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ドラレコ市場本格回復へ、搭載率5割で、まだ伸びしろは十分

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2023/04/16 18:30

 ドライブレコーダー(ドラレコ)市場が堅調だ。2021年6月以降、昨年秋口まで大幅な前年割れに苦しんでいたが、この3月は販売前年比で台数105.7%、金額120.8%を記録。このところ安定的にプラス圏で推移している。全国約2300店舗の家電量販店やネットショップの実売を集計する、BCNランキングで明らかになった。


 4年目にしてようやく完全終息が見えてきたコロナ禍。外出への抵抗感はほぼなくなり、車で移動する機会も増えている。ドラレコ市場の回復が見えてきたのは昨年11月。販売前年比が台数で110.0%、金額で114.2%と1年5か月ぶりにプラスに転じた。以降連続してプラスを維持している。平均単価(税抜き、以下同)も上がっている。昨年3月は1万6400円だったが、この3月には1万8800円と14.7%上昇。久々に1万9000円台を回復した。
 

 ここ数年のドラレコのタイプ別販売台数構成比を見ると、20年3月では1つの筐体で全部を賄う「ワンボディ」型の構成比が48.2%だった。一方、リアカメラが付属する「ワンボディ+リアカメラ」タイプが47.1%とほぼ半々だった。しかし、ワンボディ+リアカメラタイプの比率が拡大。この3月では59.0%と6割水準に達した。あおり運転対策などを考えると、前方だけでなく後方も記録したいというニーズが高まっているからだろう。平均単価はワンボディタイプが1万2000円前後であるのに対し、ワンボディ+リアカメラタイプは1万9000円前後。価格がおよそ1.5倍のワンボディ+リアカメラタイプが平均単価上昇をけん引している。

 メーカー別では、徐々にシェアを拡大しながらトップを走っているのがコムテックだ。昨年3月の時点ではシェアは27.9%。当時シェア36.1%でトップだった、JVCケンウッドの後塵を拝していた。しかし、4月にJVCケンウッドが値上げしたのをきっかけに両社のシェアが逆転。この3月ではコムテックが51.5%と過半を占め、JVCケンウッドは15.6%までシェアを半減させた。
 

 3月現在で最も売れているのがコムテックの「ZDR035」だ。この機種だけで20.9%の販売台数シェアとダントツ。ワンボディ+リアカメラタイプでフロント、リアともに対角168度の超広角撮影ができるのが大きな特徴だ。平均単価は2万円。2位の「ZDR016」も11.7%と2桁シェアの製品。撮影範囲はフロント対角140度、リア対角145度と、やや狭い分、平均単価は1万5800円と手ごろになっている。単価が高い製品の方が売れていることからも、価格より機能で選ばれる傾向があるようだ。ソニー損害保険が22年6月に実施した「全国カーライフ実態調査」によると、22年現在のドラレコ搭載率は49.3%。依然として半分の車にしか搭載されていない。ドラレコ市場の伸びしろは、まだまだありそうだ。(BCN・道越一郎)