生活への不便だけでなく、近年は認知症の要因にもなりうるとしてリスクが再認識されている“難聴”。その対策として有効なのは補聴器を使用することだが、装用に抵抗感があったり、価格に躊躇したりと購入に悩む消費者は多いようだ。そんなときに頼りになるのが補聴器専門店。今回、「ヒヤリングストア自由が丘店」の協力を得て、専門店ではどのようなことができるのか、取材してきた。

「ヒヤリングストア自由が丘店」で補聴器専門店でどのようなことができるのか取材した

入店のハードルは高くない まずは無料の相談から

 取材に対応してくれたのは、ヒヤリングストア自由が丘店の三浦店長。国家資格である言語聴覚士・認定補聴器技能者の資格をもつ、聴覚や補聴器のエキスパートだ。記者は補聴器専門店を訪問するのは初めてなので、基本的な質問からぶつけてみた。ずばり補聴器専門店ではどんなことができるのか。

 「補聴器の販売はもちろん行っていますが、それだけではありません。補聴器を購入したいと考えている方の悩みはそれぞれで、家族に薦められて気がのらないまま店舗を訪問される方も少なくありません。どんな悩みをもたれているのか、どのような補聴器が適切なのか。相談を聞くことも重要な業務です」(三浦店長)。
 
「ヒヤリングストア自由が丘店」の三浦店長

 一人でも来店可能だが、家族や友人を伴って来店するケースも多いとのこと。その場合は本人だけでなく家族からも話を聞き、客観的な視点も交えたカウンセリングを行う。ヒヤリングストア自由が丘店では相談は何度でも無料。相談に相談を重ねて、数か月後に購入を決断するというケースも珍しくないそうだ。

 相談の内容は単純に「聞こえるか、聞こえないか」だけではない。たとえば、生活背景。どのようなときに聞こえづらいのかやどんなシーンで困っているのかなど、事細かに来店客の状況を探る。さらに補聴器は電池の取り替えなど繊細な作業が発生する機器なので、指の動作も確認する。
 
補聴器の使用には細かい操作もある。
そのため、カウンセリングでは来店客の指の動きも確認する

 専門店を訪問するのはハードルが高いことのように思われがち。だが、三浦店長は「特に何かを用意する必要はありません。手ぶらでお悩みを相談しに来ていただきたい」と語る。もし耳鼻科で検査を受けていれば、そのときのデータが補聴器の選択や調整を行う上で役立つ。補聴器を選択・調整をするために聞こえの状態をチェックする環境は専門店でも用意しており、試聴することもできる。
 
店内には防音室を備えており、聴覚測定も行える

購入するなら“断然、専門店”の理由

 近年は政府や研究機関の発表で難聴による生活や健康へのさまざまなリスクが話題になる機会が増え、補聴器の必要性が再認識されつつあるが、まだ諸外国と比較すると補聴器の装用率は低いのが現状だ。難聴は「目に見えないものなので必要か否かの判断が難しい」ことに加えて、「日本語は母音だけでもなんとなく意味を理解できてしまう。聞こえが悪くてもなんとかなってしまう」という言語の特性も装用率の低さが改善されない原因になっている。

 かつて補聴器を装用していたが効果が実感できなかったり、見た目に抵抗感を感じたりして、やめてしまったという人も一定数いる。「こうしたお客さまにはぜひ最新の補聴器を試してほしい。ここ数年で補聴器は驚くほど進化している。サイズは小型化し、音質・機能は飛躍的に向上している」。
 
店内に展示されている最新の補聴器は小型で装着しても
目立ちにくいものがほとんどだった

 たとえば、オーティコン補聴器が6月に発売した「オーティコン オープンS」シリーズ。2016年に発売し、世界累計販売台数200万台を突破した「オーティコン オープン」の進化版だ。「オープン」は全方位の必要な会話はそのままに不要なノイズのみを抑制してバランスの取れた音を耳に届ける。「オープンS」はこれに加えてさらに煩わしいハウリングを未然に防ぐことで、一日を通して最適な音量を保つことができる。そのため、あらゆる環境下で自然な聞こえを保つことを可能にしている。

 オーティコン補聴器は聴覚そのものを研究し、人は耳でなく、脳で音を聞きその意味を理解する「ブレインヒアリング」の考え方に主軸をおき、製品開発をおこなっている。オープンやオープンSは従来の補聴器より脳の疲れにくさを軽減し、言葉の理解を大幅に向上。さらにスマートフォンと連携する機能も搭載し、家電をはじめとしたIoT機器を操作できるなど、最先端のテクノロジーも取り入れている。
 
6月に発売された「オーティコン オープンS」

 補聴器専門店でなくても補聴器は購入することが可能だ。たとえば、ネット通販などでもさまざまな補聴器が販売されている。しかし、効果の実感できる補聴器を安心して購入したいのであれば、専門店を選択するべきだ。その理由として、三浦店長が話してくれた例え話が非常に腑に落ちた。

 「補聴器は入れ歯のようなもの。市販されているものがぴったり合うということはまずないです。個人個人にカスタマイズされたものを使うのがベスト」。たしかに入れ歯に少しでもズレがあれば、日常生活で長く使用するのは不快感を伴うだろう。補聴器も同じだ。たとえ小さな違和感であっても、使用感に大きな不満をもたらす。
 
三浦店長の「補聴器は入れ歯のようなもの」という例え話が非常に腑に落ちた

 また、補聴器の音の調整というのは作成した初回だけではないというのも重要だ。「はじめのうちは細かく来店し、微調整を行う必要がある。また、聴力の変化などに応じて3か月に1度程度は調整するのが好ましいです。お客さまと販売員の付き合いは数年、数十年という長いものになります」。ネット通販などで購入すれば、自分の聞こえにぴったりと合わせることが難しいばかりではなく、その後の調整をすることもできない。

 最後に補聴器の専門店を訪問するのを躊躇している人に向けて三浦店長は次のメッセージを送った。「品質だけでなく、信頼できる専門スタッフを見つけるということが補聴器を快適に使用するうえでは欠かせません。補聴器を躊躇されるお気持ちを抱えたままでも結構です。まずは一度相談に来てみてください」

 結局のところ、不安を正しく解消するためにも、遠慮せずに専門家に相談してみるのが一番。いざ使ってみるまでは未知の部分が多い補聴器ならばなおさらだ。三浦店長の言うように、悶々とした悩みを抱えたままであっても、まずは専門店の門を叩いてみることをおすすめしたい。(BCN・大蔵 大輔)