家電量販市場で販売されるページプリンタ用トナーカートリッジ市場で、ブラザー製品の販売本数シェアが初めて5割を突破、競合を圧倒するようになった。トナーはページプリンタを使い印刷する際のインクに相当するもので、純正品が大半を占める。消耗品だけにプリンタ本体の売れ行きと直結するのが一般的で、ここ数年は、本体とトナーの両方でブラザーが主導権を握ってきた。ランニングコストの良さを打ち出してきただけに、ブラザーのシェアはプリンタ本体よりもトナーのほうが高く、印刷枚数の多いヘビーユーザーが多いことを示すものとなった。
 

 ページプリンタは本質的には法人需要がメインで、主にシステムインテグレーターやディーラーなどが手掛けてきたが、家電量販市場でも中小零細や個人事業主、または一般ユーザーを対象に販売している。大半は分速20枚前後のA4ローエンドモデルがメインで、プリンタの単一機能だけに特化したモノクロタイプでは1万円台と、インクジェットプリンタ並みの価格帯に入ってきたことから安定した売れ行きとなっている。法人がメインとなるためか、年末から春にかけて需要はやや高まる傾向にある。トナーカートリッジについては、リサイクル品を展開する一部を除き、大半はプリンタ本体メーカーが純正品として提供している。
 
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 トナーカートリッジはそれぞれトナー容量の違いで印刷枚数が異なるうえ、一本単位または複数本をまとめたセット販売もあるため、ここでは販売数量をカートリッジベースに置き換えて数値を算出している。市場全体と販売本数シェアが高い上位3社の動きを、2013年5月のそれぞれの販売実績を「100」とした指数でみていくと、まず、市場全体では消費増税前の駆け込み特需となった14年3月に数値が上昇したが、その後は低調に推移。今年5月は「65」と、3年前に比べて3割以上も落ち込んだことを示している。一方、3社の指数では増税前特需までは似通っているが、ここ1年ほどは二極化が現われている。高水準をキープするブラザーとは対照的にキヤノンと沖データは数値を大きく下げており、この5月はブラザーの「124」に対して、キヤノン「48」、沖データ「37」となった。3社のなかではブラザーだけが販売本数を大きく伸ばしたことなる(図1)。
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 ブラザーの躍進は、過去3年のトナーカートリッジの販売本数/金額シェアにも現れている。本数シェアでは時間の経過とともにブラザーの数値は上昇、直近の5月は51.4%と初めて5割を超えた。一方、金額シェアでも似通った動きとなっており、5月は41.3%と過去最大を記録している(図2)。

 ページプリンタは一ページ単位で印刷するプリンタの総称で、基本的な内部構造は複写機と同様に電子写真技術を活用している。大まかに印刷までの流れをみると、回転する感光体ドラムにレーザーやLEDを光源に使って照射、これをトナーで用紙に転写していく仕組み。このページプリンタにスキャナを装備したのが複写機、電話回線をつなげたのがFAXで、いずれも電子写真技術を応用した機器といっていい。こうした機構のため、劣化が避けられない感光体と印刷に必要不可欠となるトナーは消耗品で、両者の関係性は強く市場規模も小さくはない。

 ページプリンタの低価格化がすすみ、コンシューマ市場にも徐々に浸透しつつあるだけに、トナーカートリッジをはじめとした消耗品市場も拡大していく見通しだ。