テレビや液晶ディスプレイのHDMI端子に接続して使う小型のメディアストリーミング用端末「Chromecast(クロームキャスト)」が売れている。米国では2013年7月に発売された製品で、ようやく今年5月、日本でも販売が始まった。価格は税込み4536円。新しいコンセプトの製品をいち早く試したいブロガーやデジタル製品好きなど、アーリーアダプタのマインドをつかんだようだ。

 パソコンやスマートフォン、タブレット端末の画面をテレビに映し出すには、例えばHDMIケーブルで直接接続するなど、いくつかの方法がある。HDMIと無線LAN(Wi-Fi)を利用する「Chromecast」の特徴は、専用アプリでWi-Fiにつないでセットアップ(初期設定)を行うと、自宅のWi-Fiネットワークにつないだ端末から、特別な設定なしで手軽に最大1080pの映像をテレビに映しだすことができること、また、Chromeブラウザのタブのコンテンツをテレビにキャストできる点だろう。
 

Chromecast

Chromecast

 Android搭載スマートフォンやタブレット端末だけではなく、iOSを搭載したiPhoneやiPad、Windows/Mac版Chromeでも利用でき、これらの対応デバイスをリモコン代わりにして操作する。「Chromecast」に直接ストリーミングで配信する仕組みなので、テレビにコンテンツを映し出しながら、端末側では別のアプリを実行できる。手持ちのデバイスを使った簡単な操作、マルチデバイス対応、YouTubeをはじめとする対応アプリ・サービス、そして気軽に試すことができるお手頃価格が魅力だ。

 動画配信に関しては、YouTube、Google Playムービー、ドコモの「dビデオ powered by BeeTV」、auの「ビデオパス」に対応。これから先、動画共有サイト「ニコニコ動画」や、海外ドラマ・アニメなどの見放題サービス「Hulu」「dアニメ」「バンダイチャンネル」といった主要サービスが正式対応すれば、多くの人のニーズをカバーできるだろう。
 

主な「Chromecast」対応アプリ・サービス

主な対応アプリ・サービス(Chromecastの紹介ページより)
 

デジタル製品好きの「試したい」ニーズをつかむ?



 家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、PC用キャプチャボードやワンセグ/フルセグチューナー、ビデオテープをデジタル化するビデオキャプチャ機器など、映像に関するさまざまな製品を集計対象とするカテゴリ「映像関連ボード(映像関連機器)」の販売台数シェアで、「Chromecast」は、5月は56.2%、6月は65.3%を占め、ダントツの1位だった。「Chromecast」と同じようにHDMI端子につないで使用するアップルの「Apple TV」も上位につけているが、発売から2年以上たっていることもあって、シェアは3~4%台にとどまっている。
 
2014年6月
映像関連機器 機種別(※) 販売台数シェア トップ10
順位 メーカー 品名 型番 用途・タイプ 発売
年月
販売台数
シェア (%)
1 Google Chromecast Chromecast テレビ連携
(HDMI)
2014/05 65.3
2 アップル Apple TV MD199J/A テレビ連携
(HDMI)
2012/03 3.9
3 アイ・オー・
データ機器
USB接続
ビデオキャプチャー
GV-USB2 ビデオキャプチャ 2010/10 3.7
4 バッファロー ちょいテレi 1S-IPM110 ワンセグチューナー
(iOSデバイス用)
2013/10 1.3
5 バッファロー ソフトウェアエンコード対応
 USB2.0用 ビデオキャプチャー
PC-SDVD/U2G ビデオキャプチャ 2010/03 1.2
6 ソフトバンク SoftBank SELECTION
 ポケットフルセグ
SB-TV05-FSBA フルセグチューナー
(iOSデバイス用)
2014/03 1.2
7 ピクセラ iPhone/iPad Lightning
コネクター対応
フルセグチューナー
PIX-DT350-PL1 フルセグチューナー
(iOSデバイス用)
2014/03 1.1
8 アイ・オー・
データ機器
USB接続
ビデオキャプチャー
GV-USB2/HQ ビデオキャプチャ 2010/09 1.0
9 恵安 パソコン用地デジ
TVチューナー
KTV-FSUSB2/V3 TVチューナー 2012/06 0.8
10 アースソフト PT3 PT3 ビデオキャプチャボード 2012/06 0.8
※カラーや付属品の違いなどによって別々にカウント
「BCNランキング」2014年6月 月次<最大パネル>

 「Chromecast」がケタ違いの売れ行きを記録したために、今年5月、6月の映像関連機器全体の販売台数は、長期的な下落傾向から一転、前年の1.5倍以上に増加。6月に至っては、前年同月比271.8%と、大幅増を記録した。メーカー別でも、Googleはアイ・オー・データ機器やバッファローなどのPC周辺機器メーカーを抑え、2か月連続でトップに立っている。 
 

 


 現在、「Chromecast」は、Google PlayとAmazon.co.jp、ビックカメラ、ヤマダ電機など、一部の家電量販店・オンラインショップでしか販売していない。筆者が訪れた家電量販店では、ノートPCコーナーに目を引く大きなポップを立て、レジでカードと商品と引き換える方式で販売していた。

 週単位で「Chromecast」の販売台数を集計すると、発売日の5月28日を含む5月第4週(2014年5月26日~6月1日)が最も多く、発売と同時に多くの人が飛びついたようだ。翌6月第1週は、前週の3分の1以下まで下がったが、6月第2週以降は再び増加に転じ、6月中は高い水準を維持した。7月に入って、販売台数は6月より減り、勢いはやや落ち着きつつある。情報に敏感なアーリーアダプタだけでなく、一般層まで普及するかどうかは、ユーザーの口コミと対応アプリ・サービスの拡充にかかっているだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
 


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。