、再び大きな伸びを示しているのだ。
 

 今回の波を引き起こした要因を探るため、18年5月以降の販売数量伸び率(前年同期比)を週ごとに算出したところ、6月の第3週(6/18-6/24の週)と9月以降で、それまでとは異なる動きをみせていることが分かった(図2)。まず18年6月第3週の伸び率が149.6%に急伸した要因としては、大阪府北部を中心に最大震度6弱の地震が発生したことが大きいと考えるべきだろう。そして、9月第1週(9/3-9/9)に246.3%と前年同期の2.5倍に達する勢いとなったのは、9月4日-5日にかけて関西方面で猛威を振るった台風21号の影響による停電に加え、最大震度7を記録した北海道胆振東部地震(9月6日)により、北海道での大規模停電の発生が、モバイルバッテリーの需要を押し上げる方向へと作用したとみていいだろう。

 2年前の需要の急拡大は人為的だが、今回のそれは自然災害に起因する違いがある。自然災害の発生は今後も避けられない上に、深刻な被害を及ぼす可能は高い。いまやスマートフォンは、重要なライフラインの一つに挙げられるため、電源を少しでも長く確保できるようモバイルバッテリーを準備しておくことが、災害時の備えとして必須となっていくだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。