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住まい探し・街選びのキーワード「ウォーカブル」「ウェルビーイング」

時事ネタ

2022/02/14 19:30

 岸田文雄首相が自民党総裁選から掲げていた成長戦略の一つ、「デジタル田園都市国家構想」に基づき、各省庁はそれぞれに地方と都市の差を縮める取り組みを推進する。例えば、総務省は「5Gの早期展開」「光ファイバー整備の推進」「データセンター・海底ケーブルの地方分散」など、また国土交通省は「地域観光等の拠点や多様な世代の集いの場を創出するコンパクトでウォーカブルなまちづくりの実現、地下高速鉄道ネットワークの充実」などに取り組む。

デジタル田園都市を支えるデジタル基盤共通のイメージ
(デジタル田園都市国家構想実現会議資料より)

「徒歩」で歩きやすい「滞在」重視のまちづくりへ

 国土交通省の「ウォーカブルなまちづくり」の「ウォーカブル」とは「Walk(歩く)+able(できる)」を組み合わせた造語。具体的な事例は、デジタル田園都市構想の参考資料や「官民連携まちづくりポータルサイト」などで確認できる。
 
ウォーカブルなまちづくりは、「居心地が
良く歩きたくなるまちなか」を目指す取り組み

 買い物・観光のため、もともと徒歩での移動が多い街はより歩きやすく、買い物の主な移動手段が徒歩・自転車からクルマ(マイカー)に切り替わってしまった街は徒歩に戻す試み。都市部で増えてきたシェアサイクル、実証実験中の電動キックボードを含め、歩きやすい街・走りやすい街が増えるかどうか、今後に注目だ。
 
電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP」は
4エリア(東京・大阪・横浜・京都)で展開中

Well-being(ウェルビーイング) 心豊かな暮らしを

 ウォーカブルにちなみ、今年を読み解くキーワードとして「Well-being(ウェルビーイング)」を紹介しよう。こちらは造語ではなく、翻訳すると「幸福」「心の豊かさ」といった意味。デジタル田園都市国家構想では、最新のデジタル技術を生かしたドローン宅配、自動配送などで地方と都市の格差が縮まれば、むしろ海や川、湖、山の地形、森林をそのまま生かした公園などが身近に存在する地方・郊外のほうが、人中心で、心豊かに暮らせる。つまりウェルビーイングだと位置づける。
 
人中心の「まちなか」づくりが必要な理由

 地方の弱点だった、商業施設や文化施設、教育・スクール関連施設の少なさは、インターネット通販、ネットスーパー、オンラインレッスン、オンライン講義・バーチャル展覧会といった、各種オンラインサービス・アプリが充実した恩恵で、ある程度はカバーできるようになってきた。また従来に比べ、コンビニスイーツ・コンビニフードのクオリティが向上し、自宅周辺にスーパーはなくともコンビニとドラッグストアがあれば暮らせるようになった。
 
新型コロナ禍を契機とした
まちづくりの方向性(イメージ)

 デジタル田園都市国家構想のうち、都市から地方への企業の移転や人の移住が進むという逆都市化の進展に関しては懐疑的だが、今の住まいは、本当に家賃や住宅ローン負担に見合った価値のある住まいなのか、「コロナ後」を見据えて考えてみてはどうだろうか。自宅または近くの駅、その街を代表する商業施設周辺で買い物が完結するコンパクトでウォーカブルな街は、どこでも誰でも暮らしやすいはずだ。(BCN・嵯峨野 芙美)