GIGAスクールをはじめとするリモート学習やプログラミング教育、eスポーツなどの広がりで、子どもがモニターを見る時間は長くなる一方だ。そこで目の影響を低減するアイケア機能を搭載するベンキューの27型フルHD液晶モニター「GW2785TC」を、情報技術科の教師として全国高校プロコンや若年者ものづくり大会で多大な実績を持ち、現役のeスポーツ部顧問を務める下村幸広氏に2週間にわたり使ってもらい、使用感をレポートしてもらった。高校eスポーツ部の生徒にも感想を聞いた。
オンライン授業やプログラミング教育、
eスポーツなどの広がりで子どもがモニターに接する時間は長くなっている
高校の情報技術科の教師、eスポーツ部顧問、プログラミングスクールの講師として日頃から子どもたちに触れ合う機会の多い私に課せられたレビューポイントはズバリ、子どもたちの日常使用に勧められるかどうかという点だと考えた。
旭川龍谷高校eスポーツ部の下村幸広顧問
レビューの前に、普段私が利用しているモニター環境について紹介したい。
メインモニター:LG 43UD79-B 42.5インチ/4K/IPS
サブモニター:ASUS VZ239HR 23インチ/フルHD/IPS
メインモニターは入力端子が4系統あるのでPCから4本を出力し、1台のモニターだが強制的にマルチモニター環境を実現している。サブモニターは利用頻度が高くないのだが動画を流しっぱなしにしたりニュースを流したりとして使っている。
両モニター共にリフレッシュレートが60Hzであり、FPSのようなゲームには向かず144Hz駆動のモニターを追加で購入しようか考えているところである。
成長途中の子どもたちに使わせるモニターとして一番気になるポイントは視力の影響である。GIGAスクールによる端末の普及や新型コロナウイルスによるリモート学習など、画面を見つめる時間はここ数年で急速に伸びている。文科省の調査でも視力低下や睡眠時間減少など健康に悪影響が出ているようである。
eスポーツをする子どもたちの親の心配事は、(1)ゲーム依存症、(2)学力低下、(3)視力低下――となっており、長時間画面を見ることの健康への影響は常に心配事の上位に挙がる。
この問題は日本固有の問題ではなく米国の調査結果(NASEF調査)でも、(1)中毒(依存症)、(2)長時間画面を見ること、(3)健康への悪影響――と、健康(視力低下と思われる)についての悪影響は世界共通の課題だと思われる。
ゲームに関する保護者の懸念の頻度(米国のNASEF調査)
今回使わせていただいたモニターは目に優しいアイケア機能が特徴とのことなので実際に使ってみてどうなのか楽しみである。
モニタースタンドの裏側
モニタースタンドとアーム
マニュアルを参考にしなくてもサクサクと組み立てられた
本体が大きいと感じた理由の一つが、ACアダプタが内蔵されているからだと電源ケーブルを接続して理解した。個人的には外付けのACアダプタの方が本体が軽く小さくなって良いかと思う。これは本体にUSBパワーデリバリーの機能を持たせるために仕方なかったのかもしれない。
HDMIケーブルで本体と接続し、一通り設定を見た後に動作確認、必要なソフトウェアをセットしたあと最初にUSBパワーデリバリーの機能を確認した。手持ちのAndroidスマートフォンと接続し、高速充電になっていることを確認。最大60Wまで対応とのことなのでほとんどの機器に給電できるのではないだろうか。また、USB Type-Cはモニター接続にも使えるようだ。
ただ、センサが敏感(感度は調整できる)なのと、センサが値を読み取ると画面左端に目玉マークが頻繁に現れるのが少し気になった。小4の娘にも見てもらったが「ドキッ」とすると不評だった。設定を見回しても目玉マークを消す設定が見当たらなかったので、こういう仕様かと諦めていたが、レビュー最終日にもう一度確認したところ「輝度自動調整」の「光量メータ」の設定でオン、オフできることが判明した。個人差はあると思うが、気になるようならオフにするといいだろう。
気になる場合は「輝度自動調整」の「光量メータ」で「オフ」にできる
長時間画面を見つめるタイミングはやはり、ゲームかプログラミングだろう。共に熱中する行為である。最初にちょうどU16プログラミングコンテスト競技部門のプログラムを作成改良する機会があったのでしばらく使ってみた。配色は昼間モードとダークモード両方で利用した。
プログラミング作業で一番最初に感じたのは「字が大きくて見やすい!」ということである。プログラミングのような細かい作業をする場合、視点移動が少ない小さめのモニターの方が良いとずっと思っていたのだが、寄る年並には勝てず、小さい文字が見にくくなってきている筆者には大変都合が良いというのがわかった。
プログラミング作業で最初に感じたのは
「字が大きくて見やすい!」
コーディングモードは、コントラストがはっきりして字が見やすい
筆者がベストと思ったプログラミング作業時のOSD設定は「輝度自動調節」オン、学習設定は「コーディング」、モード設定は「ブルーライト軽減プラス」。この設定で2時間ほど休みなくプログラムに向き合ってみた。
最初に感じたのはひとこと「見やすい」ということである。字が大きいだけではなくディテールがはっきりしているというか、くっきりしてるというか、とにかく見やすい。
この見やすさは普段使っているモニターとの比較にはなるが、明らかに目が疲れないと感じた。試しに「ケアモード」「閲覧」「ePaper」に切り替えてみたが、ePaperは目的が違うのでないとしても、やはり見やすさで言えば「コーディング」が一番見やすいと感じた。
