はがき作成ソフト今年の売れ筋は? いよいよスタート「年賀状商戦」

特集

2006/11/01 01:55

 年賀状が発売され、はがき作成ソフトが最も売れる季節が到来した。ソフトメーカー各社は、新タイトルを早くも9月中旬から市場に投入してユーザーを待ち構えている。新機能のキーワードは「づら」に「ギフト」に「セキュリティ」、はたまた「合併市町村一括変換」など盛りだくさん。「BCNランキング」で今年の売れ筋を見ていこう。

 年賀状が発売され、はがき作成ソフトが最も売れる季節が到来した。ソフトメーカー各社は、新タイトルを早くも9月中旬から市場に投入してユーザーを待ち構えている。新機能のキーワードは「づら」に「ギフト」に「セキュリティ」、はたまた「合併市町村一括変換」など盛りだくさん。「BCNランキング」で今年の売れ筋を見ていこう。

●新機能「づら道楽」人気?で、「筆まめ」のクレオが一歩リード


 まずは06年10月第4週(10月23日-10月29日)のメーカー別販売本数シェアを見てみよう。1位は「筆まめ」シリーズを販売しているクレオで、47.5%のシェアを獲得した。クレオは他メーカーに先駆け、90年にはがき作成ソフトを発売した老舗。依然として安定した人気を保っている。

 年賀状の宛名面に毛筆フォントを使うユーザーは多い。「筆まめ」シリーズの最新版「筆まめ Ver.17」は、毛筆の宛名デザイン機能と、分かりやすくなったデザイン編集機能が特徴。謙慎書道会の神林富石理事に宛名レイアウトの監修を依頼し、毛筆フォントを美しく見せる「自動レイアウト機能」を搭載した。またデザイン編集機能では、使用しているパーツを一覧表示する「パーツリスト機能」を搭載。編集、加工したいパーツは、パーツリストをクリックすることで選択できるので、隣のパーツや、重ねてあるパーツを間違えて選択することなく、編集したいパーツだけを選択できる。このほか、イノシシのマスコットや、着物などに人物写真をはめ込む「づら道楽2 for 筆まめ」を搭載。思わず笑ってしまうおもしろ年賀状も作成できる。

●住所録を有効活用する「筆王」と、可愛く写真を切り抜ける「筆ぐるめ」

 シェア25.4%で2位を獲得したのは「筆王」のアイフォー。最新版の「筆王2007」は住所録の宛名データを利用した「ギフト機能」などを搭載し、はがき作成以外にも活用できる。

 住所録に登録した住所をギフトの送り先として指定することができる機能で、電子金券開発と共同で運営しているウェブサイト「筆王ギフトストア」からギフトの注文ができる。筆王の操作画面から同サイト呼び出すことができるので、年賀状を作りながら、お歳暮の手配もできるというしくみ。なお、同サービスはWindows XPのみ対応する。

 また、住所録のセキュリティ機能として、「おサイフケータイ」や「Edy」「Suica」「ICOCA」などFeliCa対応の携帯電話やICカードを使ったセキュリティ機能を搭載した。携帯電話やICカードをFeliCaポートなどにかざすだけでパスワード認証ができるので、わずらわしいパスワードの入力がいらない。

 3位にランクインしたのは「筆ぐるめ」の富士ソフトで、メーカーシェアは13.1%。最新版の「筆ぐるめ Ver.14」はシリーズで初めてメニューバーを搭載したほか、画像の移動・回転などよく使うボタンを補助メニューとして一覧表示する「補助画面機能」、線と点から選べる「グリッド線表示機能」などを搭載し、操作性が向上した。また、次の操作を教えてくれる「ナビ機能」を搭載し、初めて使うユーザーでも楽に作業を進められるよう工夫を施した。

 デザイン機能として、デジタルカメラで撮影した画像や、スキャナで取り込んだ画像を絵画風のタッチに変換する「アーティストモード」や写真などを型抜きする「型抜き機能」を強化した。「アーティストモード」では「ガッシュ」「シルクスクリーン」「コラージュ」の3つを新たに追加し、計7種類のタッチ加工に対応。「型抜き機能」では定番の星型、ハート型だけではなく、桜型、雪だるま型、風船型など計15種類の型を用意。お子さんやペットを可愛く切り抜くことができる。

●住所録機能を使いこなし、年賀状をスピーディーに仕上げよう!

