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山口市で空間アートプログラム開催、国宝瑠璃光寺五重塔の全面改修に伴い

暮らし

2023/11/01 07:30

 山口県山口市は、国宝・瑠璃光寺五重塔における約70年ぶりとなる檜皮葺屋根の全面改修を契機とした、五重塔が持つ歴史的な価値を市内外に発信し、観光地としての認知度および魅力度の向上を図るとともに、五重塔がある香山公園へのさらなる観光誘客促進を目的とした、空間アートプログラム「昇華-shouka-大内文化」を開催している。

現在改修中のためデザインシートで覆われた
国宝・瑠璃光寺五重塔の様子

六つのイベントを用意

 同プログラムでは、「『大内文化』を花開かせた大内氏のマインドが空間アートに昇華する」をテーマに、五重塔を建立して山口のまちの基礎を築いた「大内氏」が、京や明といった国内外の都市との交流を盛んに行う中で、さまざまな文化を柔軟に取り入れてきたマインドを、従来の慣習にとらわれることなく自ら進んで革新(イノベーション)に挑む進取の気風と捉え、多種多様なカラーで表した空間アートとして、幻想的な空間演出を行う。

 現在、改修中である瑠璃光寺五重塔は、特別にデザインされたシートで覆われている。デザインシートでは、「大内氏の思想を纏う五重塔」をテーマに、五重塔を建立した大内氏の武家としての荒々しさや、文化人としての繊細さ、多様な文化を取り入れた柔軟性といった、大内氏の思想を表現した。
 
瑠璃光寺五重塔の周囲に設置された
工事用仮囲いには「時代絵巻」を展示

 改修中の工事用仮囲いには、高さ2m、全長27mに及ぶ「時代絵巻」を展示し、山口県出身のイラストレーター・taeco氏の親しみやすいイラストを通じて、五重塔と大内氏の歴史を楽しく学べる(設置期間は2024年3月まで)。
 
香山公園に設置された「大内菱」
モチーフの竹製モニュメント

 香山公園には、大内氏の家紋である「大内菱」がモチーフの竹製モニュメントを、2024年3月まで設置する。さまざまな花木を配置することによって、山口を中心に繁栄を築いた大内氏の歴史を、季節とテーマにあわせて3期にわたって表現していく。
 
ARを活用した五重塔の切り絵アート展示も

 同じく2024年3月までの期間には、スマートフォンアプリ「COCOAR」で瑠璃光寺五重塔を覆っているデザインシートを読み取ることで、山口県出身の切絵アートクリエーター・Atsuomi氏が制作した五重塔の切り絵アートが出現し、制作過程をタイムラプス動画で楽しめる。なお、切り絵作品の実物は瑠璃光寺本堂で見ることができる。
 
「和歌のカーテンゾーン」のイメージ

 12月23日~2024年2月25日の期間は、香山公園の池周辺に「和歌のカーテンゾーン」が展開される。同ゾーンでは、歴代当主が勅撰集に入集するなど和歌に長けていた大内氏の、思想と文化を感じ取れる空間を演出する。
 
「ステンドグラスゾーン」のイメージ

 同じく香山公園の池周辺には、アクリル板を使用した「ステンドグラスゾーン」も展開される。アクリル板を通して白いカーテンに写し出される色彩豊かな光によって、大内氏がさまざまな文化を吸収しつつ、繁栄していく様子を表現する。
 
香山公園のライトアップイメージ

 2024年1月19日~28日の期間は、「五重塔デザインシート」や「和歌のカーテンゾーン」「ステンドグラスゾーン」などを中心に、夜の香山公園を幻想的にライトアップするとともに、「大内氏」繁栄の背景にある思想や、山口を訪れた歴史上の人物を彷彿とさせる、光と映像で再現するプロジェクションマッピングを、夜間イベントとして行う。
 
改修以前に撮影された
瑠璃光寺五重塔の様子

 瑠璃光寺五重塔は、嘉吉二年(1442年)に大内義弘の供養塔として建立され、日本三名塔の1つに数えられるとともに、大内文化の最高傑作として国宝に指定されている。
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