【BCN速報値】1月14日のWindows 7の延長サポート終了後も需要が前年割れしないで好調に推移しているPC市場だが、国内における新型コロナウイルス感染症の感染拡大と、その予防対策のための経済活動の自粛や縮小による消費の冷え込みによっては予断を許さない状況になってきた。


 全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計した「BCNランキング」を取りまとめているBCN総研の木下智裕部長は、「2月第4週(2月24日~3月1日)は祝日があった影響もあり、引き続き前年超えの水準をキープするだろう。ただし、今後は新型コロナウイルスの影響で中国のパソコン生産が滞っており、店舗では在庫が不足し始めているとの情報もあり予断を許さない状況だ」と警戒感を強める。

 BCNランキングのデスクトップとノートを合算したPCの週次の販売台数は、消費増税の駆け込み需要で昨年9月第4週に前年比237.1%を記録。その後も、20年1月のWindows 7の駆け込み需要で再び1月第3週に209.1%のピークを形成した。

 前回のWindows XPの駆け込み後に訪れた前年割れを警戒していたものの、2月第2週から始まったスマートフォン(スマホ)決済サービス「au PAY」による20%ポイント還元のキャンペーンが下支えしていることもあり、二桁増をキープしている。直近の2月第3週(2月17~23日)は114.4%だ。

 しかし、中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大によって、人の移動が制限され、中国の工場の工員確保が困難な状況で生産がストップするなど、サプライチェーンに影響を及ぼしている。

 BCNでも、BCNランキングのデータからPCの主要パーツであるPC用メモリの販売台数が減り、価格が上昇している市況を2月23日付で報じている。直近の国内のPC販売データは好調だが、パーツから始まった品不足は、やがて完成品のPCの供給にも影響を及ぼすだろう。さっそく海外では、米アップルや米マイクロソフトが新型コロナウイルスの影響による業績の下方修正や目標未達予想を発表している。

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 加えて、さまざまな感染拡大対策が与える国内経済活動の縮小と消費の冷え込みによる影響も、今後、出始めるだろう。

 2月25日、厚労省は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表した。感染経路が不明な患者が国内の複数地域で散発的に発生している状況から、水際対策から国内の拡大防止対策にフェーズが変わり、小規模な患者クラスター(集団)への対策を講じることで、患者の増加スピードをできる限り抑制するための基本方針を示した。

 26日に安倍晋三首相がイベントについて前日の基本方針で示されていた「全国一律の自粛要請を行うことではない」という表現から一転して、スポーツや文化イベントの中止や延期、規模縮小を要請する方針に踏み込んだほか、翌27日に「ここ1、2週間が極めて重要な時期」として、全国全ての小・中・高等学校、特別支援学校で3月2日から春休みまで臨時休業を行うことを要請した。

 こうしたことから、国内のイベントの延期や中止、各企業における在宅勤務、店舗の営業時間の短縮、アミューズメントパークの閉鎖などが次々と発表されている。

 PC市場においても、Windows 7のサポート終了後の動きは一段落し、これまでとは規模も種類も全く異なる需要変動要因が発生する可能性がある。次週から、直近の動きと前年のPC需要の伸び率と規模を比較しながら、その動向をウォッチしていこう。(BCN・細田 立圭志)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからPOSデータを通じてスマートフォンやデジタルカメラ、4Kテレビなどの販売台数・金額データを毎日収集・集計しているデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。