【スマホ決済事業者座談会】BCNで6月24日に開催したスマートフォン(スマホ)決済事業者座談会では、キャッシュレス化を推進するキーパーソン8人が集まり、現在と将来の各テーマについて議論を交わした。本記事では、キャンペーンを中心とした「ユーザー拡大のための施策」の議論を取り上げる。なお、参加者の写真は順不同で掲載するため、本文のコメントと必ずしも一致しない点をご了承いただきたい。

BCNで6月24日に実施した「スマホ決済事業者座談会」

キャンペーン合戦の成果は? 激動の半年を振り返る

 スマホ決済の利用率を高めた最大のきっかけが、昨年末から話題になった還元キャンペーンであることは間違いない。各社が競うように打ち出したキャンペーンは、消費者目線だけで捉えると覇権を握るための壮絶な殴り合いにも映ったが、当事者の間には緩やかな連帯感もあったようだ。

 座談会では、「キャンペーンが自社サービス拡大のためであることはもちろんだが、まずは市場を広げるという思いがある。その意味では、他社のキャンペーンも歓迎というスタンス」との発言もあったが、各社の中ではキャンペーンの流れを切らないようにという緩やかな連帯の意識もあったようだ。
 
PayPay 事業推進室 柳瀬将良 室長

 業界全体が同じベクトルを向いていたこともあり、この半年でスマホ決済を利用したことのあるユーザーは予想を上回るペースで推移。「昨年末はまだスマホ決済が“非日常”の行為だったが、現在はだいぶ“日常”の行為として定着してきたのではないか」との声も参加者からあがった。

 現在も継続している各社キャンペーンだが、半年前とだいぶ毛色は異なってきている。例えば、ドラッグストア限定やコンビニ限定のようにセグメントを絞ったキャンペーンは、これまでリーチできていなかった消費者にスマホ決済を利用してもらおうという狙いがある。

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 「加盟店の協力なくして、新規ユーザーを拡大することはできなくなってきている」という意見が出る一方、「加盟店からの発信だけでは不十分で、オンラインでも訴求しなければ人が集まらない」という結果もあるようで、各社は検証を進めながら、効果的なキャンペーンを模索しているようだ。

次のフェーズでキーになるのは「加盟店」 お得以外の利便性も訴求

 加盟店をいかに増やすか、いかに連携するか――。これがスマホ決済を次のステージに進める上で重要ということは各社共通の認識だった。利用できる店舗は急速に拡大しているが、それでもクレジットカード対応店などと比較するとまだ限定的。キャンペーンで得たポイントを使える店舗がない、という声も実際にユーザーから出ている。“どこでも使える”の達成はまだ道半ばだ。

 導入を促すためにアプリ内で加盟店の集客をサポートする仕掛けを導入したり、積極的にクーポンを配信したり、ポイント還元以外のメリットを提示したり、といった動きも活発になってきているようだ。
 
メルペイ 杉水流智之 Head of Enterprise Sales

 また、地域(特に郊外)と密に連携した取り組みも進められている。「実は、商店街でキャッシュレス勉強会が開催されるなど、高齢者の方の関心は高い。『これなら小銭の支払いを間違う心配がない』『会計に時間がかかって待っている人を困らせない』など、お得以外の利便性もしっかり伝わってきている」(座談会参加者)。個人だけでなく地域に対するアプローチも、水面下では行われている。

 現在はお得さばかりが話題になりがちなスマホ決済だが、将来的にはデータを活用して金融サービスと結びつけるなど、先を見据えた構想も練られている。資金力が求められるキャンペーン合戦は諸刃の剣。キャンペーンに頼らずとも、利便性によってユーザーが拡大する道筋をつけることも、各社の重要なミッションだ。(BCN・大蔵 大輔)

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参加者一覧(順不同):Origami PRコミュニケーション部 古見幸生 PRコミュニケーションディレクター、KDDI(au) ライフデザイン事業本部・新規ビジネス推進本部・金融決済ビジネス推進部 長野敦史 部長、LINE Pay 営業統括本部 Direct sales事業部 大清水康徳 事業部長、NTTドコモ パートナー推進室 田原務 担当部長、PayPay 事業推進室 柳瀬将良 室長、メルペイ 杉水流智之 Head of Enterprise Sales、楽天ペイメント 楽天ペイ事業本部・加盟店営業第一部 土田智之 エリア営業開発第三グループマネージャー。特別参加:経済産業省 商務・サービスグループ 小暮千賀明係長。司会進行:BCN+R編集長 細田立圭志、BCN+R記者 大蔵大輔、写真:BCN 松嶋優子