 年賀状を書く上で、一番時間がかかってしまうのが宛名書きではないだろうか。手書きでは1枚1枚書かなくてはならないし、ソフトを使って印刷する場合でも、住所録にあらかじめ1人1人の住所、氏名が入力されていなければならない。一度入力してしまえば来年からは楽になるのは分かっていても、なかなか面倒で……という人も多いだろう。各はがきソフトには、この入力作業を簡単かつスピーディーにできる機能が搭載されている。

 住所入力のヘルプ機能を使うと、新規の住所入力がだいぶ楽になる。これは郵便番号などを入力するだけで、対応する住所などを自動で入力してくれる機能。「筆まめ」「筆王」「筆ぐるめ」などは電話番号から住所、郵便番号、氏名まで自動で入力するので、キーボードを使って入力する手間が軽減する上に、郵便番号などの間違いが減り、読みにくい地名の入力にてこずることもなくなる。

 Excelで作った住所録をはがき作成ソフトに流用できるのも覚えておいたほうがいい。今年の春までの市町村合併に対応しており、合併前の住所を新住所表記に一括更新することができるものもある。この機能を利用して、Excelで作成した顧客データをはがき作成ソフトに移し、最新住所に更新している中小企業やSOHOもあるという。また、他メーカーのソフトで作成した住所録を新ソフトに移行することもできるので、作り直しの手間がない。一度入力したものがあるのなら、流用できないかをまず考えてみたい。

●手作り感を活かすなら 

 PCで作る年賀状は「味気ない」「心がこもっていない」と、手書きにこだわる人も相変わらず少なくない。しかし、一方で楽はしたい。そんなわがままな人は、「手書きっぽさを出す機能」を試してみてはどうだろう。

 なんといっても年賀状は「手書きの筆文字」。でも、いざ書くと情けない字になってしまう……ということなら、「筆王2007」の「お手本印刷機能」が活用できる。宛名や賀詞などの文字を薄く印刷する機能で、印刷した文字を筆ペンなどでなぞって美しい筆文字が完成となる。筆文字を美しく見せるのは字間と字のバランスがポイントといわれているが、この機能を使えばその両方を自然にクリアできる。また住所の記入でよくある「収まりきらない」といった典型的な失敗も防ぐことができる。

 まったく逆のソフトもある。10月第4週(10月23日-10月29日)のランキングで販売本数シェア0.4%、23位にランクインしたソースネクストの「宛名職人2007 極上パック」には手書きフォントを作成するソフト「まるで手書き」が同梱されている。手書き文字をスキャナで読み取ることで、ユーザーの癖を再現したフォントを作成することができる。へたくそな文字でも、きちんと並ぶと意外に味のある字に見えてくるから不思議だ。この「オリジナルフォント」は年賀状を作る時だけではなく、Wordなどのワープロソフトでも利用できる。世界でたった1つだけの「オリジナルフォント」を作ってみるのも楽しいかもしれない。

●Mac対応のはがき作成ソフト、Photoshopにも対応

 アジェンダの「宛名職人2007/Ver.14」は10月第4週のランキングでほとんど唯一Mac版のラインアップを持つシリーズだ。Mac版の「宛名職人Ver.14 DVD版」は本数シェア0.8%で17位にランクインした。

  最新版の「宛名職人2007/Ver.14」は住所録機能として最新の地名に自動変換する「旧・新住所変換辞書」を搭載。Windows版はExcelで作成した住所データを読み込むことができるので、「Excelで顧客情報を管理しているSOHOなどのビジネスユーザーにも利用されている」(同社・広報)という。

 デザイン素材では、ちぎり絵風や渋め・和み系などの和風イラストや、高品質な写真デザインなどを多数収録。Mac版「宛名職人ver.14」は、Photoshopに対応し、PICT/BMP/JPEG/TIFF/PSD/PNG形式の画像の読み込みができる。このほか、収録している素材をカタログのように見られる「2007年年賀状用フルカラーイラスト見本帳」機能を搭載し、イメージに合った素材が選びやすくなった。


●新兵器「インクジェット写真用」登場も、のんびりは禁物

 「平成19年用年賀はがき」では、これまでの「インクジェットはがき」に加えて、光沢感があり、発色が鮮やかな「インクジェット写真用」もラインアップに加わった。しかし、人気のある紙は、のんびりしていると売り切れることもあるので要注意だ。年賀状もはがき作成ソフトも、場合によってはPCやプリンタも早めに購入して、準備万端で(今年こそ?)余裕のある年末を過ごしたい。


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