経済産業省が8月26日に発表した6月の「地域経済産業の動向」によると、小売業6業態の販売額は近畿を除く全てのエリアで前年同月を上回り回復した。ただ、内訳をみると食品など生活必需品を扱うスーパーや家電量販店などの専門店が好調で、百貨店やコンビニエンスストアは前年を下回るなど明暗がくっきりしている。

経産省の「地域経済産業動向」

 小売業6業態は百貨店、スーパー、コンビニ、家電量販店、ドラッグストア、ホームセンターを示す。6業態全体をみると、緊急事態宣言が発出された4月は全国で前年を下回り、5月も感染者数が比較的少なかった東北(1.2%増)を除く全てのエリアで前年を下回った。

 しかし、緊急事態宣言の解除後の6月は、全国平均で2.2%増と前年を上回っていることが分かる。東北が6.9%増、四国が5.7%増と伸びた。

 グラフの横軸は、全体の販売金額に占める構成比を示す。約45%と半分近くを占める関東の販売額は2.3%増と、他のエリアに比べて弱いことが分かる。東京都知事が外出自粛を要請したゴールデンウイークが過ぎた後も、感染者数が多い東京を含むためか、消費者の消費マインドは依然として低いことが分かる。

 業態別にみると、さらに明暗が分かれる。百貨店は全国で18.5%減と2割近く落ち込んでいる。緊急事態宣言中に休業していた百貨店が6月に入って営業を再開したものの、とても前年を上回るというレベルまで立ち直っていない。東京五輪の開催に向けて膨らんでいたインバウンド需要が、新型コロナウイルスにより一気に消失した影響も大きいだろう。
 

 小売業全体をけん引しているのはスーパーだ。大人数で外食する機会が減って内食が増えたからか、5月中も全てのエリアで前年を上回り、全体では6.7%増だった。6月は、近畿で0.1%減だったものの、それ以外のエリアで上向き、全国で4.8%増だった。昨年よりも潤ったスーパーの中には、臨時ボーナスや特別賞与を支給する企業もあった。
 

 スーパーと同じ理由で好調そうに思えるコンビニだが、実は4月から全てのエリアでずっと土砂降りが続いている。関東や近畿、中部などの都市部では、在宅勤務やリモートワークによる昼間のオフィス人口の減少による影響が続いていると思われるが、そのほかの地方エリアも総じて販売金額が前年を下回っている。

 それでも、全国で4月が10.7%減、5月が9.6%減、6月が5.1%減と、下げ幅は徐々にではあるが小さくなってきている。
 

6月の家電量販店は25.6%増

 地域経済産業の動向では、専門店(家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター)のグラフがないが、データ元となる経産省の「商業動態統計調査」にあたると傾向が示されている。

 それによると、家電量販店の販売額は、3月と4月が前年を下回ったが、5月が8.8%増、6月が25.6%増と、小売業の中でも突出して伸びていることが分かる。家電量販本部の取材などからは、家にいる時間が増えたことからテレワーク関連のPCや周辺機器、エアコンや冷蔵庫、洗濯機、掃除機、調理家電など、多くの商品ジャンルで前年を大きく上回っている。
 
経産省の「商業動態統計調査」(以下同じ)

 また、業界団体の日本電機工業会(JEMA)によると、特別定額給付金の支給が高額な家電製品の購入を後押ししたという分析もある。
 

 ドラッグストアやホームセンターも前年比の伸び率が家電量販店ほどではないものの、今年1月からずっと前年を上回って推移していることが分かる。(BCN・細田 立圭志)