地上デジタル放送への切り替えによる需要の先食いからバランスが崩れ、シャープ、パナソニック、ソニー、東芝の大手4社における液晶テレビ事業は転換点を迎えた。あれから数年が経過して需給バランスも戻り、販売台数は2007年ごろの水準で推移するようになった。最近、「20型台」や「30型台」といった中小型では、大手4社以外のメーカーシェアが徐々に増加している。大画面化を推し進める大手4社の隙を突く動きが画面サイズ帯別のシェアから明らかになった。


 
 昨年1月からのサイズ帯ごとの大手4社占有率(台数シェアの合計)をチャート化したところ、「50型以上」や「40型台」などの大型において、大手4社の占有率は9割前後を占めており、存在感が大きいことが明らかとなった(図1)。一方、中小型をみると「20型未満」「30型台」では7割台後半、「20型台」では7割を下回るなど、大手の占有は弱まりつつある。これは、大手が「40型台」以上の大型製品を重視したり、「4K」対応製品の拡充へと軸足が移行していることと関連があるといえる。

 図2は「20型台」における上位6社のメーカーシェアを示したもの。シャープの一人勝ちに変化はないが、15年10月頃を境に他の3社のシェアは減少し始めている。代わりに浮上してきたのはHisenseで、15年9月から毎月ほぼ2ケタのシェアを獲得するようになり、今では3か月連続して2位を維持している。また、オリオン電機(以下、オリオン)も16年1月に瞬間風速ではあるが2位を獲得、それ以降も3位のパナソニックに迫る動きをみせている。Hisenseとオリオン躍進要因の一つは価格だ。「20型台」全体の平均単価は3万円前後で推移しているが、この2社は2万円台前半で推移しており、1万円近く安いことが優位に働いている。

  「20型未満」において、15年5月を底に大手4社の占有率が復調している要因は、パナソニック「プライベート・ビエラ」の好調が貢献している。この「プライベート・ビエラ」シリーズはチューナー部とモニター部が分離し、屋内での持ち運び利用が可能だ。更にモニター部は防水にも対応しており、風呂場などでの利用を想定。サードテレビの需要をうまく取り込めたことがパナソニックのシェアを押し上げ、占有率の復調に結び付いた。

 液晶テレビ市場は大型化や「4K」「HDR」といった高画素・高精細の製品訴求が多くみられる。しかし、パナソニックが提示したように、生活に即した利用シーンにこだわった製品群にも需要があることを示したことになる。今後メーカーはこのような新たな付加価値をいかに創出していくかが求められることになりそうだ。