搭載している「フリッカーフリー」技術の影響もあるのかもしれない。「ブルーライト低減」機能はデメリットもなく目の疲労を軽減させ、質の高い睡眠につながるらしいが明確な差は感じなかった。しかしモニターを見てる時間は大人も子どもたちもかなり長時間化しているので、結果的に疲労の蓄積という点では効果があることは推測できる。
さらに、BenQにはモニターの上に簡単に取り付けられるモニターライト「ScreenBar Halo」などもあるという。周囲の明るさに応じて自動的に500ルクスに調整する機能のほか、モニターへの光の映り込み低減や、バックライト効果による間接照明、バランスのよい照明環境を調整するなど、三つのアイケア照明モードを搭載する。モニターと合わせて使うことで、さらに目に優しい環境を整えられるそうだ。
モニターライト「ScreenBar Halo」を取り付けるとさらに目に優しくなる
さて、別途ダウンロードできるソフトウェア「Eye-CareU」を使うことで目が受けるブルーライトの削減量や休憩時間を知らせることができるので、早速利用した。
付属のソフトウェア「Eye-CareU」を使うと休憩時間などを知らせてくれる
ソフトウェア上で輝度自動調整や、周りが暗いと教えてくれる機能などをオン・オフできるようになるなど、アイケアに関わる機能が盛りだくさんのモニターなので、ハードウェアのボタンをポチポチするより直感的に操作できて良いと思った。しかし、一度設定してしまえば頻繁には切り替えないと思うので利用頻度は低くなるだろうと思った。
厚労省の資料によるとVDT作業は「一連続作業時間が1時間を超えない、次の連続作業時間の間に10分~15分の作業休止時間をもうけ、かつ、一連続作業時間において1回~2回程度の小休止を設けること。」とのガイドラインが設けられている。
なお、VDTはVisual Display Terminalsの略語で、ディスプレイやキーボード等で構成されるコンピュータの出力装置の一つで文字や図形、グラフィック、動画などを表示する装置のこと。VDT機器でデータの入力・検索、文章、画像などの作成・編集・修正、プログラミング、監視などを行う作業を「VDT作業」という。
ガイドラインの内容は頭では理解しているのだが、実際に定期的な休憩時間を挟むのはなかなか難しい。どうしても目の疲労は後回しになってしまう。子どもたちの場合、学校のような管理する人がいれば可能だが、家でプログラミングやゲームになると、ほとんどの場合、休憩時間はないことが想像できる。
「Eye-CareU」はデフォルトで30分ごとに休憩を促すメッセージが表示される。先述した厚労省のガイドブックにも照らし合わせて理にかなった休憩時間だと思う。
このようなソフトウェアと合わせて、替えの利かない、生涯使う目だからこそ目を大切にし、モニターを見続けることによる目への悪影響を早い段階から子どもたちに理解させる教育が必要だとレビューを書くことであらためて強く感じた。
目のケアについて早い段階から子どもへの教育も必要だと感じだ
設定項目が多いのだが、私は使わなかった視覚障害者のためのモードに興味を持ったらしく(高校生らしい)、ColorWeaknessを設定してゲーム、フォートナイトをプレイしてゲームへの適性や目の疲労度を経験してもらった。なお、モニター画面が赤色なのはColorWeakness設定のためであることを断っておく。
指導している旭川龍谷高校eスポーツ部の生徒に使ってもらった
ゲームは長時間利用するケースも多く、長い時間画面を見続けることによる疲労、そして視力低下と不安な要素が大きい。経験だが目の疲労は画面のチラツキによるものが大きいが、このモニターは国際的な認証機関であるTUV Rheinland認証を取得したフリッカーフリー技術を搭載しているので安心できる。
また、特にFPS系のゲームの場合、1秒当たりの画面の書き換え数、すなわちリフレッシュレートが低いとカクツキが発生し、ゲームとして楽しめなくなってしまうため高速なモニターが必要になる。本モニターはゲーム用ではないが、リフレッシュレートは75Hzまで対応してるため実際にゲームに使ったらどうなのかも、普段144Hz駆動のモニターを利用しているeスポーツ部の生徒に検証してもらった。
最初に30Hzでプレイしてもらったところ、「カクツキが多くて無理」とのことなので一気に一番高速な75Hzにしてみたところ「そこまで気にならない」との評価である。
プレイする際はリフレッシュレートを75Hzにすると
「そこまで気にならない」
大画面で目の保護を考えると、子ども用の最初の1台目としても良い
今回は時間がなくてマイクの機能を試すことはできなかったが、オンラインによるミーティングや授業などに追加の支出がないのも、新型コロナ禍でオンライン授業が普及している中、好感が持てる。
今後ますます画面を見続ける時間が長くなることが想像される昨今、子どもたちの目の保護は極めて重要な課題である。性能として軽く見られがちな目の保護機能は、今後ますます重要視されていくのではないだろうか。このモニターを使い倒して得た感想である。
■Profile
下村 幸広(しもむら・ゆきひろ)
情報技術科の教師として全国高校プロコン、若年者ものづくり大会で多大な実績をあげる。2010年に小中学生対象にしたU16プロコンを創設し小中学生のプログラミング教育に取り組む。eスポーツにも造詣があり、現在旭川龍谷高校eスポーツ部顧問としてeスポーツを題材にしたプログラミング教育に取り組む。22年旭川市でものづくり教室「ひとまちアカデミー」を創設、現在14名の子どもたちにものづくりやプログラミングの楽しさを教える。

