インターネット上の掲示板やQ&Aサイトで、ときどき「動画を撮影するために、デジタルビデオカメラとデジタル一眼(レンズ交換型デジタルカメラ)、どちらを買うか悩んでいる」という書込みをみかける。それぞれ強み・弱みがあるので、できれば両方とも購入し、利用シーンや被写体に合わせて使い分けたいところだが、予算の都合上、どちらか一方に絞らなければ……と悩む人は多い。今回は、比較・検討の参考になるように、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」をもとに、デジタルビデオカメラ、デジタル一眼カメラとも、1920×1080のフルHD以上の動画を撮影できる機種に絞り、「価格」と「重さ」の平均値を調べた。

動画を撮影するならビデオカメラとデジ一眼、どちらがいい?
 

デジタルビデオカメラの平均単価は約5万円 平均重量は250~300g



 子どもの成長の様子を映像で残したいなら、かつては高額なビデオカメラを購入するしかなかった。今は、デジタルビデオカメラをはじめ、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット端末など、選択肢は多い。いずれも高精細のフルHDやHD画質で撮影でき、ソニーのデジタルビデオカメラ「FDR-AX100」やパナソニックのミラーレス一眼カメラ「DMC-GH4」など、フルHDを超える4K動画を撮影できる製品も登場している。将来を見越して、後から変えることができない「画質」と「記録媒体」は慎重に選びたい。

 横型/縦型の一般的な形状のデジタルビデオカメラの「画質」は、スタンダードからハイビジョンへ、そしてフルHDへと進化してきた。記録媒体はしばらくDVテープ、その後はDVDが主流だった。2007年頃から、DVDに代わって内蔵HDDに記録するタイプが台頭したが、今は内蔵フラッシュメモリに記録するタイプと、メモリカードに記録するタイプの二つのタイプに集約された。売れ筋は内蔵メモリタイプで、全体の9割以上を占める。外部メモリにも対応し、実質的なメインの記録媒体はメモリカードだ。本体の平均重量は270~300g程度だが、実際は機種によってさまざまで、200g弱から400g超までと、やや幅がある。

 9月の税別平均単価は約4万5000円。最も販売台数の多い価格帯は、「4万円以上5万円未満」(34.5%)だが、平均単価より低い「4万円未満」も約4割を占める。ビデオカメラというと重厚で高そうなイメージがあるが、本体だけなら意外に軽く、価格も比較的お手頃だ。
 


 デジタルビデオカメラのメインターゲットは、結婚・出産を控えたカップルや子育て中のファミリー。選択肢は、事実上、ソニー、パナソニック、JVCケンウッド(ビクター)、キヤノンの上位4社の製品しかなく、各メーカーとも「子ども」や「家族」向けを強調しすぎているきらいはあるが、連続撮影時間を重視するなら、やはり動画撮影に特化したデジタルビデオカメラがベストだろう。
 
2014年9月
フルHD対応 横型/縦型デジタルビデオカメラ シリーズ別(※) 販売台数シェアトップ10
順位 メーカー 型番・シリーズ名 重さ(g)
※カメラ本体のみ
Wi-Fi 発売年月 販売台数
シェア(%)
1 ソニー HDR-CX535 305 - 2014/01 31.7
2 パナソニック HC-V550M 234 2014/01 16.1
3 パナソニック HC-W850M 362 2014/02 7.6
4 ソニー HDR-PJ800 450 - 2014/01 6.9
5 ソニー HDR-CX420 195 - 2014/01 6.8
6 パナソニック HC-V230M 213 - 2014/01 6.6
7 JVCケンウッド GZ-E765 225 - 2013/12 5.1
8 ソニー HDR-PJ540 325 2014/01 4.9
9 キヤノン IVISHFR52
(iVIS HF R52)
235 2014/01 2.3
10 JVCケンウッド GZ-RX130 290 2014/04 1.8
※カラーや付属品の違いを合算して集計
「BCNランキング」2014年9月 月次<最大パネル>
 

