磁力をON/OFFできる強力永久磁石

レビュー

2021/06/13 18:30

 いつの間にか気軽に誰にでも強力な磁石が手に入るようになった。レアアースの一種ネオジムに鉄とホウ素を加えて作られた永久磁石「ネオジム磁石」が、その立て役者だ。1982年に日本と米国でほぼ同時に発明され、翌年に製品化。電車や車、HDDなどのモーターに使われはじめ、世界中に広がった。今では、100円ショップでも買えるとてもポピュラーな磁石になった。それ以前は、永久磁石といえばフェライト磁石が一般的だったが、磁力は“ヨワヨワ”。例えば、ホワイトボードに大きな紙を貼ろうとしても、磁石をいくつも使わなければ、すぐに紙がずり落ちてしまう程度の磁力しかなかった。

「MAGSWITCH MAGJIG 60キーホルダー」を使ってみた。
通常は強力な磁力がある

 しかし、ネオジム磁石の登場で磁力が激変。ものによっては、一旦くっついてしまうと人の手では引き離すのが難しいほどの強力な磁力を持つものも珍しくない。ネオジム磁石を使ったおもちゃを子どもが誤って飲み込んでしまい、磁石同士が体内でくっつこうとしたために、腸に穴が開き開腹手術をして摘出するという、痛ましい事故が起きたこともある。下手に取り扱うとケガをしかねない、それほど強力なのがネオジム磁石だ。

 強力ゆえに、逆に使いにくい場面も出てくる。一旦くっついたが最後、金輪際外せないとなれば、使い道も限定される。必要なときに強力な磁石になり、必要ないときに磁力がなくなる。そんな磁石があれば便利だ。電気を使う電磁石なら、電源のオン/オフで簡単に実現できるが、何より大げさだ。普通の永久磁石で実現できれば、応用範囲は広そうだ。

 そう思っていたら、実際にそんな製品があった。ノブを回すだけで磁力がオン/オフできる切り替え式の永久磁石。米国に本社を構えるMagswitchTechnologyの製品が有名だ。鉄板を運搬する際に使ったり、金属の溶接のや加工の際の仮止めに使ったりと、主に産業分野で活躍している。
 
本体上部の黒いノブを回すと磁力がオフになり、クリップはくっつかなくなる

 ケースに二つの磁石を入れた構造で仕組みはいたって簡単。それぞれの磁石の極性を合わせれば強力な磁力を発揮し、ぐるっと回して極性を逆にすれば互いに打ち消しあって磁力が消える、というものだ。実際にキーホルダータイプで100gほどの小さな製品を使ってみた。磁力オンの状態は、とても強力な磁石そのもの。保持力は最大27kgもあるという。しかし、ノブを回すとあっさり磁力がなくなる。製品パッケージには、磁力をオフにすれば、近くに磁気カードがあっても影響はないと書かれているほど。とはいえ、オフ時にもほんの少し磁力は残っており、磁気を嫌うところに置くのは避けたほうがいいだろう。

 現在は産業用が大半で個人向けの製品はまだほとんどないが、この「ON/OFF磁石」、アイデア次第では日常生活にも便利に使えそうだ。(BCN・道越一郎)
 

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