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意外と多い「前任者のお得意様とのトラブル」を回避するコツ

時事ネタ

2022/08/27 18:00

【誰も教えてくれない仕事の秘密・4】 皆さんは異動した社員のお得意様(消費者やお取引先)を引き継いだとき、なにかと前任者と比較され、嫌な思いや無理な要求を受けたことはないでしょうか。「前任者のお得意様」とのトラブルは、販売店、メーカー(販社含む)に関わらず、意外と多く、中にはクレームに発展することもあります。今回はそれを回避するコツを教えましょう。

お得意様とのトラブル防止の一例

役職者は日ごろから部下のお客様と挨拶

 例えば、引き継いだお得意様からルールを超えた無理な要求をされて、丁重にお断りすると、「前の〇〇君はやってくれていた!」と言い出し、「〇〇君に連絡を取れ!」と言われることがあります。

 この場合、特徴的なのが「(1)前任者の〇〇くんも無理な要求は一度も受け入れていない」、「(2)前任者の〇〇君が断れば、すんなりと受け入れる」ことです。この傾向は、前任者とお得意様の信頼関係が強ければ強いほど、顕著に現れるために注意が必要です。

 このトラブル時の対応を間違うと客離れにつながったり、「上司を出せ!」と言われ、クレーム化します。特にクレーム化して役職者に対応を代わった場合、今後は役職者を指名してくるため、「役職者が手一杯になり、役職の仕事が滞る」ようになります。

 人事異動の都度、こうなれば役職者としてはたまったものじゃないですよね。こういった不都合を防止するには簡単な方法があります。

 それは「いつ、誰が異動してもいいように、日頃から担当者のお得意様と役職者の顔つなぎをしておく」ことです。

 販売店なら、自分のお得意様が来店すれば役職者に紹介し、役職者から「いつも、△△(部下)がお世話になり、ありがとうございます。」とだけ挨拶してもらいます。

 また、メーカーや販社の営業担当者なら「一度でいいので役職者に担当企業に同行してもらい、お取引先の責任者に挨拶してもらう」といいでしょう。どちらも、挨拶された方は悪い気はせず「大切なお客様と認識してもらっている」という気持ちが生じ、さらに絆が深まります。

 こうやって日頃から顔つなぎをしておくだけで、将来のクレームの芽を摘めて「担当者が異動したときでも“役職者が指名した後任の担当者”をすんなりと受け入れてもらえる」ため、役職者と後任の担当者の双方に大きなメリットがあるのです。

【ポイント】
クレーム化すれば、後任担当者と役職者は膨大な時間が消費されます。役職者は日頃から部下のお得意様に「挨拶」し、コミュニケーションを取っておきましょう。(大和 麓)

■Profile
大和 麓(やまと・ろく)
中小企業コンサルタント、研修講師。大手スポーツ用品メーカー、大手流通小売業を経て独立開業。地方自治体の経営支援アドバイザーとして十数年勤務するなど、多数の指導・研修実績を有する。マーケティング、社員教育を通して、中小企業・小規模事業者の業績改善に取り組んでいる。