底を打ったノートPC市場、今こそ復活への正念場に

アナリストPOSデータ分析

2017/04/07 16:15

 2014年4月の消費増税およびWindows XPのサポート終了以降、販売台数の減少が続いていたノートPC市場。それから約3年が経過した今、回復の兆しが見えてきた。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」によると、16年12月から4か月間連続で、販売台数が前年同月比(伸び率)がプラスで推移。明るさを取り戻しつつあるが、市場規模は消費増税以前のレベルにはない。底を打ち始めた今こそ、復活に向けての正念場となる。


 消費税の増税に伴う特需により、14年3月に大きく販売台数を伸ばし、以降は反動減の影響から、大きく販売数を落とした(図1)。その影響は長期にわたって続き、先が見えない右肩下がりが続いていたが、16年10月、約2年半ぶりに台数伸び率がプラスへと転じ、ようやく底を打ちつつある。その翌々月からは4か月続けて伸び率は前年を上回り、安定した販売を維持するようになった。
 

 また、NECや富士通を始めとする国内メーカーが販売台数構成比で6割強を維持し続けている点にも注目したい(図2)。国内メーカーの平均単価は10万円から11万円前後を推移しているのに対し、ASUSやアップルなどの海外メーカーの平均単価は7万円前後。月にもよるが、国内メーカーと海外メーカーで約3-4万円の価格差が生じている。非常に大きな差に感じるが、それでも国内メーカーが支持されるのは、安心感と店頭での販売訴求の仕方に違いがあるためと考えられる。価格も重要な要素ではあるが、この市場においては、いまだそれらの影響度が大きい。

 市場が底を打ち始めたといって、決して楽観視できるものではない。消費増税以前と比べると、販売台数の規模は4分の3程度にとどまり、本格的な回復には至っていないのだ。販売店がプライベートブランドとして展開する製品の販売台数が伸びている点や、海外メーカーの平均単価が2年間で1万5千円ほど上昇している点などの変化はあるが、これらは市場を動かすほどの大きなトピックではない。今後、市場がより一層の活況を迎えるためには、これからがノートPC市場にとっての勝負どころと言えるだろう。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。