eスポーツなどの広がりで子どもがモニターに接する時間は長くなっている
eスポーツをする子どもたちの親の心配事は日米共通
今回BCNの紹介でベンキュージャパン(BenQ)の27型フルHD液晶モニター「GW2785TC」を使わせてもらう機会を得たので約2週間にわたってびっちりと使い込んだ。高校の情報技術科の教師、eスポーツ部顧問、プログラミングスクールの講師として日頃から子どもたちに触れ合う機会の多い私に課せられたレビューポイントはズバリ、子どもたちの日常使用に勧められるかどうかという点だと考えた。

レビューの前に、普段私が利用しているモニター環境について紹介したい。
メインモニター:LG 43UD79-B 42.5インチ/4K/IPS
サブモニター:ASUS VZ239HR 23インチ/フルHD/IPS
メインモニターは入力端子が4系統あるのでPCから4本を出力し、1台のモニターだが強制的にマルチモニター環境を実現している。サブモニターは利用頻度が高くないのだが動画を流しっぱなしにしたりニュースを流したりとして使っている。
両モニター共にリフレッシュレートが60Hzであり、FPSのようなゲームには向かず144Hz駆動のモニターを追加で購入しようか考えているところである。
成長途中の子どもたちに使わせるモニターとして一番気になるポイントは視力の影響である。GIGAスクールによる端末の普及や新型コロナウイルスによるリモート学習など、画面を見つめる時間はここ数年で急速に伸びている。文科省の調査でも視力低下や睡眠時間減少など健康に悪影響が出ているようである。
eスポーツをする子どもたちの親の心配事は、(1)ゲーム依存症、(2)学力低下、(3)視力低下――となっており、長時間画面を見ることの健康への影響は常に心配事の上位に挙がる。
この問題は日本固有の問題ではなく米国の調査結果(NASEF調査)でも、(1)中毒(依存症)、(2)長時間画面を見ること、(3)健康への悪影響――と、健康(視力低下と思われる)についての悪影響は世界共通の課題だと思われる。