一台2役のデジタル一眼カメラ ミラーレスなら平均単価は5万円台



 レンズ交換型デジタルカメラ(デジタル一眼カメラ)は、構造の違い(レフレックスミラー/ペンタプリズムの有無)によって、ミラーレス一眼とデジタル一眼レフに分かれる。フルHD動画撮影対応機種に限ると、2014年1月以降は、ミラーレスが4割前後、一眼レフが残り6割前後を占める。バッテリ・メモリカードを含めた平均重量は、ミラーレスが300g前後、一眼レフが600g台前半。実際には機種によって幅があり、バッテリを除いたボディ単体ならもっと軽い。
 


 軽量・コンパクトなミラーレス一眼は、パナソニックの「LUMIX G」シリーズやニコンの「Nikon 1」シリーズなど、充実した動画撮影機能をウリにする製品が多い。今年9月のデジタル一眼カメラ全体の税別平均単価は約7万6000円で、ミラーレス一眼のレンズキットに限ると約5万5000円、デジタル一眼レフのレンズキットに限ると約8万3000円だった。見た目こそ異なるものの、平均単価がともに5万円前後と手頃なミラーレス一眼カメラとビデオカメラは、機能でも価格でも競合している。
 
2014年9月
フルHD対応 デジタル一眼カメラ シリーズ別(※) 販売台数シェアトップ10
順位 メーカー 型番・シリーズ名 画素数(万画素) 重さ(g)
※バッテリ・
メモリカード含む
Wi-Fi 販売台数
シェア(%)
1 ニコン D5300 2416 530 8.9
2 キヤノン EOS Kiss X5 1800 570 - 8.8
3 キヤノン EOS Kiss X7i 1800 580 - 8.5
4 キヤノン EOS Kiss X7 1800 407(ブラック)、
410(ホワイト)
- 8.2
5 ニコン D7100 2410 765 - 4.4
6 ソニー NEX-5T 1610 276 4.3
7 キヤノン EOS M 1800 298 - 4.0
8 オリンパス OLYMPUS PEN Lite 
E-PL5
1605 325 - 3.8
9 ニコン D7000 1620 780 - 3.5
10 キヤノン EOS 70D 2020 755 3.4
※カラーや付属品の違いを合算して集計
※太字はミラーレス
「BCNランキング」2014年9月 月次<最大パネル>
 

価格・サイズ・画質・連続撮影時間・使い勝手……何を優先する?



 一般的な形状のデジタルビデオカメラは、2013年2月以降、消費税増税前の駆け込み購入の影響で好調だった今年3月を除き、月間販売台数はずっと前年を下回り、伸び悩んでいる。未婚化・少子化の影響で、メインターゲットであるファミリー層が減っているうえ、かつては6~7年周期だった買替えがなかなか進まず、ミラーレス一眼カメラやスマートフォンなど、同じように動画を撮影できるほかのデバイスに新規購入や買替えニーズの一部が流れているとみられる。
 


 動画は、静止画に比べると撮影後のデータ管理や編集の負担が大きく、撮りっぱなしになりやすい。その点では、撮影後、すぐに編集・共有できるスマートフォンやタブレット端末のほうがすぐれているともいえる。撮った映像を投影して大画面で楽しめるプロジェクター内蔵カメラも製品化されているが、手軽さという点ではスマートフォンに及ばない。「静止画はデジタルカメラやスマートフォン、動画はビデオカメラで撮影する」「ミラーレス一眼カメラ1台で静止画も動画も撮る」「すぐに見たい(見せたい)ので、動画はスマートフォンでしか撮らない」――いずれの考え方にも一理ある。撮影したい対象や、撮影時に何を優先するのか考えて選ぼう。(BCN・嵯峨野 芙美)

※重量について……デジタルカメラは、CIPA(カメラ映像機器工業会)のガイドラインにもとづき、2009年から、スペック情報として、バッテリとメモリカード込みの重量を示しています。デジタルビデオカメラにはガイドラインがなく、バッテリを含まない「本体のみ」の重量を示しています。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。