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<インタビュー・時の人>ソニーマーケティング モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部 統括部長 徳田耕一

特集

2012/06/13 11:05

 ソニーは今、携帯オーディオ「ウォークマン」で若者のユーザーを開拓している。「ウォークマン」でソニー製品を知ってもらい、ドックスピーカーやシステムコンポなどの関連製品の販売につなげ、さらに将来、パソコン「VAIO」や薄型テレビ「BRAVIA」を購入してもらおうという作戦だ。ソニーファンの土台づくりの指揮を執るソニーマーケティングのモバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部、徳田耕一統括部長に話を聞いた。

◎プロフィール
徳田 耕一(とくだ こういち)
1965年5月生まれ。90年にソニーに入社し、情報システム営業本部で業務用ソリューションビジネスに従事。その後、ソニーマーケティングの基幹システムやサプライチェーンマネジメントの構築に携わる。09年、ソニーストアなど、リテールビジネスのマーチャンダイジング統括部長を経て、11年4月、モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部統括部長に就任。現在に至る。

「ウォークマン」でソニーファンづくり
機器連携やサービス強化を見据える



Q. 「ウォークマン」をはじめ、モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部が担当する製品の販売状況はどうか。

A.
 「ウォークマン」では、携帯オーディオ専用機のメリットやデジタルミュージックの楽しさをユーザーに伝えることができたと自負している。10代の若者や女性を新しいユーザー層として獲得することに成功している。また、ドックスピーカーやシステムコンポ、ポータブル・ナビゲーション・デバイス(PND)、ラジオ、ICレコーダーなども順調だ。 


Q. 好調を維持するために、重視していることは?

A.
 家電量販店とのパートナーシップだ。「ウォークマン」では、売り場のレイアウトを家電量販店のスタッフといっしょに考えた。携帯オーディオコーナーで複数のモデルのカラーバリエーションを見せながら、男女別や年代別に最適な製品を紹介している。ドックスピーカーと組み合わせれば、リビングでも楽しめることも訴えた。家電量販店は、お客様の顔が見える重要な場所だ。「ウォークマン」を体験する入口である家電量販店のおかげで製品が売れたといっていい。売り場づくりは、今後、ほかの製品でも実施していきたい。

Q. 携帯オーディオでは、iPod touchも人気だ。他社との競争は激しいが、価格戦略など、勝つための策を講じているのか。

A.
 あくまでも顧客目線が重要だと考えている。他社と張り合うつもりはない。

Q. 今は、携帯オーディオでなくても、他のモバイル機器で音楽を楽しむことができる。競合するものはないのか。例えば、スマートフォンは?

A.
 意識していないといえば嘘になる。確かに、スマートフォンによってユーザーが音楽に触れる機会が増えた。その環境のなかで、「ウォークマン」の「S-Master MX」によるハイエンドオーディオに迫る高音質や、直感的に操作できる使いやすさなど、専用機のよさを浸透させることができた。「競合」というより、「共存」が適している。

Q. 担当する製品すべての販売が順調とのことだが、課題はあるのか。

A.
 家電量販店が製品を体験する入口なら、「ウォークマン」は「SONY」というブランドを知ってもらう入口だ。多くの人に入ってもらえるよう、取り組みは強化しなければならない。まずはサービスだ。「ウォークマン」で曲を再生するとき、歌詞を自動でスクロール表示する好評の「歌詞ピタ」など、音楽に特化したサービスを今後も提供していく。また、Bluetoothなどネットワークを使って機器が連携することもポイントになってくる。ユーザーの音楽生活が広がるような連携を模索していきたい。

・Turning Point

 ソニーマーケティングで、基幹システムの大規模な刷新を実施するプロジェクトに参画したことがターニングポイントになった。「設計、製造、物流、営業などの部門が、今、どのような状況なのかが把握できた。また、製品が完成してユーザーに届くまでの一連の流れも理解することができた。会社はそれぞれの部門があって成り立っていることを、身をもって感じた」という。現在、モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部の統括部長として、部門間のさまざまな連携の調整役として活躍している。


※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年6月11日付 vol.1435より転載したものです。
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