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緊急事態宣言でテレワーク特需発生!? 4月第1週のPC市場は前年比109%に急伸

 【BCN速報値】 週次ベースで追っている春のPC市場の動向に異変が起きた。新型コロナウイルスの感染拡大対策による外出自粛要請などで市場が冷え込んでいたPC市場だが、全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」によると、4月第1週(3月30日~4月5日)のPC販売台数は前年比109.0%となり、前週の85.7%から23.3ポイントも急伸した。原因を分析する。


 BCNランキングのデータを取りまとめるBCN総研の木下智裕部長は次のように分析する。「消費者に新型コロナの感染拡大を受けた外出自粛のムードが高まる一方で、テレワークへの対応がまだまだ続いている。それが、PCの購買にもつながっているものと思われる」。これを裏付けるデータとして、「デスクトップPCは前年割れが続いているが、ノートPCは4月第1週に2桁増まで急に回復した」と、ノートPCが急増したことを挙げる。

 2月末のイベント自粛や3月頭からの全国一斉臨時休校などがあり、PC市場は3月第2週(3月9~15日)から前年割れとなり、じりじりと下がっていた。3月第4週(3月23~29日)は85.7%まで落ち込んだ。

 その一方で、今年は通常の3月の新生活商戦に、新たな在宅勤務やテレワーク需要が上乗せされてもおかしくないはずなのに、数字が上がってこないことへの疑問があった。家電量販やPCベンダーなどに周辺取材すると、2月の中国国内の工場の操業停止による在庫不足を指摘する声が聞かれた。供給問題が解消しつつあるのだろうか。

 木下部長は先週のこのコーナーで、例年の商戦期の在庫不足からの反発が起きるのではないかと見て「4月第1週は前年トントンか若干割れるというレベルまで回復する」と予測した。結果は、予想をさらに上回る109.0%まで回復した。供給の問題よりも、日に日に感染者数が増えていくことによる「テレワークの本格化」に備えた消費者の動きが強まったことが、商戦期の品不足の反発と重なったととらえる方が良さそうだ。

 木下部長は、「4月第2週(4月6~12日)は緊急事態宣言の発令を受けて、さらにこの動きが強まると思われる。前年比で130%程度まで伸びるのではないかと見ている」と予想する。

 安倍晋三首相は4月6日、緊急事態宣言を翌日の7日に発令することを事前予告。7日に発令し、8日午前零時から5月6日まで7都府県(東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡)で緊急事態宣言の実施に踏み切った。不要不急の外出自粛要請が法律に基づき強化されたことで、テレワークの駆け込み特需の発生が予想される。

 消費者の動きが読みにくい中、実際に消費者がモノを購入した際に動くPOSデータを集計した「BCNランキング」は、客観的な定量データ分析に役立つ。木下部長が予測する130%まで回復するとなると、Windows 7サポート終了の駆け込み需要の反動減が一服した1月第5週の124.1%を上回るほどのインパクトになる。市場の乱高下はしばらく続きそうだ。(BCN・細田 立圭志)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPOSデータを通じてスマートフォンやデジタルカメラ、4Kテレビなどの販売台数・金額データを毎日収集・集計しているデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。