インテルのパーツ単体としてのCPUの販売台数シェアがジリジリと下がっている。全国の主要家電量販店・ネットショップのPOSデータを収集した「BCNランキング」週次データによると、2018年10月1日週に72.1%あったシェアは、19年6月3日週に51.8%まで下がっている。一方でライバルのAMDの同期間のシェアは27.9%から48.2%まで上昇。インテルとの差がわずか3.6ポイントになるまで詰め寄った。いったい、何が起きてるのか。


 6月20日の記者会見でインテルの鈴木国正社長は「サプライのイシューが大きかったという背景の中でのシェアの落ち込みは事実」と、CPUの供給面に問題があったことを認める。

 ただ、昨年、製造設備に大幅な投資をしたことで「その効果が今年の3Q(7月~9月)から表れる。3Q、4Qは総量でいい数字が上がるだろう」と下期からの巻き返しに期待する。4月の会見では「19年12月までに健全な状況になる」と予想していたが、回復時期は前倒しになりそうだ。
 
インテルの鈴木国正社長

 記者会見では、インテルがPCビジネスからデータビジネスに大きく変革する展望が示された。現状のPC事業はどうなるのか。

 この点について鈴木社長は「PCセントリックとデータセントリックの関係はシンプル。PCは確実に成長すると認識しているが、急激な伸長はしないだろう。成熟したPCビジネスは確実に継続していく。一方のデータは(2023年に)2200億ドル(約23兆7000億円)になるという大きな風が吹いてる。データセントリックにより力を入れていくということだ」と、あくまでもPCビジネスは確実に維持しつつ、新しいデータ事業にドライブしていくことを強調した。
 
ビックカメラ有楽町店でもAMDの広告が前面に(6月20日時点)

 一方でライバルのAMDは、17年まで販売シェアがわずか5~10%にとどまっていたが、同年に処理能力を5割以上アップさせた「Ryzen」シリーズを販売してからシェアを上げている。

 上記のBCNランキングの販売台数シェアは、自作PCユーザーやPC専門店で多く売れる単体パーツとしてのCPUの数字だが、今年3月にはノートPC春モデルでNECがAMD製CPUを積極的に採用したことが話題になるなど、ノートPCの標準搭載でも攻勢をかけている。BCNランキングによると、19年3月に販売したAMD製CPU搭載ノートPCのうち、NECが68.1%を占めた。

 実際に6月20日のビックカメラ有楽町店でも、JR有楽町駅の改札を出た正面の壁面にAMDのRyzenシリーズの広告を前面に打ち出しており、その奥にはNECのノートPC「LAVIE」のAMD Ryzenシリーズ搭載モデルを訴求するなど、AMD押しが目立った。
 
19年3月春モデルからNECのノートPC「LAVIE」でもAMD製CPUを積極採用している

 現状のPCビジネスの展開をにらみつつ、データビジネスに人・モノ・カネのリソースを注いでいくインテルの両にらみの難しい舵取りは、しばらく続きそうだ。(BCN・細田 立圭志)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。