今回使わせていただいたモニターは目に優しいアイケア機能が特徴とのことなので実際に使ってみてどうなのか楽しみである。
マニュアルを参考にしなくても組み立てられる
普段は23インチを使っているので、箱から出したときの第一印象は意外と大きいなと感じた。またベゼルレスなデザインのカッコ良さも感じた。その後、組み立てとなったが、これも簡単にサクサク進み、特にマニュアルを参考にする必要もなかった。


本体が大きいと感じた理由の一つが、ACアダプタが内蔵されているからだと電源ケーブルを接続して理解した。個人的には外付けのACアダプタの方が本体が軽く小さくなって良いかと思う。これは本体にUSBパワーデリバリーの機能を持たせるために仕方なかったのかもしれない。
HDMIケーブルで本体と接続し、一通り設定を見た後に動作確認、必要なソフトウェアをセットしたあと最初にUSBパワーデリバリーの機能を確認した。手持ちのAndroidスマートフォンと接続し、高速充電になっていることを確認。最大60Wまで対応とのことなのでほとんどの機器に給電できるのではないだろうか。また、USB Type-Cはモニター接続にも使えるようだ。
プログラミングで使ってみて「アイケア」の良さを実感
次に本製品の目玉であるアイケア機能について確認した。内蔵の光線センサの値を読み取り、自動でモニターの輝度を調整する機能である。輝度が自動で変わっても「多少変わったかな?」と思える程度で制御は優秀だと思える。ただ、センサが敏感(感度は調整できる)なのと、センサが値を読み取ると画面左端に目玉マークが頻繁に現れるのが少し気になった。小4の娘にも見てもらったが「ドキッ」とすると不評だった。設定を見回しても目玉マークを消す設定が見当たらなかったので、こういう仕様かと諦めていたが、レビュー最終日にもう一度確認したところ「輝度自動調整」の「光量メータ」の設定でオン、オフできることが判明した。個人差はあると思うが、気になるようならオフにするといいだろう。

アイケア機能の表示

長時間画面を見つめるタイミングはやはり、ゲームかプログラミングだろう。共に熱中する行為である。最初にちょうどU16プログラミングコンテスト競技部門のプログラムを作成改良する機会があったのでしばらく使ってみた。配色は昼間モードとダークモード両方で利用した。
プログラミング作業で一番最初に感じたのは「字が大きくて見やすい!」ということである。プログラミングのような細かい作業をする場合、視点移動が少ない小さめのモニターの方が良いとずっと思っていたのだが、寄る年並には勝てず、小さい文字が見にくくなってきている筆者には大変都合が良いというのがわかった。

「字が大きくて見やすい!」

筆者がベストと思ったプログラミング作業時のOSD設定は「輝度自動調節」オン、学習設定は「コーディング」、モード設定は「ブルーライト軽減プラス」。この設定で2時間ほど休みなくプログラムに向き合ってみた。
最初に感じたのはひとこと「見やすい」ということである。字が大きいだけではなくディテールがはっきりしているというか、くっきりしてるというか、とにかく見やすい。
この見やすさは普段使っているモニターとの比較にはなるが、明らかに目が疲れないと感じた。試しに「ケアモード」「閲覧」「ePaper」に切り替えてみたが、ePaperは目的が違うのでないとしても、やはり見やすさで言えば「コーディング」が一番見やすいと感じた。
搭載している「フリッカーフリー」技術の影響もあるのかもしれない。「ブルーライト低減」機能はデメリットもなく目の疲労を軽減させ、質の高い睡眠につながるらしいが明確な差は感じなかった。しかしモニターを見てる時間は大人も子どもたちもかなり長時間化しているので、結果的に疲労の蓄積という点では効果があることは推測できる。
さらに、BenQにはモニターの上に簡単に取り付けられるモニターライト「ScreenBar Halo」などもあるという。周囲の明るさに応じて自動的に500ルクスに調整する機能のほか、モニターへの光の映り込み低減や、バックライト効果による間接照明、バランスのよい照明環境を調整するなど、三つのアイケア照明モードを搭載する。モニターと合わせて使うことで、さらに目に優しい環境を整えられるそうだ。

