デジタル時代の写真立て、デジタルフォトフレームは、依然として活況が続いている。2007年12月を基準にすると、09年10月には台数で約10倍、金額でも約7倍に拡大。デジタルカメラの普及に伴って、新しい写真の楽しみ方を実現する身近な製品として定着しつつあるようだ。「BCNランキング」をもとに、最近の市場動向と売れ筋製品をまとめた。

サイズは7型ワイド、解像度は800×480、価格は1万円台が標準的な仕様



 08年5月にソニーが市場に参入して以来、デジタルフォトフレームは広く一般に知られるようになり、市場は一気に拡大した。09年3月には富士フイルムも参入し、普及に勢いがついた。BCNが販売データの集計を開始した07年12月を基準とする販売台数指数では、09年10月で9.7とほぼ10倍、販売金額指数でも6.7と約7倍。わずか2年足らずの間に市場は急拡大している。


 一方、製品の傾向に目を転じると、各社の仕様は似通ってきており、まだバリエーションは乏しい。09年10月の販売台数構成比をみると、サイズでは7.0型が77.2%と約8割を占める状況。解像度では800×480が48.5%、480×234が27.5%と、この両者で7割以上を占めている。平均単価では、5000円以上1万円未満が30.9%、1万円以上1万5000円未満が46.3%で、この価格帯の製品に人気が集中している。

 いまのところ、突出した機能を備える製品は少ないが、無線LANが利用できるものや、さらにインターネットにも接続できる製品が登場し始めた。小さな液晶パネルには、写真はもとよりさまざまな情報を表示することができるわけで、今後「フォトフレーム機能をもつ情報端末」という新たな指向をもつ製品の登場が大いに期待できる。

市場拡大の立て役者ソニーが依然強さを発揮。富士フイルムの追い上げ急



デジタルフォトフレームの販売台数シェア トップ5 09年10月
順位 メーカー名 シリーズ名 サイズ(型) 最大解像度 内蔵メモリ
容量
音楽再生 販売台数シェア(%)
1 ソニー DPF-D72 7.0 800×480 1GB 非対応 16.6
2 富士フイルム DP-70SH 7.0 800×480 256MB 非対応 11.9
3 ソニー DPF-A72 7.0 480×234 128MB 非対応 8.2
4 グリーンハウス GHV-DF7C 7.0 480×234 なし 対応 4.3
5 グリーンハウス GHV-DF7G 7.0 480×234 なし 対応 4.1

※カラーバリエーションは合算して集計
「BCNランキング」 09年10月 月次 <最大パネル>



 それでは、09年10月の売れ筋製品トップ5をみよう(カラーバリエーションは合算して集計)。1位は16.6%のシェアでソニーの「DPF-D72」が獲得した。09年4月発売の製品だが、翌月以降ダントツのシェアを維持して、6か月連続でトップを走ってきた。解像度800×480の7.0型ワイド液晶を搭載し、画質が良いのが特徴。縦置きでも横置きでも自動的に写真が回転し、時計・カレンダーなどの付加機能も充実している。BCNが集計した市場推定価格(以下市場推定価格)は1万2900円だった。現在は生産が終了しており、11月に後継モデル「DPF-D72N」が発売された。

ソニー「DPF-D72」

 2位につけたのは富士フイルムの「DP-70SH」で、販売台数シェアは11.9%だった。画面サイズは1位の「DPF-D72」と同じ800×480の7.0型ワイド。シャープが提供するASV液晶パネルを採用し、視野角が上下左右176度と広いのが特徴。上下左右どこからみてもキレイな写真を楽しめる。デジカメや携帯電話から赤外線通信で画像を取り込むこともできる。市場推定価格は1万5600円。

富士フイルム「DP-70SH」

 以下、3位はソニーの7.0型ワイドで解像度が480×234の廉価版「DPF-A72」で、シェアは8.2%、市場推定価格は9900円。4位と5位はグリーンハウスの製品で、いずれも480×234の7.0型ワイド液晶を搭載するモデルで、音楽や動画も再生できるのが特徴。4位がシェア4.3%の「GHV-DF7C」。市場推定価格は5200円。5位はその上位モデル「GHV-DF7G」で4.1%。市場推定価格は7300円だった。

 メーカー別では、この1年で30-40%のシェアを安定して占めるソニーが強い。富士フイルムが参入した09年3月には20.5%と大きくシェアを落としたものの、新製品効果で6月には40.3%と回復した。以後、富士フイルムも値下げで対抗し、シェアを拡大。09年10月時点では、ソニーが31.4%、富士フイルムが14.2%と両社は接近している。一方グリーンハウスも11.7%と2桁シェアを獲得しており、競争が激化し始めている。


 一定の市民権を得て市場が拡大したデジタルフォトフレームだが、立ち上がりの段階から安定成長期に入りつつある。徐々に「次」の製品が求められるようになってきた。例えば、「情報小窓」ともいえるインターネットとの接続機能をもつ製品。また、本物の写真立てと同じような使い方を実現する、バッテリー駆動で長期間動作する製品も考えられる。もちろん、さらなる高画質化にも大いに期待できそうだ。デジタルフォトフレームは、まだまだ進化の余地が大きい製品。活況はしばらく続くことになりそうだ。(BCN・道越一郎)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。

*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。