デジカメ「700万画素」は買いか?最新春モデルの賢い選び方

特集

2005/04/01 00:46

 デジカメの進化はとどまることを知らない。とくに、画素数だけならばハイエンドクラスのEVF機や一眼レフに引けをとらない性能をもっているのが現在のコンパクトデジカメ、略して“コンデジ”だ。そのなかでも、大きな話題性をもって登場したのが、キヤノンの710万画素コンデジ「IXY DIGITAL 600」。「BCNランキング」から、今年1?3月発売の春モデルの販売台数ランキングを見ると、登場から1か月にも満たない段階で早くも1位をゲット(表)。700万画素という性能が、単なるエポックメイキングで終わらずにコンシュ

 デジカメの進化はとどまることを知らない。とくに、画素数だけならばハイエンドクラスのEVF機や一眼レフに引けをとらない性能をもっているのが現在のコンパクトデジカメ、略して“コンデジ”だ。そのなかでも、大きな話題性をもって登場したのが、キヤノンの710万画素コンデジ「IXY DIGITAL 600」。「BCNランキング」から、今年1?3月発売の春モデルの販売台数ランキングを見ると、登場から1か月にも満たない段階で早くも1位をゲット(表)。700万画素という性能が、単なるエポックメイキングで終わらずにコンシューマに正しく理解されていることを証明してみせた。


 一方、700万画素機の普及にともないコンデジのボトムアップが行われた結果、改めて注目されつつあるのが、少し前までの上位機種だった500万画素クラス。700万画素機を頂点とした結果、500万画素機がコンデジの大勢を占めるようになり、主流となっているのが現状だ(図)


 500万画素という解像度は必要にして十分過ぎる程であり、一般的なPCモニタでの閲覧環境である96dpiでの画像表示はもちろん、300dpiでのプリント出力とも相性が良く、「モニタで観てよし、プリントで観てよし」のバランス良い画素数と言える。したがって、これから当面の間、コンデジ選びの最大のポイントは「500万画素より上か?」になってくるものと予想される。

 それでは、ここからは「画素数とコンデジ性能の関係」という観点で解説を行い、あらためて、真にお買い得なコンデジはどんなタイプなのかについて迫ってみたいと思う。

■コンデジにおける画素数の重要性

 一眼レフ機と比べ、コンデジの撮像センサーのサイズが小さいのは周知の通り。普及率の高いAPS-CサイズのCCDセンサー(またはCMOSセンサー)を搭載した一眼レフと、コンデジの1/1.8?1/2.7インチCCDセンサーでは、撮像面積が3倍程度異なる(当然一眼レフの方が大きい)。

 コンデジでは、この狭い撮像面積の中に一眼レフと同等に近い画素を詰め込むことになるのだが、一眼レフと比べて画素ピッチが狭くなるため、隣接する画素とのノイズ干渉などが発生し、撮像素子が大きい一眼レフのように画素数の多さが直接画質の向上につながりにくい。そこで重要になってくるのが、キヤノンの「DIGIC」などで知られる映像エンジン・チップの存在。JPEGデータがメインとなり、RAWデータ撮影を行うことがほとんどないスリムタイプ・コンデジでは一眼レフ以上に映像エンジンの依存度が高く、画素数以上に重要な要素となる。したがって単純に画素数のみで性能を推し量るのは無理がある。

■画素数がモノを言うシチュエーション

 では、700万画素クラスのコンデジは「買い」ではないのか、というと全くそんなことはない。先に述べた映像エンジンに関しても「700万画素」という画素数に最適化されているだろうし、各機種のサンプル画像で見る映像は十分美しい。こういった画素数の多さの効力を最も実感できるのがプリントだ。

 いくら高画素で撮影したとしても、あらかじめモニタサイズに対する画素数が決定しているモニタ環境(96dpi)では、巨大な撮影データはモニタの範囲を超えて表示されてしまい、フルサイズでの閲覧は苦しいものとなる。しかし、カラープリントの世界で推奨される解像度は300dpiと広く、画素数の多さがそのまま画質のきめ細やかさにつながるので画素数の恩恵を実感しやすい。また、画素数の多さにより2L判、6切判など、印刷できるサイズのバリエーションも増えていくので、デジカメの楽しみは確実に増大するはずである。

 コンデジ選定の際、自分のニーズを考えてみて、少しでもプリントによる出力が含まれているならば、画素数をメインの選定判断基準にしても良いだろう。

■画素数だけでなく、メーカー独自の画質向上機能にも注目

 また、一眼レフとは異なり、コンデジユーザーの多くはカメラ初心者。したがって「誰でも簡単に綺麗な写真が撮れる」ということを主眼としてつくられており、初心者の撮影を支援するためのいろいろな機能が搭載されているのも特徴の一つだ。

 例えば、松下の「LUMIX FX7」やコニカミノルタの「Dimageシリーズ」などに搭載されている光学式手ブレ補正機能や、カシオの「EXLIM ZOOM EX-Z55」などに搭載される被写体のゆがみ補正機能、そしてニコンの「COOLPIX 5900」など新しい「COOLPIXシリーズ」に登載される、被写体の顔を検出して自動的にピントを合わせる顔認識AF機能など、コンデジにはユニークかつ強力な撮影支援機能が備わっている。

 画素数や映像エンジンの特性などとあわせて、これらの機能にも十分に留意してコンデジの選定を行えば、きっとベストマッチな1台が入手できるはずだ。(フリージャーナリスト・市川昭彦<Aqui-Z>)