「AI×クリエイティビティ」と題したトークイベントが、東京都渋谷区の青山学院大学で11月30日に開催された。刊行されたばかりの書籍「AI×クリエイティビティ 情報と生命とテクノロジーと。」の著者2人を招いてのトークセッション。AIと創作がどう関係してくるのか。そもそもAIの創作とはどんな意味を持つのかなどについて、議論された。

青山学院大学で開催されたトークイベント「AI×クリエイティビティ」には、多くの聴講者が参加した

 最初に、シンギュラリティ研究所の副所長で、青山学院女子短期大学現代教養学科の河島茂生准教授が登壇。「人間の創造性とはいったいなにか」をテーマに講演した。「創造性とは何かという問いは、底なし沼のような、とても難しい問い。卒論のテーマにしたいと学生から相談されたら止めるだろう。しかし、訳が分からないこそ創造性ともいえる」と口火を切り、生物とは何かからさかのぼり、創造性の本質について語った。

 また、「オートポイエーシス(=自分で自分をつくりだす)という機能を持つ唯一無二の人間から生まれるのが創造性。創作とは、生命情報と意識と社会情報、テクノロジーの結晶だ」としながら、AIとの関係については「AIだけに任せるのではなく『人間+AI』としてとらえていけば、創造性は飛躍的に高まるだろう」と語った。
 
「著作権思想への想い」と題して講演する、コンピュータソフトウェア著作権協会の
久保田裕専務理事

 次に、コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事が登壇。「著作権思想への想い」と題し講演した。

 「情報がビジネスの源流になり知的財産や著作権で経済や文化が動く時代になっている。しかし、著作権思想がなかなか根付かない」としながら、「創作的情報としての著作物とは何か。例えば1歳の子どもが描いたものでも著作物と言える。唯一無二人間が表現したものについては、ほとんど創作性が宿る」と話した。

 加えて、「大事なことは創作する事。法制度としての著作権がその妨げになってはならない」とも語った。さらに、「かつて、漫画家の松本零士さんにインタビューしたとき『創作は体験に根ざす』という金言に触れた。困ったら生命情報に訊け。創作とは身体性そのものだ」と述べた。
 
トークイベント「AI×クリエイティビティ」の登壇者。左から、モデレーターを務めた日本文藝家協会の
著作権管理部の長尾玲子部長、青山学院女子短期大学現代教養学科の河島茂生准教授、
コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田専務理事

 このトークイベントは、11月16日~12月15日で開催されている「来るべき世界:科学技術、AI と人間性(The Shape of Things to Come: Technology, AI and the Human)」の一つ。同大学が昨年設置したシンギュラリティ研究所が主催し、「先端社会をめぐる問題点を精査し、その解決に向けて探求する」という研究テーマに沿って展開している。(BCN・道越一郎)