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家電大型専門店の5月度商品販売額は前年同月比95.3%だが、カメラや理美容は伸長

データ

2023/07/25 19:00

 商業動態統計によると家電大型専門店の5月の商品販売額は3506億400万円で前年同月比95.3%。AV商品は依然として厳しい販売状況が続いているが、カメラ類の復調や理美容家電の伸長など、コロナ禍での需要低迷から脱してきている商品も見られる。

家電大型専門店では
カメラ類の販売額が5カ月連続で前年同月実績を上回った

2022年度からカメラ類の販売は回復に転じる

 経済産業省の商業動態統計では大型家電専門店の販売実績も毎月発表されている。この家電大型専門店とは日本標準産業分類での中古品を除く電気機械器具小売業、または電気事務機械小売業に属し、売場面積500m2以上の家電大型専門店を10店舗以上有する企業のことである。

 現在の感覚で売場面積500m2は大型店舗ではなく、どちらかというと小型店舗に分類される。ただし、あくまで最低売場面積が500m2以上で店舗網が10店舗以上という定義を踏まえると、大型家電専門店とは家電量販店のこと。つまり、家電大型専門店の販売実績とは家電量販店全体の販売動向を表したものといえるのだ。

 さて、2023年5月の商品販売額は前述のとおり、前年同月比95.3%。3月から3カ月連続で前年同月実績を下回っている。この販売額の中にはEC売上も含んでいるが、修理工事などの付帯サービス売上は含まれていない。

 商品カテゴリはAV家電と情報家電、通信家電、カメラ類、生活家電、その他と6つの大分類に分けられている。5月の販売額が前年同月を上回った大分類は前年同月比120.3%と2桁伸長のカメラ類のみ。その他の5分類は前年割れだった。最もダウンしたのはAV家電で、同87.2%。2桁減と落ち込んだ。
 
AV家電は4月の前同比91.4%から
5月は同87.2%と減少率は拡大

 カメラ類はコロナ禍による外出や旅行自粛が需要に大きな影響を与え、2020年度の販売額は前年比73.4%。他の分類は巣ごもり需要やテレワーク需要で伸長したのとは真逆の状況だった。

 続く2021年度もさらに前年比95.6%で、2018年度から4年間で販売額は約700億円減少した。だが、2022年度は復調に転じて前年比111.3%となり、直近では5カ月連続して前年同月比プラスとなっている。
 

理美容家電は8カ月連続して前年実績クリア

 全販売額に占める各分類の5月度の販売額構成比を見ると、AV家電は11.3%で情報家電が20.4%。通信家電は7.4%でカメラ類は3.2%。生活家電は46.0%、その他は11.7%という割合だ。生活家電は全体販売額の4割以上を占めているが、ここにはさまざまな商品が含まれている。

 洗濯機や掃除機などの家事家電に加え、冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器などの調理家電、ドライヤーやシェーバーなどの理美容家電にエアコンなどの季節家電が生活家電に含まれている商品群である。
 
販売額構成比が生活家電に次ぐ情報家電には
パソコンやタブレット、ゲーム機器や各種周辺機器が含まれている

 大分類の中の小分類の販売額を見ると、AV家電はビジュアルとオーディオが前年同月比86.0%と90.5%でいずれも前年割れ。情報家電の本体は103.2%と前年実績をクリアしたが、周辺機器は95.6%だった。

 生活家電では理美容家電が107.5%と伸長し、その他も100.1%で前年同月実績を上回った。
 
生活家電でも理美容は好調だが、
調理家電や季節家電は苦戦している

 理美容家電は2022年度の上期まで単月で前年割れが続いていたが、2022年10月からは前年クリアの状況となり、直近8カ月の単月販売額は連続して前年実績を上回っている。
 
ドライヤーは高単価のラインアップが拡充し、
消費者にとっては選択肢が広がっている

 2023年5月時点での店舗数は2669店。前年同月から10店の純増だ。店舗が増えれば当然、競争は厳しくなる。競争によって市場が活性化して家電需要が新調すれば出店自体はプラスになるが、そう簡単なものではない。

 一定の買い替え需要があると考えられる家事家電や調理家電もこのところ若干の陰りがみられる。先の家電需要を占う意味でも6月以降の販売実績を注視していこう。
 
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