さて、別途ダウンロードできるソフトウェア「Eye-CareU」を使うことで目が受けるブルーライトの削減量や休憩時間を知らせることができるので、早速利用した。

ソフトウェア上で輝度自動調整や、周りが暗いと教えてくれる機能などをオン・オフできるようになるなど、アイケアに関わる機能が盛りだくさんのモニターなので、ハードウェアのボタンをポチポチするより直感的に操作できて良いと思った。しかし、一度設定してしまえば頻繁には切り替えないと思うので利用頻度は低くなるだろうと思った。
厚労省の資料によるとVDT作業は「一連続作業時間が1時間を超えない、次の連続作業時間の間に10分~15分の作業休止時間をもうけ、かつ、一連続作業時間において1回~2回程度の小休止を設けること。」とのガイドラインが設けられている。
なお、VDTはVisual Display Terminalsの略語で、ディスプレイやキーボード等で構成されるコンピュータの出力装置の一つで文字や図形、グラフィック、動画などを表示する装置のこと。VDT機器でデータの入力・検索、文章、画像などの作成・編集・修正、プログラミング、監視などを行う作業を「VDT作業」という。
ガイドラインの内容は頭では理解しているのだが、実際に定期的な休憩時間を挟むのはなかなか難しい。どうしても目の疲労は後回しになってしまう。子どもたちの場合、学校のような管理する人がいれば可能だが、家でプログラミングやゲームになると、ほとんどの場合、休憩時間はないことが想像できる。
「Eye-CareU」はデフォルトで30分ごとに休憩を促すメッセージが表示される。先述した厚労省のガイドブックにも照らし合わせて理にかなった休憩時間だと思う。
このようなソフトウェアと合わせて、替えの利かない、生涯使う目だからこそ目を大切にし、モニターを見続けることによる目への悪影響を早い段階から子どもたちに理解させる教育が必要だとレビューを書くことであらためて強く感じた。

高校eスポーツ部の生徒に使ってもらった
さて、一番長時間接する普段使いのモニターとして子どもたちはどう感じるかを調べるため、日頃指導している旭川龍谷高校eスポーツ部の生徒にいろいろ使ってもらった。設定項目が多いのだが、私は使わなかった視覚障害者のためのモードに興味を持ったらしく(高校生らしい)、ColorWeaknessを設定してゲーム、フォートナイトをプレイしてゲームへの適性や目の疲労度を経験してもらった。なお、モニター画面が赤色なのはColorWeakness設定のためであることを断っておく。

ゲームは長時間利用するケースも多く、長い時間画面を見続けることによる疲労、そして視力低下と不安な要素が大きい。経験だが目の疲労は画面のチラツキによるものが大きいが、このモニターは国際的な認証機関であるTUV Rheinland認証を取得したフリッカーフリー技術を搭載しているので安心できる。
また、特にFPS系のゲームの場合、1秒当たりの画面の書き換え数、すなわちリフレッシュレートが低いとカクツキが発生し、ゲームとして楽しめなくなってしまうため高速なモニターが必要になる。本モニターはゲーム用ではないが、リフレッシュレートは75Hzまで対応してるため実際にゲームに使ったらどうなのかも、普段144Hz駆動のモニターを利用しているeスポーツ部の生徒に検証してもらった。
最初に30Hzでプレイしてもらったところ、「カクツキが多くて無理」とのことなので一気に一番高速な75Hzにしてみたところ「そこまで気にならない」との評価である。

「そこまで気にならない」
子ども用の最初の1台に「コレしかないのでは?」
フォートナイトはさまざまなデバイスに移植されており、子どもたちが多く利用しているのは携帯型ゲーム機であることを考えると、大画面でこれだけ快適にプレイできるなら子どもに買い与える1台目のモニターとしても良いのではないだろうか。そして豊富な目を保護する機能と合わせると、「むしろコレしかないのでは?」と考えさせられる一台である。
今回は時間がなくてマイクの機能を試すことはできなかったが、オンラインによるミーティングや授業などに追加の支出がないのも、新型コロナ禍でオンライン授業が普及している中、好感が持てる。
今後ますます画面を見続ける時間が長くなることが想像される昨今、子どもたちの目の保護は極めて重要な課題である。性能として軽く見られがちな目の保護機能は、今後ますます重要視されていくのではないだろうか。このモニターを使い倒して得た感想である。
■Profile
下村 幸広(しもむら・ゆきひろ)
情報技術科の教師として全国高校プロコン、若年者ものづくり大会で多大な実績をあげる。2010年に小中学生対象にしたU16プロコンを創設し小中学生のプログラミング教育に取り組む。eスポーツにも造詣があり、現在旭川龍谷高校eスポーツ部顧問としてeスポーツを題材にしたプログラミング教育に取り組む。22年旭川市でものづくり教室「ひとまちアカデミー」を創設、現在14名の子どもたちにものづくりやプログラミングの楽しさを教える。