今年3月、日本AMDはパソコンでHD(ハイ・デフィニション)を実現する取り組みとして「AMD HD! エクスペリエンス」を発表した。これは、同社のPCプロセッサで実現できるHDソリューションをコンシューマユーザーに浸透させる策。その立役者は土居憲太郎だ。

パソコンの利便性を引き出す



――土居憲太郎 コンシューマープロダクトマーケティング部長

 構想を練ったのは1年半前から。ある社員がデジタルビデオカメラで撮影した映像をパソコンで上手く再生できなかったことに端を発する。「これでは、一般ユーザーが映像用途でパソコンに振り向いてくれない」と実感したそうだ。しかし、同社にはUVD(ユニファイド・ビデオ・デコーダー)と呼ばれる、高密度動画をスムーズに再生できる機能を搭載したプロセッサがある。「デジタルビデオカメラは99%以上がフルHDという時代に入っている。パソコンで高密度動画を再生できることを訴えれば市場を活性化できる」。そう判断し、ロゴを作成。米国本社にプロモーションを実施することを相談したところ、テストマーケティングで展開することを受け入れられた。案には、協業ベンダーを募ることも盛り込んだ。「当社単独では不可能。業界全体で広めていきたい」との考えがあったからだ。

 協業ベンダーとして、パソコンメーカーをはじめ周辺機器メーカーやデジタルビデオカメラメーカーなど37社を獲得した。最近では、大手家電量販店を中心としてデモコーナーを設置するショップも出てきた。このプロモーションは日本だけでなく韓国などアジア地域を中心に広がっているという。まさに、日本発の取り組みがワールドワイドを席巻しようとしているのだ。

 日本AMDに入社する以前は、法人を対象としたビジネスに携わることが多かった。前職でコンシューマ向け事業に従事、日本AMDに入社後はコンシューマ向けプロダクトマーケティング部長として力を発揮している。イベントなどでは、“AMDのアニキ”としての顔も。秋葉原電気街を訪れるユーザーから慕われている存在だ。「ユーザーから大きな力をもらう。勉強になることも沢山ある」。ユーザーとともに歩んできたからこそ、今回の策が出てきたともいえる。

 「今は、映像の視聴をメインにパソコンの利便性を訴えている。今後は、映像編集という点にもフォーカスしていきたい」。市場の活性化に余念がない。(文中敬称略)(BCN 佐相彰彦)

土居憲太郎 コンシューマープロダクトマーケティング部長


週刊BCN 2008年12月15日付 Vol.1264より転載