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ヤマダホームズがヤマダホールディングスのグループシナジーを生かしたスマートハウスを発表

経営戦略

2023/10/27 19:00

 10月26日、ヤマダホールディングス(以下、ヤマダHD)の子会社で住宅メーカーのヤマダホームズはYAMADAスマートハウスの展開に関して発表会を開催した。

創エネ・蓄エネ・省エネとIoTで機器を連携した
YAMADAスマートハウス

ヤマダならではのスマートハウスを開発

 登壇したヤマダHDの村澤圧司副社長執行役員COOは「当社はここ数年、暮らしまるごと戦略を推進している。さらにこの戦略を進化させていくためには住宅が欠かせず、スマートハウスの展開が必須」と述べた。

 続けて「スマートハウス自体はすでに商品化され、販売されている。当社で取り組むならヤマダらしい次世代型のスマートハウスにしたいという考えから開発に数年かけ、ようやく発表することができた」とヤマダホームズによるスマートハウス発売の背景を語った。
 
スマートハウスに対する考えを語る
ヤマダHDの村澤圧司副社長

 村澤副社長の挨拶後、9月16日付けで社長に就任したヤマダホームズの清村浩一代表取締役兼社長執行役員は「スマートハウスといっても、すでにハウスビルダーが手掛けている。ヤマダの新しいスマートハウスはほかのビルダーとどのような違いがあるのかを説明したい」と述べ、自らYAMADAスマートハウスのプレゼンテーションを行った。
 
9月に新社長として就任した
清村浩一代表取締役兼社長執行役員

エネルギーの創・蓄・省とIoT連携を実現

 YAMADAスマートハウスの特徴的なポイントは3点。(1)創エネ・蓄エネ・省エネに加えてIoTによる機器連携でエンタメ・健康・セキュリティまでカバーした次世代の暮らし提案、(2)20代からでも購入可能な50年ローンで次世代へも住み継げる住まい、(3)ヤマダデンキで利用できる最大300万円分の高額ポイント付与、である。

 (1)では太陽光発電システムとEV(Electric Vehicle)、V2H(Vehicle to Home)を標準装備。EVは移動手段として利用することはもちろん、動く蓄電池としても活用。太陽光発電システムで発電した電力を家庭内で使用するとともに、V2HでEVへの充電・給電を通して電気の自給自足を実現する。
 
災害時の停電ではEVからの給電で
2日程度の電力を確保できるという

 ヤマダデンキで扱っている電動ソファや電動ベッドでテレビやオーディオ、ゲームなどのエンタメをスマートハウスで楽しんでもらうとともに、健康やセキュリティでは新たに採用したスマートホーム統合アプリを活用する。

 このアプリはIoTプラットフォームの構築と製品、サービスを提供するリンクジャパンの「HomeLink」で、発表されたスマートハウスを含め、ヤマダホームズの戸建注文住宅全棟に標準採用となる。

 Home Linkは家庭内の家電や住宅設備とIoTで連携。太陽光発電システムやEV、V2Hともつながり、電力の見える化や連携した機器の制御ができる。また、Home Linkはヘルスケアサービスにも対応し、ホームセキュリティ機器とも連携するという。
 
Home Linkで宅内の電力や発電・充電状況を見える化

 さらにHome Linkをヤマダホームズ標準搭載の専用アプリとすることで、今後はデータの見える化や機器の制御に加えて家電の購入やリフォーム、保険の申し込みなどのサービスまで広げていく考えだ。

 
専用アプリで宅内機器の制御のみならず、
ヤマダHDグループのサービス対応も視野に

ヤマダNEOBANK利用で住設機器や家電も一括ローン化

 (2)はヤマダHDグループ内の金融セグメントとのシナジーを活用するもの。一般的に住宅ローンは住宅のみが対象となるが、ヤマダNEOBANKを利用すると標準装備の各機器や家電などもすべて含んでローンを設定できる。

 今回発表したスマートハウスはプレミアム、スタンダード、ベーシックの3モデル。各モデルの違いは蓄電設備や工法、断熱性能などで、参考価格は施工面積32坪のプレミアムモデルが3980万円、同31坪のスタンダードモデルが3480万円、同29坪のベーシックモデルが2980万円となっている。
 
創エネ・蓄エネ・省エネは全モデル共通

 ヤマダNEOBANKの50年ローンで設定した場合、参考価格だが月額返済額はプレミアムモデルが7万4445円、スタンダードモデルが6万5092円、ベーシックモデルは借入額を2950万円として5万5179円。

 通常、生活するにあたっては電力会社から電気を購入し、特に郊外や地方では移動インフラが車だ。つまり毎月、家計から電気代とガソリン代が支出され、その額は4人家族で1万7656円という。

 前述のとおり、YAMADAスマートハウスは太陽光発電システムで電気をつくり、EVに充電するため、電気代とガソリン代が不要。ベーシックモデルの場合、本来はかかる電気代とガソリン代を月額返済額から引いた実質負担額は3万7523円となる。長期ローンではあるが、まだ所得の低い若い層でも無理なく返済できる金額であることから、20代での購入も可能となるわけだ。
 
50年の住宅ローンで毎月返済額は20代でも手が届く

成約者にはヤマダデンキで利用できるヤマダポイントを進呈

 (3)は、スマートハウスの成約者にヤマダデンキで利用できるヤマダポイントをプレゼント。ベーシックモデルでは100万円分、スタンダードモデルでは200万円分、プレミアムモデルは300万円分のポイントが進呈される。

 一般的に家を新築すると、その家に合わせた家電や家具などを購入する。その購入費にヤマダポイントを充てることで、新築住宅での新生活に要する出費を軽減。ヤマダデンキで扱っている商品は家電に限らず、家具やインテリア、玩具や自転車、リフォームなど多岐にわたり、幅広い製品やサービスから選べる。この特徴は、まさにヤマダHDグループならではのシナジーといえるだろう。
 
スマートハウス成約者には
ヤマダポイント100~300万分を進呈

 スマートハウスの販売目標について清村社長は「当社の決算期でもある2024年3月から2025年2月までの初年度で、まずは500棟。将来的には年間1000棟まで販売していきたい」と述べた。

 2024年4月には群馬県前橋市のTecc LIFE SELECT 前橋吉岡店駐車場に今回発表したスマートハウス3モデルすべてを設置する予定だ。

 また、10月26日から11月5日まで東京・世田谷区の駒沢オリンピック公園中央広場で開催されている「東京ラーメンフェスタ2023」にヤマダホームズとしてブースを出展。スマートハウスに標準搭載される太陽光発電システムやV2Hを展示する。住宅そのものではないが、同社のスマートハウスがどのようなものか、その一端に触れることができる機会だ。
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