「手乗りプロジェクター」が初登場で1位、手軽になった「モバイルで大画面」

特集

2008/12/08 16:00

 住友スリーエム(住友3M)が発売した小型・軽量プロジェクター「MPro110」が、「BCNランキング」11月第4週(11月24-30日)の機種別販売台数シェア1位を獲得した。モバイル端末と接続し、壁などに投写した大画面の映像を数人で共有できるのが特徴だ。住友3Mを含むメーカー各社の参入により、携帯できる“ミニプロジェクター”という新しいジャンルが確立しつつある。

ポケットに入る小さなプロジェクター 住友3Mの「MPro110」



 11月25日発売の住友3Mの「MPro110」は、サイズが携帯電話ほどで手のひらに乗るミニプロジェクター。重さは約160gと軽く、カバンやポケットなどに入れて持ち運びできる。11月第4週の機種別販売台数ランキングでは、初登場にもかかわらずシェア15.8%で首位に立った。


 パネル解像度は640×480で、画面サイズは最大48型まで投写できる。通常のプロジェクターと異なり、光源にはLEDを使用する。このため、冷却ファンを搭載する必要がなく、駆動音が気にならない。外観はブラックとグレーのツートンカラー。(→製品情報)


外出先で大画面の映像を共有、ビジネス/プライベートで活躍



 これまでプロジェクターには、「MPro110」のようなミニサイズのラインアップはほとんどなかった。しかし最近になって、住友3Mのほか海連、オーエス、アドテックなどが次々とミニプロジェクターの発売を発表。にわかに活気を帯びてきた。現在、ミニプロジェクターの価格帯は4万円から5万円台半ばとなっている。


 具体的な利用シーンは、ビジネスならノートPCと接続して、顧客訪問時のプレゼンテーションや少人数での社内ミーティングが想定できる。また、プライベートならiPodなどの携帯オーディオや携帯電話、スマートフォンとつないで、保存した映像を友達と一緒に楽しめる。

住友3Mはメーカーシェアで2位に、市場構造に変化



 「MPro110」の1位獲得は、プロジェクター市場全体の構造にも変化をもたらしている。例えば、メーカーの販売台数シェアでは、これまで年間を通じてほぼ50-60%で推移していた1位のエプソンがシェアを下げ、11月第4週目には45.6%と5割を切った。一方、住友3Mは15.7%を占め、ベンキュー ジャパン、ソニーなどの主要メーカーを抑えて2位となった。


 ただ、販売金額シェアをみると、53.3%と市場の過半数を確保する1位のエプソンに対し、住友3Mは単価の低いミニプロジェクターを扱うため、シェアは7%に留まっている。順位は2位。今後、ミニプロジェクターを販売するメーカーが増えてラインアップが充実すれば、「外出先で大画面の映像を見る」という視聴スタイルがますます広がっていきそうだ。(BCN・井上真希子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで123品目を対象としています。